〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =032= 世界でも珍しい、白いコウモリ ◆◇
低地の熱帯雨林にある熱帯研究機構(Organization for Tropical Studies)のラ・セルバ生物研究所に先週から滞在している。熱帯の環境や動植物を研究している世界的に有名な研究所で、たくさんの観光客や学者、学生たちが訪れる。
モンテベルデの涼しい環境を離れたくなかったけれど、ハワイの侵入植物の生物防除の試験をしている博士研究員の助っ人としてここにやってきた。指導や情報交換、実験用の幼虫や卵を探したり観察場所を設置したりといった仕事に精を出しているのはもちろんだが、その合間を縫っての写真撮影にも汗を流している。
今回から数回、この熱帯雨林の動物や自然をご覧いただこう。
まずは上の写真、世界でも珍しい白いコウモリ、シロヘラコウモリ!
出会えるのはきわめてまれ。オス1匹、メスの数匹のハーレムをつくって暮らすのだが、オモシロイのはその昼間の居場所。ヘリコニアという植物の大きな葉を屋根にして過ごす。葉の裏にぶら下がり、爪で葉の両端を引き寄せながら中央にある太い葉脈沿いをかじり、両側をテントのように垂れ下がらせるのである。
この垂れ下がった葉の下にもぐって上を見ると・・・
ほぼ中央、こんなふうによりそって隠れている。コウモリの周りの薄茶色い葉の点々が爪痕だ。
ムシ暑い熱帯雨林で出会った生きものたちをお楽しみください。
コウモリの情報は、ドイツ・フンボルト博物館のLinus Güntherさんにいろいろと教えてもらいました。
訂正:本記事のタイトルおよび本文で、シロヘラコウモリを「世界で唯一の白いコウモリ」と説明していましたが、その後の調べでほかにも数種、白い(または白っぽい)コウモリがいることがわかりました。おわびして訂正いたします。(2016年10月4日)
Ӂ こんなところにカエルの卵が!? Ӂ
赤いクリクリ目玉が印象的なアカメアマガエル。熱帯雨林で時折見かけるカエルだ。
先日、熱帯研究機構(Organization for Tropical Studies)のラ・セルバ生物研究所に滞在していたとき、意外なところにアカメアマガエルの卵があることを教えてもらった。
そこは研究所の一角にある貯水タンクがいくつもある場所。タンクやパイプの表面に、たくさんの卵が産みつけられていた。通常ならこのカエルは、水面にせり出た植物の葉の表面に産卵する。やがて孵化したオタマジャクシが水の中へとポトポトと落ちていく仕組みだ。
ところがタンクに産みつけられた卵の周囲にはまったく水はない。これでは孵化したオタマジャクシの行き場がない。もしかするとパイプ内の水流の音を聞いた親ガエルが間違って産卵しているのかも。困ったもんだ。 ]
プルプルゼリーのような卵のかたまりを慎重にはがし、手のひらへ載せる。よくくっつくけどベトベトしない!
水辺の植物の葉の上にくっつけてやり、レスキューを無事終了した。
=参考資料・文献=
コウモリ(蝙蝠)一考
コウモリ目は南極以外の全大陸に分布し、さらに海洋島島にも広く分布する。このような例は人為分布を除いては哺乳類の中では他にない。これは、哺乳類が(クジラ類類などの例外を除けば)陸上動物であり、しかも大きく進化したのが大陸移動による各大陸の分裂後であったため、陸橋等の存在如何でその分布が大きく制限されているのに対し、コウモリ目は鳥類同様に翼による飛翔能力を持ち、海などによって遮られた場所でも自由に移動できるためである。
恐竜の栄えた中生代において、飛行する脊椎動物の主流は恐竜に系統的に近い翼竜と恐竜の直系子孫である鳥類が占めていた。中生代の終結において、恐竜とともに翼竜は絶滅し、鳥類も現生の鳥類に繋がる新鳥類以外の系統が絶えた。これにより、飛行するs歴対動物という生態系ニッチには幾分か「空き」ができた。ここに進出する形で哺乳類から進化したのがコウモリ類である。コウモリが飛行動物となった時点では、鳥類は既に確固とした生態系での地位を得ていたため、コウモリはその隙間を埋めるような形での生活圏を得た。
コウモリの直系の祖先にあたる動物や、コウモリが飛行能力を獲得する進化の途上過程を示す化石は未だに発見されていない。恐らく彼等は樹上生活をする小さな哺乳類であり、前肢に飛膜を発達させることで、樹上間を飛び移るなど、活動範囲を広げていき、最終的に飛行能力を得たと思われる。確認される最古かつ原始的なコウモリは米国ワイオミング州産のオニコニクチリスで、始新世初期(約5200万年前)の地層から化石が発見されている。
この時期には既に前肢は(現生群に比べ短いなどの原始的特徴が目立つものの)翼となっており、飛行が可能になっていたことは明白である。化石から耳の構造を詳細に研究した結果、反響定位を持っていなかったことが判明し、コウモリはまず飛行能力を得たのちに、反響定位を行う能力を得たことが分かっている。
・・・・・つづく
◇◆ 世界のコウモリ ◆◇
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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