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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =052=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第3話  JAMSTECへの道 後編 ᴂ

◇◆ その5 僕はキミの目がとても気に入っている =2/3= ◆◇

ボクは二次審査というのはほとんど形式的なもので、審査はほぼ一次審査で終わっているということを聞いた。 つまり二次審査というのは、これから一緒に働く研究室のボスやメンバーと顔合わせをしなさいという意味合いが大きいのだということを。ボクは多分合格していると言われた。

でもその時、何故かあまり嬉しさを感じなかったんだ。 そして、おそらく10月から一緒に働く可能性が高い研究室の人たちに挨拶した。 その研究室は、すこし京都大学の研究室と雰囲気が似ていて、とてもアットホームな感じのする、 親しみやすい人たちばかりだった。 しかし、相変わらず心は晴れなかった。

研究に関する議論をしているときの、何となく噛み合っていない不完全燃焼のような感覚。 自分の情熱が空回りしている感覚。 そういう何か直感的な感覚が、「合格している」と言われた時の喜びを激しく阻害していた。 確かに給与や契約期間の長さなど、待遇は凄く良かった。 研究室の雰囲気も良かった。

それに、契約終了後の正規職員への昇格可能性についてまでかなり肯定的な話をしてもらった。 その帰り道、ボクはいろんな好条件を何度も頭の中で暗唱しながら、できるだけ理性的に決断しようと努力した。 そして理化学研究所に行こうと決めた。 にもかかわらず、ボクのグッタリした気持ちは晴れないままだった。

そして次の日、ボクは因縁のJAMSTECの面接に向かった。 朝起きたときから、「面接の最後に、いさぎよく断りの返事をしよう」と決心していた。 そして、新橋にあったJAMSTECの東京連絡所のドアをノックした。

そこには、現在JAMSTECの理事をしている堀田さんとあの「怖―い」掘越先生がいた。 しかし、もはや決心しちゃったボクは怖じ気づいていなかった。 堀田さんが「キミはJAMSTECに来たらどういう研究がしたいのですか?」と通り一遍の質問をした。

ボクは、自分でもびっくりするぐらいペラペラと、そして熱く、その動機や研究について語った。 よく考えれば当たり前だ。ボクはアメリカのあの国際学会のクリスタ・シュレパーのポスターの前で、「なんとしてでも世界の誰よりも早く深海熱水の未知の微生物の多様性を明らかにしたい」と心に火をつけたんだ。

その情熱はずっと熱いままだった。 一通りしゃべると、掘越先生が一言つぶやいた。 「うーん、深海熱水の微生物の多様性ねぇ」。なんとなく気にくわないような感じだった。

腹の据わっている今日のボクは思わず「掘越先生が血の通わない遺伝子配列だけの情報に興味がないのは分かります。でも、もし掘越先生の興味がなくても、これはまずJAMSTECが世界に先駆けて絶対にやらないといけない研究なんです! ボクはずっとそう思ってきたんですよ」とやや掴みかかるような勢いで語った。

堀田さんは少し焦ったような顔をして、場をとりなそうと動いた。 その時ジッと睨みを利かせていた掘越先生が口を開いた。 「キミのような若者から、そういう話が聞けるとは思わなかった。 そうか、それが重要だと思うか」

ボクはさらに畳みかけようとした。 それを掘越先生は手で制した。 そして、 「僕はキミの目がとても気に入っている。 僕のような年寄りになると目を見ればだいたいわかるんだよ。 キミのことはすべて目をみればわかる」といってニヤリと笑った。 堀田さんがホッとした顔でソファーに座り直した。

ドクン。 胸の奥が音を立てた。 そして熱くなった。 そして全身にジーンときた。 そんな嬉しい言葉があるだろうか。 その言葉はボクの琴線に物凄い勢いで響いてしまった。 そうだ、おそらくボクが一番、人に誇れるのは自分の情熱を、心を、まっすぐに伝えることできる「この目」以外にない。 ボクの妻となった女性も同じことを言っていた。

 

= 生命の起源を探し求め、深海から宇宙へ…!=

JAMSTEC が誇る“しんかい6500”“ちきゅう”など世界有数の装備を駆使して、深海熱水に“生命の起源”解明のキーを求めてきた高井研さん。 新たに宇宙での生命探索として人類科学史永遠の謎に真正面から向き合う。

深海熱水微生物の研究家・高井研が挑む人類史上永遠の謎 (1/3)

深海・地殻内生物圏研究分野/ 分野長 高井 研

深海熱水に棲む最古の生態系を発見

「冒険的に未知の場所に行くのが楽しいんですね。必ず新発見というものがあって、それが面白くてやっています」と話すのは、JAMSTEC(海洋研究開発機構)で、深海・地殻内生物圏研究を担う高井研氏。日本が世界をリードしてきた深海熱水における微生物研究の第一人者だ。

深海には300度を超える熱水が湧く熱水噴出孔がある。深海熱水微生物とは、太陽光の届かない極限環境でも、その熱水に含まれる硫化水素やメタンなどをエネルギー源として有機物を作り出す生物だ。

深海に50回以上もの潜航経験を持つ高井氏とそのチームは、有人潜水調査船や無人探査機を駆使し、水深500~5000mにある深海熱水噴出孔50箇所以上を直接調査。その中でインド洋海嶺の深海熱水に棲む、超好熱菌に注目。2002年の調査で、深海熱水環境に地球太古の生態系(ハイパースライム)が現存することを突き止めた。

「インド洋・かいれいフィールドの深海熱水は、日本近海のそれとは棲んでいる微生物がまったく違いました。原因を突き詰めると、インド洋の深海熱水は高濃度の水素を含んでいることが判明しました。水素を食べてメタンを作り出す菌がいて、別種の微生物がメタンを利用して…と、太陽に依存しない、地球内部から出てくる物質だけに支えられ独立した生態系がハイパースライムなのです。また、この深海熱水の高濃度水素は、周囲にある超マフィック岩という種類の地層が作用していることもわかりました。この発見が大きな転機になりました」

1977年に深海熱水噴出孔が発見されて以来、これこそ“生命の起源”の故郷という仮説が生まれたが、高井氏らの発見はそれを強力に推し進めるものであった。メタン菌などの超好熱菌は、人間にまでつながる系統樹の共通祖先に近い存在だった。さらに40億年前の太古の地球には、コアチマイトと呼ばれる超マフィック岩がふんだんにあったことなどをチームに参加した地質学者らが補完。“ウルトラH3(エイチキューブ)リンケージ”仮説と名付け、理論展開した(※1)。

さらには積み重ねたデータやサンプルの分析、最大600気圧をかけられる独自装置で太古の地球環境を再現するなど、理論・調査・実験を何度も何度も積み重ねた結果、2014年には“ウルトラH3リンケージ”仮説が地球最古の生態系であることを証明した。最終的に“JAMSTECモデル”と名付け、アリストテレス以来、科学の大きな命題である“生命の起源”の解明につながることを世に示したのだ。

※1)ウルトラエイチキューブリンケージ/ウルトラ=超マフィック岩(Ultramafic rocks)+H3=熱水活動(Hydrothermal activity)、水素(Hydrogenesis)、ハイパースライム(HyperSLiME)がそれぞれ結びついている(Linkage)

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : 熱水海底下生命圏を調査!

  https://youtu.be/Bl0OjEplEBs

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