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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =060=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第4話  JAMSTEC新人ポスドクびんびん物語 ᴂ

◇◆ 「JAMSTEC初出勤で放置プレー」 =2/3= ◆◇

「何だ、このいきなりの放置プレーは。もしかして、これが噂の関東人による関西人いじめか? オレの隠しても隠しきれない京都人の気品が関東人に鼻持ちならないのか? 関東恐るべし! 早速アメリカより遙かに巨大なカルチャーギャップを味わわせてくれるとは」 と、かなり間違った方向の被害者意識に囚われ始めていた。

そんな時、通勤バスが到着して人がゾロゾロと建物の中に入ってきた。ボクはその中に、知っている女性研究者の顔を見つけた。藁にもすがる思いで、彼女に声をかけ、「今日からよろしくお願いします」と挨拶した。 彼女は、「今、南イタリアでマリンバイオテクノロジーの国際会議をやっているから、カトーさんをはじめ、リーダークラスの人は誰もいないよ。そもそもタカイさん、なぜイタリア行かなかったの?」と言った。

そうだボクもその学会には参加する予定だった。その国際会議は1週間かけて、南イタリアの小さな海辺の街をバスで転々と移動しながら、移動先で講演やポスター発表を少し行い、そして大半の時間はワインを飲んで騒ぐということを繰り返すだけという未だかつてないほど魅惑的・快楽的な学会で、ボクも物凄く楽しみにしていたのだった。妻とNHKのイタリア語会話で一生懸命勉強してイタリア語まで覚えたくらいだ。

しかし「10月1日に出勤しなさい」と言われたから泣く泣くキャンセルして、今ここにいるというのに。

またもや怒りが爆発しそうになったが、その女性研究者が、これからボクがお世話になる研究グループの事務・管理部門の部屋に連れて行ってくれたおかげで、ようやく出勤初日の形を整えることができた。そして、研究員達が仕事机を置く大部屋に案内して貰い、空いている場所に自分の仕事机を作り、ようやく居場所を見つけた。

落ち着いて冷静になってみると、ボクはJAMSTECに来た初日にして、「あぁ、ボクは別に望まれてここにいるわけではない」という事実を認識し、ひどく落ち込んだ気分になった。たしかに、身分としても居候だし、誰もボクのことを知っているわけではない。自分で勝手に舞い上がって、「JAMSTECに来てやったわ、オラ」みたいな気分だったかもしれないが、あくまでJAMSTECの人間からすれば「誰?アイツ?」的存在でしかない。自分で選んだこととは言え、「ヌルイ、ヌルすぎる!」と文句を言っていた京大の研究室の温かみがとても恋しく感じたんだ。

ある意味アメリカ留学の時よりも強烈なホームシックを感じながら数日を過ごした週明けの月曜日、国際学会から帰国した微生物系研究グループのリーダー達が出勤してきた。

そして因縁のカトーさんと再会した。ボクは、研究分野の近さもあって、形式上カトーさんのグループに配属されると思っていたが、どうやらそうではなくて、イノウエさんというリーダーのグループに配属されると知った。カトーさんとはこれまでいろいろあったが、研究上のディスカッションはたくさんしてきたし、カトーさんの本質はすごく優しい人だという確信があったので、なんとかいっしょにやっていけると思っていたが、全く知らないイノウエさんとうまくやっていけるか不安に感じた。

= 生命は海から?陸から?宇宙から?—高井研さんに聞く・前段 -6/6- =

海洋研究開発機構(JAMSTEC)深海・地殻内生物圏研究分野分野長 高井研さん。「しんかい6500」実機前で。(高井さんの右側にある丸窓が研究者用窓)深海や生命について語り出すと止まらない、めちゃくちゃ熱くて濃い方です。

………温泉派VS深海熱水派 決着はエンセラダスで!

—- 地球で生まれた生命はたった1回の結果論でしかない。つまり地球は1回しかサイコロを振っていない。地球もエンセラダスも木星の衛星エウロパの海も、基本的にはでき方は同じですか?

高井: 岩石と水が反応して海ができて、同じような塩の濃度もある。多少中に入っている小さな化学成分は変わりますけど。もちろん太陽の光は当たらないから、我々みたいに進化はしていないですが、過去の地球とエンセラダスの海はよく似ている。ほぼ一緒ですね。

—- ほぉ!

高井: エンセラダスに今生命がいる可能性が高いというのは、すごい発見だと思いますけど、実は重要なのは発見ではなくて「比較」なんです。エンセラダスにはメタン菌がたくさんいると思われている。そのメタン菌のシステムを見て、地球上の微生物とよく似ているなとわかったとしましょう。地球ではサイコロを一回しかふらなかったが、地球とエンセラで2回ふったことになる。

—- 地球で一回、エンセラで一回。

高井: どっちも1がでたら?「このサイコロは1が出るサイコロだ」とかなり言いやすくなる。次にエウロパに行く。また1が出たと。するとサイコロは1が出るサイコロ。つまり「生命の生まれ方が共通している」。エンセラダスもエウロパも46億年の歴史があって陸はない。つまり「生命の誕生に陸はいらない」ということになる!

—- 海だけで生命が生まれたと結論できる?

高井: 確率論でなく事実として「深海熱水で生命が生まれる」という証明ができるんです!

—- あのエンセラダスの発表で・・

高井: 今のすごく感動してくれないといけないポイントですよ!要するに「生命の起源」を解決するためには、地球だけを研究していたのではダメで、宇宙に行かないといけないというめちゃくちゃ重要なロジックですよ。だからエンセラダスに行く理由があるんですよ!

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : ちきゅうTV Vol.5 熱水海底下生命圏を調査!

  https://youtu.be/tXMn5Euj_jg

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