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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =068=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第5話  地球微生物学よこんにちは ᴂ

◇◆ 「ちきゅう」に紛れ込んだワタクシ =1/2= ◆◇

JAMSTEC研究員になってわずか1年で「しんかい2000」の潜航調査や、論文執筆をどしどしこなした高井さん。でも戸惑っていた。次、どうする?――の話の前に、第5話のマクラは現在進行中の「3・11震源域の掘削調査に、なぜ微生物学者の高井研が紛れ込んでいるのか」です。

今回のタイトルも相変わらず適当なパクリ仕様で申し訳ないのですが、フランソワーズ・サガンの小説「悲しみよこんにちは」から寸借しました。決して、元祖不思議ちゃん系アイドル斉藤由貴のシングル曲からの着想ではない(キリッ)、と力強く宣言しても、もしかして「誰それ?何それ?」と言う若い人が大半だったりして。

逆に「あー、あった、あった、そんな曲」という読者が多い場合、この連載企画の「若い人にぜひ読んで欲しい」という儚い夢はもはや完全に崩壊したことになるでしょう。そんなことは知らない方が幸せです。みなさん知らないふりをしておいてください。

さて、今話がウェブに掲載される頃、ワタクシは「巨大屋形船」とも言われる「地球深部掘削船ちきゅう」に乗り込み、「統合国際深海掘削計画(IODP)第343次研究航海東北地方太平洋沖地震調査掘削」(漢字だらけの水泳大会、もとい正式名称ですみません)の特殊工作員として活動しているはずです。

この掘削調査航海の全貌は、日々更新されるJAMSTECのホームページでご覧になれます。興味のある方はぜひ覗いてみてください。

またWebナショジオのサイトでも、ついに「ちきゅうつぶやき編集長」による掘削調査航海の現場レポ企画が始まったようですね( 深海7000メートル! 東日本大震災の震源断層掘削をミタ!)。第53次南極観測隊員、渡辺佑基さんと田邊優貴子さんによる「南極なう!」のように臨場感溢れるナショジオらしい透明感のあるレポートと勘違いして、みなさんがうっかりクリックすることを大いに期待しています(笑)。

この航海の研究目的を簡単に要約すると、ワタクシの連載の特別番外編「しんかい6500、震源域に潜る」でも触れたように、「2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震がどのようにして起きたのかを明らかにすること」に尽きます。

もちろん東北地方太平洋沖地震が起きてからこれまで、日本はもとより世界中の研究者が、多くの調査や解析を通じて、どのようにしてあの地震が起きたのかについて明らかにしようとしてきました。しかし、地震の全貌を一気に理解することは現在の科学技術をもってしても未だにとても難しく、少しずつ前進するしかありません。

できるだけ速やかに、かつ継続的に最大限の努力を続けて行く必要があります。その一つの前進が今回の掘削調査研究なのです。

= 地球外生命は土星の月にきっといる (1/3) =

深海生物を研究する高井研は、いま宇宙を見ている。衛星エンセラダスに生命がいるのではないかと考えているからだ。その答えを出すために、いま探査機を送る計画を企てている。これは生命科学最大の難問に迫る挑戦となるが、決して夢物語ではない。わたしたちが生きているうちに結果を見ることができる、実現可能なプロジェクトなのだ。【「宇宙の日」(9月12日)を記念して、本日より本誌VOL.5の宇宙関連記事の転載、およびオリジナル記事を集中掲載!】

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、海洋生態系の調査から地球温暖化による気候変動シミュレーションまで、海洋に関する幅広い研究開発を行う世界有数の海洋研究機関だ。このJAMSTECでプログラムディレクターを務める地球生物学者の高井研は、これまで有人潜水艇「しんかい6500」を用いた深海探査などを通して、地球最古の生態系の生き残りである微生物生態系「ハイパースライム」の発見や、40億年前の海において生命の誕生につながったと考えられる熱水活動の仮説提唱と裏付けなど、深海生物や地球化学に関する数多くの研究を行ってきた。

122℃という現在知られているなかで最も高い生育温度記録をもつ微生物は、2008年に高井が発見したものだ。これらの研究を通して、高井は新たな科学の未来を拓く「チェンジメーカー」として評価され、今年CHANGEMAKERS OF THE YEAR 2012を受賞した。

「この地球上に生命が存在できない場所はほとんどない、という生命のたくましさを知れば、当然ほかの場所、つまり宇宙にもいるだろうと思うようになるんです」

高温、高圧など、過酷な状況で生育する極限環境微生物を研究してきた高井にとって、これまでの研究に裏付けられた直観と言えるだろう。高井はさらに続ける。

「確かに、誕生した生命が進化によってDNAやRNA、タンパク質を中心とした複雑なシステムをつくり上げ、40億年も続いているという点において、地球生命はとてもユニークで奇跡的です。しかし生命の本質は、どんな材料でできているかという部分ではなく、現象にあるはずです」

シンプルに言えば生命の本質とは、ある容れ物(細胞)の中で、物質からエネルギーを取り出し(代謝)、そのシステムを継承していく(遺伝)、という現象そのものにある。地球上でなくても、ある条件が揃えば、これらの性質を備えた生命は誕生するはずだ。こうした考えのもとで、生命の起源や生命現象について、生命科学のみならず、天文学や惑星科学、地球化学など、生命が誕生し持続するための環境や背景までをとらえて考える学問、それが「宇宙生物学」だ。その最大の目標は、まさに「宇宙で生命を見つけ出す」ことにある。宇宙生物学を机上の空論から実証科学のステージへと押し上げるからだ。そして何より、科学者として最高に面白い挑戦だ。

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : 深海科学掘削技術~地球深部探査船「ちきゅう」~

  https://youtu.be/1n-wLHvcKi0

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