〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ ᴂ
◇◆ 宇宙の深海をめざして =2/4= ◆◇
プレカンラボの伝統と誇り
2009年4月に始まった新生プレカンラボには、その後もたびたび絶滅の危機が訪れた。2010年の秋には、行政刷新会議(あの有名なレンホー議員のヤツの目立たないバージョン)の指導書に「プレカンラボってなによ? それイラネ」とまで書かれてしまったり、そのためJAMSTECの前プレジデントから「名前を変えてちょ」と言われたり、企画部門から「もうそろそろいいんじゃないすか」と肩たたきされたり。
それでもプレカンラボは今もなお存続している。
絶滅危機が訪れるたびにメンバーが集合し、己の存在を賭けたプレゼンテーションや諜報・破壊活動を行って、ナントカ持ちこたえてきたんだ。相変わらずボクもしゃしゃり出るけれど、メンバー達の「自分の組織は自分で守るという意識と行動」はプレカンラボ設立以来の伝統の賜物だ。そして第一回絶滅危機を救ったあの自然発生的研究組織を守ろうとする「JAMSTECの誇り」が消えていない証拠だ。
そして新生プレカンラボの存在は、JAMSTECの他の研究組織や他の大学や研究機関の研究者達にもきっと良い影響を及ぼしているに違いない。
新生プレカンラボのメンバー達が触媒となって、どんどん分野横断的な研究のネットワークが広がりつつある。そして多くの若い世代の研究者達はもはや分野横断していることなんて特に意識していないだろう。当たり前のように解明すべき対象に対して分野横断的なアプローチを駆使して、その結果を学際的に議論するようになったんだ。
最初のインド洋のかいれいフィールドのしんかい6500の潜航調査でハイパースライムを発見して、その結果に触発されてウルトラエッチキューブリンケージ研究グループを立ち上げ、それに続くプレカンブリアンエコシステムラボラトリーを創設し、そしてその存亡を賭けた闘いを繰り広げてきた。
そんな過去を振り返ってみると、ボクにとってその過程は、深海熱水や地殻内の微生物研究に打ち込んだ自身の青春記とはまた違った、「研究を共にする仲間達やいろんな意味でそれを支えてくれた人達との想いを載せた青春の一ページ」と言えるモノだった。
そして最後に少し最近のボクのコトを。
次のフロンティアへ
あれは2011年の2月のことだった。ちょうどこの「青春を深海に賭けて」を書き始めた頃だっただろう。ボクはあるメールで横浜桜木町に呼び出されていた。
メールの送り主は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の矢野創さんという人だった。勿論ボクには面識はなかった。ただ同時に招集されていたJAMSTECの同僚の高野淑識君から、あの一大ブームを巻き起こした「はやぶさ」プロジェクトに大きく関わっていた人ということは聞いていた。ボクはそんな人が一体何の用なのかと訝しんだ。
メールの案件には「エンケラドゥス探査に関して」と書いてあった。
桜木町駅の改札前で待ち合わせたのは、ボクと高野君と矢野さんと東京薬科大学の山岸明彦さん、そして玉川大学吉村義隆さんの5人だった。ボク達はそそくさと日曜日の家族客やカップルで賑わうカフェに入り、ムサいおっさん5人で車座になって矢野さんを取り囲んだ。
矢野さんはいきなり「エンケラドゥスへ探査機を飛ばして地球外生命探査を行う事に興味ありませんか?」と切り出してきた。
それを聞いてみんなゴクリと唾を飲み込んだ気がした。エンケラドゥスというのは土星の周囲を回っている衛星だ。
ボクは「興味があるかと言われればめっちゃ興味があります」と答えたような気がする。みんな同じような事を言ったと思う。ただボクには矢野さんの質問の重みがよくわからなかった。
土星の衛星で生命を探す
その場に参加していた人はみんな、「アストロバイオロジー」という名の研究会やシンポジウムあるいは研究ヒアリングで「地球外生命探査」というキーワードに何らかの関わりを持っていたはずだ。しかしつまるところ、みんな、夢や希望や願望として地球外生命探査を考えたことはあっても、目の前にある現実のプロジェクトとして捉えていた人は少ないだろう。
山岸さんと吉村さんは日本版火星生命探査プロジェクトを推進しているし、高野君は「はやぶさ2」リターンサンプル科学分析に深く関与している。しかしそれらの研究は、アストロバイオロジーではあるものの、まだリアル地球外生命探査と呼ぶにはかなり果てしない距離がある段階のものだ。
= エンケラドゥスvsエウロパvsケレス(7/7) =
・・・・・ 宇宙に生命を探せ‼ ・・・・・
「エウロパの内部海の潮吹き」が本当に確実で長期安定政権なら、それは最強の探査対象である可能性はあります。またケレスの内部海の存在の可能性があるのなら、日本独自の比較的小規模な(お手軽な)惑星探査の対象としての魅力が大きいことも強く主張したいっス。
しかし前述したように、資金的にも技術的にも太陽系探査自体のチャンスが極めて限られており、世界的にも競争の激しいことを考えると、一つには国際的な協力体制の中で極めて少ないチャンスを有効に生かすこと、そしてもう一つは国際協力の中で埋没してしまわない我が国の太陽系探査研究の独創性や独自性を際立たせてゆくという一見矛盾するような方向性を両立させていかないといけないと思うのです。
例えば、「今すぐ日本がエウロパやケレスに地球外生命を探しに行こう」という案は、アイデアとしては国際的には先んずることができるとしても、不確定要素のあまりの大きさから計画実現可能性は限りなく小さいと言えます。つまり、エウロパやケレスの内部海の存在は「観測」で示されているのみであり、決して物的証拠があるわけではありません。また内部海の化学的特徴についても全く想像の範囲であり、「エウロパやケレスの内部海に本当に生命が存在できるのか」についての理論的予測も依然不可能な状態です。いきなり「サンプルリターンによる宇宙生命探査や!」と言っても、「アホけ?」と言われかねません。
それに比べ、すでに国際的な協力体制の枠組みのなかで「サンプルリターン」についての具体的な探査工学的可能性やカッシーニの分析データに基づいた「生命存在可能性」が議論されており、しかも、アイデア自体の独自性も際立っているエンケラドゥス地球外生命サンプルリターン探査は、その道はとても障害の多いイバラだらけの道であるとしても、はるかに計画実現可能性に溢れた計画だと信じています。
AKB48の曲に「スキャンダラスに行こう」というタイトルの曲があるのですが、ワタクシの今の気持ちを表現するなら、「エンケラダラスに行こう」です。つまり、予断は許さない崖っぷちではあるものの確かに一筋の光明を感じ取ることができるエンケラドゥス地球外生命サンプルリターン探査計画を前にして、あまり性急に根を詰めて考えても苦しい。「あきらめたら、そこで試合終了ですよ…」(安西先生)ですから、あきらめず、くさらず、楽しみながらちょっとずつでも前進していければいいな!
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 : Beautiful Nature - Deep Sea 1080p HD
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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