〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第3話 JAMSTECへの道 後編 ᴂ
◇◆ その4 タカイ君、騙されてるんちゃうやろな? =2/3= ◆◇
ボクはJAMSTECの微生物研究の中身や研究室について、よく知らなかった。海外での存外に高い評価以外には、「しんかい6500」や「かいこう」、そして高温高圧培養システムがあるということぐらいしか分かっていなかった。それに、深海熱水の研究は諦めきれなかったけれど、高温環境の微生物生態の研究なら、京都大学でも十分できるし、少し自分でやってみたいこともあった。
長い逡巡の末、ようやく意を決して、カトーさんに電話を掛けた。カトーさんが出た。 「京都大学のタカイですけど、あのー、アメリカの学会の時、お誘い頂いた件で電話しました」
カトーさん「あー、あの件ね。うんうん、覚えていますよー。でさー、実は申し訳ないんだけど、あれからあの話ねー、なくなっちゃったんだよねー。なんか、今年は人採れないとか言われちゃってサー。ホントごめんねー。でもさ、あのー、科学技術振興事業団というところにね、外部資金のポスドクっていうのがあるんだよ。どうしてもJAMSTECに来たいならアレに応募しなよ。じゃ幸運を祈ります」
簡単ではあるが、できるだけ記憶に忠実に再現してみた。 ボクの心の魂の叫びを表すなら「ゴラー、カトー、なめとんのかー。あれだけ軽ーく、簡単に話を進めるだけ進めて、話を終わらすのもいきなりかい! 絶対に許さない! ダメ絶対!」
カトーさんの弁護をするなら、JAMSTECのようなところは1年1年、コロコロ様々な方針が変わるわけで・・・。今ならボクにもよく分かる。色々やむにやまれないオトナの事情があったんでしょう。しかし、イタイケな若者にとって、そんな事情は理解できるだろうか、いやできない(反語)。
結果としては、両者の思惑は一致したことになるのでしょうか。そして怒りにワナワナと震えるボクとJAMSTECを結ぶ運命の糸はスッパリきれて、二度と交差することはないエンディングになる、はずだった。
実は、このカトーさんの電話は、むしろボクとJAMSTECを堅く結び付ける運命の糸だったように思う。電話の後、ボクの心に大きな変化が起きたんだ。それまではどちらかというと「JAMSTEC? うーん」と思っていたんだけど、この電話の後、ボクは反骨心がメラメラと燃え上がってしまったんだ。
「くそー、JAMSTECめ。オレをコケにしやがって、ナメやがって! キィー! よしこうなったら、意地でも科学技術振興事業団とかいうところのポスドクに応募して受かってやる。そして見ていろ。散々期待させたところで、今度はオレがあっさり振ってやって、泣かしたる」
そんな紆余曲折があったボクの博士課程最終年、27歳になったボクは無事博士号を取得した。デート・ケンカ・仲直りを繰り返した女性がボクの妻となった。そして晴れて日本学術振興会のポスドクとして、1997年の4月からプロの研究者としての第1歩を京都大学の研究室でスタートさせることになった。
= 物事を究極に成し遂げたいなら、他人をいいわけにするな (4/6)=
「信託」が物事をうまく回す
深海・地殻内生物圏研究分野/ 分野長 高井 研
いまの日本は、ヒトや社会に対する漠然とした「信頼」がなくなっていますよね。政治にしても何にしてもプロフェッショナルがいるはずなのですが、誰を信頼していいかがわからないために、プロでない一般の人がインターネット等の溢れる情報に踊らされ、パニックになったり騒ぎ立てたりしている。「一億総情報収集」時代で情報過多になってしまっています。
僕は「信頼して任せる」ことを「信託」と言っています。信頼し、任せることが大切ではないかなと。政治や社会の矛盾も、逐一ロジカルに追究すればなくなる。本当でしょうか?勿論良くなる方向に持っていけるかもしれませんが、追究には手間暇や時間がかかってお金の無駄にもつながり、結果として状況が悪くなってしまうこともあるのでは?誰かがやることを信頼して任せることでうまくいっていた部分があるのに、今の世の中は行動をつまびらかにしすぎることで物事がうまく行かなくなったことも多いのではないでしょうか。
人間はみんながロジックで動くわけでありませんから、一から百までキッチリ管理したら動かなくなってしまいます。仕事もそう。上司にも部下にも信頼して任せることで、うまく回る部分は大きいと思いますよ。
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 : 生命の起源はいつか・生命とは何か
https://youtu.be/BWTjK9KRDN8?list=PLIChpw_UiCfAZs1PKv6m_yDYVm69aulot
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