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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =064=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第4話  JAMSTEC新人ポスドクびんびん物語 ᴂ

◇◆ 最後の「むかつくんですよ!」はよく覚えている =3/3=  ◆◇

もし、世界最深部マリアナ海溝の泥にも超好熱菌が生きて残っていたら、それは海水による超好熱菌の運搬の一つの例証になるかもしれない。ボクはそう考えた。JAMSTECでは前年にマリアナ海溝チャレンジャー海淵から泥を採取し、そのサンプルを液体窒素の中で保存していていることも分かった。マリアナ海溝チャレンジャー海淵の世界最深部の泥には超好熱菌が生きていることを証明しよう、そうしよう。ボクは決めた。

徹夜明けの翌朝、待ちきれずに早速、イノウエさんに「マリアナ海溝チャレンジャー海淵の泥から超好熱菌の培養をさせて下さい」と許可をもらいに行った。研究グループ内とは言え、保存サンプルの使用には、リーダーの許可が必要だったからだ。

イノウエさんは苦虫を噛みつぶしたような顔で、「えー! キミがマリアナ海溝の貴重なサンプルを使うのかね。あれが、どれだけ貴重なサンプルかわかって言ってるのか? あのサンプルは決して無駄にはしたくないんだよ」と言った。

JAMSTECに来てからずっと感じていた「ヨソ者」扱いへの不満は頂点だったんだろう。そして、徹夜明けの疲れもあったんだろう。JAMSTECに来てからまだ数日に過ぎない新参者のボクだけど、もはや感情を抑えることができなかった。

「ちょっと待って下さいよ。貴重なサンプルっておっしゃいますが、そのサンプルは研究のために取ってきたサンプルでしょ。研究もせず保存しておいたって何の意味もありませんよ。しかも研究を始める前から、何で拒絶されなアカンのですか? アナタは、微生物学者としてのボクの何を知った上で、ボクの研究を拒絶する根拠があるんですか? ボクはこのJAMSTECにいる微生物学者の中でも、おそらく微生物ハンティングではトップクラスの技術を持っていると自負してます。ボクのことをよく知らないからって、頭ごなしに否定されるのは、むかつくんですよ!」

ははは、よく言いましたね。こんなに理路整然と言ったかどうかは覚えていないけれど、最後の「むかつくんですよ!」は良く覚えている。

これまで「JAMSTECへの道」でずっと書いてきたように、多分ボクは、JAMSTECに来てからもずっと「JAMSTECは設備は超一流、でも人は三流」という当時の自分の中にあった斜め目線を、そこはかとなく出していたんじゃないかと思うんだ。京都大学ではみんなそういう感じで話していたし、ある意味自分の中でそういう色眼鏡が出来上がっていたのかもしれない。

自分では認めて欲しいとは思っているくせに、JAMSTECの人達に対して虚勢を張ってそういう風に斜めから見ていたのかもしれない。それがおそらく、何となくなじめない距離感を作りだしていたんじゃないかと思う。

ある意味、イノウエさんに溜まっていた感情を吐き出したことでようやく、しこっていたようなわだかまりがなくなった。イノウエさんも最初はびっくりしていたが、その後、腹を割っていろいろ話す内に、分野は違えども同じ微生物ハンターの血が流れている人だとよくわかった。ボクは初めてJAMSTECでやっていける気がした。

そしてなんだかんだと言いながらちゃっかり、マリアナ海溝チャレンジャー海淵の泥をせしめたった。

せしめたモノはボクのモノ。マリアナ海溝の泥を使って、ボクは馬車馬のように実験を進めた。そしてそれから数日後、ボクの予想通りに、80℃近くの温度で増殖する好熱菌が生えてきた。

「オレは勝った!」(←何に?)。

ボクはJAMSTECにやってきて2週間以内に、論文のネタになる好熱菌を生やすことに成功した。そしてそれから半年も経たないうちにそのネタで最初の論文を書いた。

= 生命は海から?陸から?宇宙から?—高井研さんに聞く・後段 -4/7- =

世界中の深海に潜り、誰よりも生命の起源を探ってきた男、高井研さんインタビュー。「生命の起源を解明するには地球だけを研究していたのではダメ。宇宙に行かないと!」と高井さんが力説したのに、その後は感動ポイントを逃さないように、しぶとく質問を続けるうち話題は太陽系の果てへ、さらに地球最後の秘境「超深海ゾーン」へと広がっていく。思いっきり熱いトークを聞くうちに、いつしか気持ちも解き放たれ、宇宙や深海探査の魅力にぐいぐい引き込まれていく。

—- 世界でJAMSTECだけ、というのはスゴイですね。

高井: 実は1980年代にはそういう実験はたくさん行われたんです。でも今はどこもやらなくなった。僕らは2000年頃に復活させて、40億年前の生命が誕生した頃の地球の熱水を再現させたり、地球最初の海水を作ったりしている。そういうことをやっているがゆえに、40億年前の地球と、今のエンセラダスの熱水が似ていることもわかるんです。

エンセラダス探査ができるなら、どんなあくどい方法でも!

—- なるほど。そのエンセラダスの海に、今もメタン菌がいると高井さんは考えていると前回言われていましたね?エンセラダスの探査でサンプルをとればわかりますか?

高井: はい。

—- じゃあ、エンセラダスに探査機を飛ばしたいですね。

高井: 大事なのは、「現場観測」では解決できないということです。サンプルを地上に持ち帰って証明しないといけない。それは僕らが探査船「ちきゅう」や「しんかい6500」でやってきたアプローチで、現場観測でわからないことを調べるために海底からサンプルを持ち帰る。

—- 持ち帰って微生物がいるか、培養したりするわけですか?

高井: そうです。ところが今NASAやヨーロッパで計画されている生命探査は「現場観測」。コストが安いから。でも科学史上最大の問題を解決するんだから、サンプルリターンをすればいいじゃないかと。

—- 具体的にどうやって実現しようと?

高井: NASAに提案書を何回も出してます。たとえばNASAの研究者と共同で国内の研究者や技術者に入ってもらって2014年にNASAのディスカバリー計画に出した。落ちましたけどね。日本にはそもそも公募がない。 ・・・・・・続く※

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : ちきゅうTV Vol.9 熱水海底下生命圏を調査!

  https://youtu.be/D0_9bLOcpvI?list=PL97pirzgh57Ms7dQy4rBYdXdGFoAdqmXY

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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