〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =014= 生きているからこそ輝く昆虫 ◆◇
今回は、フェイスブックに載せたらエラく好評だったカメノコハムシをご紹介。
カメノコハムシは、ハムシという小さな甲虫の1グループで、その名の通り、甲羅を背負ったカメのような形をしている(ジンガサハムシとも呼ばれます)。ひっくり返ると、その甲羅=翅をパッと広げて起きあがり、元の体勢に戻る。触角や頭、足をすくめ、甲羅の縁を葉に押し当て隙間をなくせば、敵からの攻撃もある程度防げる。
このカメノコハムシ。コスタリカをはじめ熱帯地方には多様な種が生息している。似たものもたくさんいるから分類学者泣かせだけれど、とてもカラフルできれい、テカテカピッカピカの「構造色」を放つ種も多いこともあって、虫こぶとはエラい違いの人気ぶり。がぼん!
構造色とは、プラチナコガネの回でも紹介したけれど(「前回 輝かしいコガネムシ」参照)、表皮の構造の極微細な違いによって光が干渉し合い、再現される色のこと。
ところが博物館にあるカメノコハムシの標本は、プラチナコガネと違って、どれもこれも似たり寄ったりの茶色になってしまっている。生きているものと比べるとどうも冴えない。
理由は構造色のつくりにある。カメノコハムシの構造色は、前翅の角皮(クチクラ)の構造と液状の物質(水分)とが色を生み出しているため、水分がとぶと色が見えなくなってしまう。だから標本になると、その輝きは薄れてなくなってしまうのだ。
Ӂ 変な虫 Ӂ今回はコスタリカの雨季の始め、5月から7月頃に出会った「ヘンな」虫たちをご紹介。この時期は昆虫たちの活動が活発になるので、一味も二味も違った「ヘンな」虫たちに出会う機会も増える。
9年前のちょうど今頃、2003年6月21日に出会ったのが、この連載の第1回「西田賢司は探検昆虫学者である」で、「なんじゃこりゃ大賞に出場できる!」と紹介したクラドノータ・インフラトゥス。ミカヅキツノゼミの一種で、後ろに伸びたツノの部分がコブのように大きく膨らんでいるのには驚かされた。あれ以来出会っていない。
上の写真もミカヅキツノゼミの一種で、こちらはコブがなく「三日月形」を保っている。羽化したばかりのときは、色が半透明でお月さんのように白い(最後の写真)。
2007年5月10日にも、「なんじゃこりゃ」な出会いがあった。次の写真の昆虫だ。コスタリカ大学のキャンパス内にある保存林で、大雨の中、見たこともない棒のような虫が茎の上のほうにペタリとくっついていた。
「ん!なんじゃこりゃ!? 木の枝とはちゃうやろう~」
後でコメツキムシの一種とわかったのだが、最初はとてもそんなふうには見えなかった。左手に植物を、右手に傘とカメラを持って、なんとか撮影したのを覚えている。
虫たちにとってウキウキの雨季。雨が多い中での写真撮影や調査は大変だけど、果たして今年はどんな「ヘンな」虫たちとの出会いがあるのか楽しみだ。
=参考資料・文献=
コメツキムシコメツキムシ(米搗虫)は、昆虫網コンチュウ科に属するコメツキムシ科に属する昆虫の総称である。和名をコメツキムシとする種はない。仰向けにすると、自ら跳ねて元に戻る能力がある小型甲虫。米をつく動作に似ていることからこの名前がある。
比較的硬い体の甲虫。外見的にはタマムシ類にも似ている。体型としては幅が狭く、縦長で腹背にやや扁平。小さい方は1mmほどのものから8cmに達するものまであり、日本ではウバタマコメツキやヒゲコメツキなどが3cm程度になるのが大きい方である。
頭部はまっすぐ前を向き、口器は小さいがしっかりした噛む口となっている。触角は先細りの単純な形のものが多い。中には節ごとに突き出して鋸歯状や羽状になった例もあり、日本ではヒゲコメツキが立派な触角を持つことで有名。
胸部と腹部は幅広くつながる。前翅は後方に狭まる。体色は全体に単純で地味なものが多く、黒から褐色のものが多い。しかし熱帯では金属光沢を持っているものもあり、日本では八重山諸島に産するヨツモンオオアオコメツキなどはその例である。また多様な色や斑文を持つものもある。日本ではベニコメツキが真っ赤な前翅を持つのでよく目立つ。
コメツキムシには普段は草や低木の上などに住む種が多い。石の下に住むものもいる。天敵に見つかると足をすくめて偽死行動をとる(世に言う「死んだふり」)。その状態で、平らな場所で仰向けにしておくと跳びはね、腹を下にした姿勢に戻ることができる。(胸-腹の関節を曲げ、胸を地面にたたきつけると誤解されるが、頭-胸を振り上げている。地面に置かず手に持つことで確認できる。(昆虫の構造については昆虫へ))この時はっきりとパチンという音を立てる。英語名のClick beetleはクリxチク音を出す甲虫を意味する。
天敵などの攻撃を受けてすぐに飛び跳ねる場合もある。これは音と飛び跳ねることによって威嚇していると考えられている。この行動をとらないコメツキムシ科の種も存在する。
幼虫の多くは土壌性で、細長い円筒形で硬く、光沢のある茶色をしているものが多い。腐食質を食べるものや、他の虫を食べるものがいる。栽培植物の根や地下茎などを食害する種もおり、農業や園芸関係では一般に「ハリガネムシ」と呼んで防除の対象にしている。大根やジャガイモなどの害虫として知られるマルクビクシコメツキ、クロクシコメツキ、クシコメツキ、トビイロムナボソコメツキ、コガネコメツキ等の幼虫がこれにあたる。日本でハリガネムシと呼ばれているのは、類線形動物門に属しコメツキムシと全く異なる生物である。
中南米には胸部と腹部が発光する“ヒカリコメツキ”が生息している。
・・・・・・つづく
◇◆ コスタリカ トルトゥゲーロ Tortuguero Costa Rica ◆◇
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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