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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =066=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第4話  JAMSTEC新人ポスドクびんびん物語 ᴂ

◇◆ 「初めての”しんかい2000”」 =2/3= ◆◇

ドキドキするボクをのせた「しんかい2000」は、伊平屋北フィールドの近くの海底に着底した。 「しんかい2000」は「しんかい6500」に比べて、観察窓がかなり前方上にある。なので、「しんかい2000」の観察窓から見える景色は、「しんかい6500」よりも遙かに視野が広くて前方の拡がりを堪能できる。その違いは電車の横の窓から見る景色と運転席から見える景色の違いと言える。それぐらい「しんかい2000」から見る景色は格段に楽しいモノだった。

もはや「しんかい2000」が現場復帰することはほぼないだろうが、ボクは「しんかい2000」の潜航の方が遙かに好きだった。 初めて「しんかい2000」から覗く深海底の景色を見て、もはや自分が水深1000mの海底にいることなどすっかり忘れてしまった。

目の前に広がる伊平屋北フィールドの海底の風景は、ずっとボクの遊び場だった日本海の潮間帯の岩場を潜っていると錯覚するぐらい、いろんな生物と色彩に満ち溢れていた。

ゆっくり前進する「しんかい2000」に合わせて、豊かな生物に溢れた海底が現れては消えてゆく。そして時折、景色が歪んだ海底部分が幾つも現れる。透明な比較的低温の熱水がゆらゆらと吹き出す「熱水ゆらぎ」のせいだ。

そして必ずそのゆらぎの周りに、白い丸々と太ったダニのようなゴエモンコシオリエビが、ワラワラと蠢いている。その外側には、灰色っぽい岩のような海底が茶色く変色しているように見えるのだが、それはシンカイヒバリガイのコロニーだった。

そして「しんかい2000」が急斜面にぶち当たる。前方の観察窓から見える景色はひどく険しい崖に見える。物凄い落差のある崖のようだ。 崖にはびっしりシンカイヒバリガイが密生している。密生は縦方向だけでなく横方向にも一面に広がっている。ボクはあまりの生物密度に「うおぉー、うおぉー」としか声にならない。

崖はさらに続く。すると茶色いシンカイヒバリガイが突然消えて、真っ白なゴエモンコシオリエビの大群集に変わる。「うわ、きっしょ~(気色悪い)」という陳腐なコメントしか出てこないボク。

まだまだダニ山は続く。そして崖が突然終わった瞬間、目の前にガスバーナーの炎のように揺らめく熱水噴出孔が現れた。それは、それまでいろんな映像で見てきた典型的な深海熱水噴出であるブラックスモーカーとは全く異なる、透明な熱水の激しい噴出だった。

それにしても一体何十メートル崖を登ってきたのかというぐらいの高さだった。深度計の記録では50m以上登ってきたようだ。その間、一体どれだけの量の生物が存在していたのかと考えるとボクは震えた。

パイロットのオオノさん(現在、無人潜水機ハイパードルフィン運航チームの運航長)は、この崖がすべて巨大なチムニーだと言う。これだけの建造物を作りだし、あれだけの密度の生物を支えるためには、莫大な熱水の活動とエネルギーと炭素が必要なはずで、ボクはそれを想像しただけでもう言葉にならないような感動を覚えた。

ボクは初めて潜った深海熱水に完全に魅了されてしまった。こんな景色だったら、何十時間見ていても飽きないと思った。ただこの潜航では残念な事に、伊平屋北フィールドの熱水を採取するのには成功したが、目の前にある熱水チムニーの採取はことごとく失敗した。

= 生命は海から?陸から?宇宙から?—高井研さんに聞く・後段 -6/7- =

世界中の深海に潜り、誰よりも生命の起源を探ってきた男、高井研さんインタビュー。「生命の起源を解明するには地球だけを研究していたのではダメ。宇宙に行かないと!」と高井さんが力説したのに、その後は感動ポイントを逃さないように、しぶとく質問を続けるうち話題は太陽系の果てへ、さらに地球最後の秘境「超深海ゾーン」へと広がっていく。思いっきり熱いトークを聞くうちに、いつしか気持ちも解き放たれ、宇宙や深海探査の魅力にぐいぐい引き込まれていく。

—- なるほど、そういう見方は面白いですね。

高井: 宇宙の専門家は、そういうことを一言も言わない(笑)

探査の醍醐味—自分のちっぽけな想像を超えた圧倒的現実と出会うこと

—- 高井さんの今後の目標を聞かせてください。

高井: エンセラダス探査は30~40年かかるでしょう。NASAではエウロパ推進派のロビー活動がうまくて、次のNASAミッションはエウロパの現場観測に決まってます。でもNASAには今、「エンセラいいんじゃね?」というムードがあって、2020年打ち上げというシナリオもある。それでもエンセラダスから探査機が戻るのは2030年以降になります。

ぼくの研究ターゲットは「生命とは何かの答えを得たい」ということです。宇宙に生命を探すだけではなくて「地球生命の限界」を探ることでもその答えを得たい。深海熱水は世界中でかなり征服したので、次は一番征服されていない「超深海海溝」を征服したい。

—- 超深海とは!水深6000m以下の世界ですね。そこにも生命がいる?

高井: 全然いますよ。今年プレスリリースしましたが(欄外リンク参照)、世界最深の海であるマリアナ海溝に、明らかに異なる微生物の生態系があることを、我々が世界で初めて明らかにしました。海はつながっているし、海水は動いていて3000年に一回ぐらいかき混ぜられているという説もあるのに、マリアナ海溝のV字型はあまりに狭くて深くて水が回らない。その閉ざされた世界に、我々とは違う微生物の世界があることがわかった。では、なぜあるのか?

—- どんな生態系がなぜ広がっているのか・・興味がわきますね。

高井: しかもマリアナ海溝の底の微生物はものすごくアクティビティが高い。それについこの前まで陸だったところが、数千万年ぐらいの間にめちゃくちゃ深く急降下していったと考えられているんです。それを探査する手段が必要です。探査に行くなら人が行く方が探査効率もいいし、インパクトがあって波及効果が高い。つまり「しんかい12000」が必要なんです。・・・・・・続く※

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : ちきゅうTV Vol.11 熱水海底下生命圏を調査!

  https://youtu.be/-tTqzoWE-9s?list=PL97pirzgh57Ms7dQy4rBYdXdGFoAdqmXY

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・


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