〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第3話 JAMSTECへの道 後編 ᴂ
◇◆ その5 僕はキミの目がとても気に入っている =3/3= ◆◇
そうだ、おそらくボクが一番、人に誇れるのは自分の情熱を、心を、まっすぐに伝えることできる「この目」以外にない。 ボクの妻となった女性も同じことを言っていた。 ボクは、面接の最後に断りの返事をしなかった。 そのかわり、理化学研究所と天秤にかけていることを話した。 そして京都に帰って、妻と相談してから返事しますと話した。 そして、二人に深々と頭をさげ、JAMSTECの東京連絡所を後にした。
その日の帰り道は、昨日とうってかわって、とても清々しい気持ちでいっぱいだった。 それはJAMSTECに行くことを決断したという意味では全然なくて、何か自分の全存在をありのまま評価してもらったという人生で初めての感覚に、心が澄みわたっていた。
JAMSTECやるじゃん。 そんな軽口を一つ叩いた。 それでもボクはたぶん理化学研究所に行くことを選ぶだろう。 だけど、早く京都に帰って、今日のことを妻に話したくてしょうがなかった。
その夜、京都に帰ったボクは、関東制覇遠征の一部始終を妻に話した。 そして、自分なりの結論として「理化学研究所に行こうと思うんやけどどう思う?」と聞いた。 妻はニコリとして 「そんなん、最初からわかりきった答えやん。 最初から結論でてるやん」 と言ったんだ。
ボクは「えっ、そう?」と聞き返した。 ボクは本当に妻の言ってることがよくわからなかったんだ。
「それってどういうこと?」 / 「行きたいんでしょ。 JAMSTEC」 / 「え、そんなこと誰が言った? 理化学研究所やて言うてるやん」 / 「ううん。 最初からJAMSTECに行きたいって言うてます。 誰が見てもそうやん」 / 「うそー。 ほんまに? そんなこと言った? 俺ってJAMSTECに行きたがってるの? ハハッ」
「ハイハイ、言うてます。 完璧に」 / 「えー、JAMSTECに行きたがってるかなー? ほんまかなー? あのJAMSTECに?えーそれはないやろ? ハハッ」 / 「イエイエ、言うてました。 最初から」
これじゃ、まるで漫才にしか聞こえない。 妻は、アメリカに旅行した時ぐらいからずっとボクがJAMSTECに行きたがっていたし、最初から何も決断が変わっていないと言った。 その言葉を聞いて、ボクはようやく自分で気がついた。 そうだ、ボクはいつからかJAMSTECに行きたいと思い始めていたんだと。
彼女はボク以上にボクのことがわかっていた。 「給料、待遇、安定した将来性・・・」みたいなくだらないことを口にする「ボクの言葉」ではなく、「ボクの目」が望んでいることを最初からわかっていたんだ。 そして、ボクの背中を押してくれた。
ボクの大好きな映画に「フォレスト・ガンプ」という映画がある。 有能で成功することを至上とする米国社会において、知能指数が人並みに至らない主人公フォレスト・ガンプが、努力と幸運によって成功していく物語である。 とても愉快なタッチなのに、笑った後に少しもの悲しくホロリとさせられるいい映画だ。
映画のキャッチフレーズにもなった、フォレスト・ガンプの母親の言葉 「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」の意味がラストシーンで語られる。 ボク達にはみんな、運命があるのだろうか? それとも風に乗って舞う白い鳥の羽のようにたださまよっているだけなのだろうか?
フォレスト・ガンプは、たぶん二つ同時に起こっていると答え、映画は終わる。 ボクとJAMSTECの繋がりも、たぶん二つ同時に起こっていたように思うんだ。
= 生命の起源を探し求め、深海から宇宙へ…!=
JAMSTEC が誇る“しんかい6500”“ちきゅう”など世界有数の装備を駆使して、深海熱水に“生命の起源”解明のキーを求めてきた高井研さん。 新たに宇宙での生命探索として人類科学史永遠の謎に真正面から向き合う
深海熱水微生物の研究家・高井研が挑む人類史上永遠の謎 (2/3)
深海・地殻内生物圏研究分野/ 分野長 高井 研
“生命の起源”解明の壮大な夢
「この研究が生命の起源を解き明かすことになるかもしれない」 大学で出会った、熱水に棲む超好熱菌に可能性を強く感じた高井青年は、超好熱菌の研究にのめり込んでいった。
当時はPCR法(※2)の実用化など、分子生物学の大きな転機を迎えており、高井氏は浅海域の熱水や温泉での超好熱菌研究で結果を残していった。
※2)PCR法/ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)を用いて少量のDNAを増幅させ検出する。現在でも分子生物学で欠かせないDNA検査法。
そして、留学先のアメリカで、世界で一番深いマリアナ海溝の底に潜ることができる無人探査機「かいこう」のほか、有人潜水調査船「しんかい6500」や海洋調査船をそろえ、世界的な海洋研究機関として注目されていたJAMSTECの話を耳にする。
「自分の研究手法で深海熱水を調査したら、きっと面白い結果が出せる」 そう強く意識した高井青年は、紆余曲折を経ながらもJAMSTECに特別研究員として参加。半年後には「しんかい2000」で深海熱水調査を実現するなど、熱意と実績でやがて深海・地殻内生物圏研究分野を任されるまでになり“生命の起源”解明に真正面から取り組むことになった。
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 : 熱水海底下生命圏を調査!(前編)
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