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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =061=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第4話  JAMSTEC新人ポスドクびんびん物語 ᴂ

◇◆ 「JAMSTEC初出勤で放置プレー」 =3/3= ◆◇

因縁のカトーさんと再会した。ボクは、研究分野の近さもあって、形式上カトーさんのグループに配属されると思っていたが、どうやらそうではなくて、イノウエさんというリーダーのグループに配属されると知った。カトーさんとはこれまでいろいろあったが、研究上のディスカッションはたくさんしてきたし、カトーさんの本質はすごく優しい人だという確信があったので、なんとかいっしょにやっていけると思っていたが、全く知らないイノウエさんとうまくやっていけるか不安に感じた。

今から就職口を探しとけよ!

そして、そのカトーさんはJAMSTECにやってきたボクとの最初の会話の時、ボクが今でも忘れられない事を言ったんだ。

「タカイ君。とにかくよく来たね。これからよろしく。ところでさー、キミの科学技術特別研究員だっけ? それって3年間の期間しかないんだよね? そうか、じゃあ、キミ、3年後の就職口を今からちゃんと探しとけよ!」

ボクは口を聞けないほどの怒りと寂しさを感じた。

今から思うと、このカトーさんのセリフは、どういうつもりで言ったのかは別として、すごく重要な、確かにポスドク研究員に対して最初に言っておくべき大事なセリフだと思う。これをちゃんと伝えておくことは、ポスドク研究員としての「覚悟」を確認する必要不可欠な「通過儀式」だと思う。

しかし、当時の青臭いボクには、「別にキミなんか必要ないからね。やりたい研究だけやって、とっとと出て行ってくれ」というニュアンスにしか受け取れなかった。

確かにボクはまだ博士号取りたてのひよっこでしかなかった。だけど、既に6本近くの研究論文を国際誌にて発表もしくは受理されていたし、プロの研究者として自分なりの自信とプライドを持って、そして京大の出身研究室の看板を背負って、このJAMSTECにやってきたんだ。

そのプライドに砂をかけられたようなセリフに、ぶちまけようのない怒りを覚えながらも、ボクは久しぶりに心の奥底から湧き上がってくる何か熱いエネルギーを感じてもいた。ここ数日、ホームシック気味でヘタレぶりを発揮していたボクだが、このカトーさんの言葉を聞いて、ハッキリクッキリと認識し直したんだ。

「そうだ、ボクはまだJAMSTECではナニモノでもない。ちょっとした自信と実績でいい気になっていたけど、そんなチンケな自分を認めて貰おうと思っているようじゃダメダメだ。いつだって、超ナマイキな自分の存在を、行動と結果によって認めさせてきたんじゃないか。よっしゃー、カトー! 今の言葉を3年後まで覚えとけよ! 絶対、見る目がなくてすみませんでしたぁぁぁ、と言わせてやる」

ある意味カトーさんのおかげでボクはいつものボクに戻れた。そして、なんとなく自分にとっての新しい環境であるJAMSTECでの生き方が決まったような気がした。そうと決まれば、自分がナニモノかであることを示す示威行動を起こすのみだ。その日からボクのJAMSTEC新人ポスドクびんびん物語が始まった。

= 生命は海から?陸から?宇宙から?—高井研さんに聞く・後段 -1/7- =

世界中の深海に潜り、誰よりも生命の起源を探ってきた男、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の高井研さんインタビュー第二回。前回は「生命の起源を解明するには地球だけを研究していたのではダメ。宇宙に行かないと!」と高井さんが力説したのに、反応鈍く、ダメだしされた情けない場面で終わった。

その後は感動ポイントを逃さないよう若干キンチョ―しつつ(笑)、しぶとく質問を続けるうち話題は太陽系の果てへ、さらに地球最後の秘境「超深海ゾーン」へと広がっていく。思いっきり熱いトークを聞くうちに、いつしか気持ちも解き放たれ、宇宙や深海探査の魅力にぐいぐい引き込まれていくのでした。ところで高井さんが探査の醍醐味を感じる瞬間は?意外にも、大発見の時ではないようです...探査へGo!

………宇宙も超深海も「行かなきゃダメ!」

—- いや、感動してます(大汗)。深海に潜ってきた研究者が宇宙に目を向け、さらに宇宙探査を推しているのが面白い!と思って今日、ここに聞きに来たんです。

高井: その割には全然流されちゃったし(笑)。でも、今のが究極のみそです。生命の起源という命題を人類が初めて解決するために宇宙に行く。夢やロマンじゃない。

—- はい。で「土星の衛星エンセラダスに過去の地球と同様の海があり、生命が生息できる」というネイチャー誌に掲載された発表(欄外リンク参照)について聞きたいんですが。エンセラダスからの噴出物にシリカの微粒子があって、宇宙空間にあまり存在しないシリカがなぜあるのか、宇宙の研究者はよくわからなかった。解明の鍵は日本が行ってきた深海熱水調査だったと、高井さんが出演されたTV番組(NHKクローズアップ現代)で紹介されてましたね。

高井: ちょっとテレビ側のやりすぎですけど(笑)。ただ宇宙の研究者は、自分たちの星のことも、生命のこともあまり知らないんじゃないかと。宇宙と地球を切り離して考えているような気がする。でも僕から言わせると、「地球こそ宇宙」なんです。地球は宇宙の中にある。どれだけ地球が「一般性」と「特殊性」を持っているか、そこから宇宙を見ないといけない。・・・・・・続く※

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : ちきゅうTV Vol.6 熱水海底下生命圏を調査!

  https://youtu.be/Bl0OjEplEBs

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