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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =047=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第3話  JAMSTECへの道 後編 ᴂ

◇◆ その3  この研究を深海熱水でやりたい!! =3/3= ◆◇

ボクはカトーさんに、ついさっき思いついたばかりの研究アイデアを、まるで長年温めてきた「秘策のアイデア」のように、熱く熱く、語った。 そして最後の最後に、「まあこういう新しい研究ができるのは、日本の若者の中でも、深海熱水の研究をワシントン大学でもやっていたボクぐらいしかいないと思いますよ(嘘)。JAMSTECでボクを雇いませんか? ボクにぜひこの研究をやらして下さい!!!」とハッタリを吹いてみた。

本当の事を言うと、クリスタ・シュレパーのポスターを見るまでは、JAMSTECは、将来の「職」として、ボクの希望先ではなかったんだ。すごい研究機関だとは思っていたけど・・・、アメリカ留学中にはチラッといいなあと思ったのも事実だけども・・・、やっぱり、ちょっとJAMSTECに対しては「設備は超一流。研究は二流」(すみません。当時のボクの偽らざる気持ち)という思いが強くて、「ヘッ、ナメンなよ!」と思っていたんだ。

でも、本気で「分子生態学的手法による深海熱水微生物多様性研究」をやりたいなら、当時は、日本ではJAMSTECでしかできない研究だった。そして瞬間的に、思いっきり「自分を売り込んでしまった」のだ。

「ふーん、じゃあ来年から来なよ。やればいいじゃん。ハハッ」  恐ろしく軽い返事が返ってきて、ボクはびっくりしてしまった。

「えーとデスね、いま、ボクは人生の重大な選択に際してデスね、かなり重要なご相談を申し上げているわけでして、そのデスね、ネコの子供をもらってくれと頼んでいるわけではなく、ええ、大の人間を雇えと申し上げているワケですが・・・・・・。ホントだな? その言葉に二言はねえな?」 そう言いたかったが、あまりの驚きに言葉が返せなかった。

その日は、なにかよく分からないまま、ボーッとした感じのままだったが、次の日はもっとびっくりする事態になっていた。 カトーさんが学会に参加している他の日本人研究者を連れてきて、「ハハッ、紹介します。来年からウチにくる予定のタカイ君です」なんて言うのだ。ボクは再び、開いた口がふさがらなかった。えっ、嘘。いつ決まったの?

ボクは事態の進みについていけなかった。ホントなの? ホントに来年からJAMSTECに行くの? こんな軽いモノなの? カトーさんって妄想癖ないよね?

さらに、カトーさんは畳みかけてきた。「タカイ君。来年からウチに来るなら、やっぱり大ボスの掘越(弘毅)先生に挨拶しないとね。今日、掘越先生がアトランタに着くから一緒に空港に迎えに行こうよ。クルマ出せや」

結局、クルマを出す必要はなかったが、その日の夜遅く、掘越先生を迎えにアトランタ空港に一緒に行くことになってしまった。何かボクの身の回りで、激流が渦巻いているような気がしていた。そして、空港ではじめて掘越先生に挨拶した時、またカトーさんが「ハハッ、紹介します。来年からウチにくる予定のタカイ君です」と言った。

その時だった。掘越先生は、昔の偉い大学教授然とした雰囲気を残した人なので物凄くオーラがあるが、普段は気さくな笑顔を振りまく先生なのだが、カトーさんの紹介には、「ギラン」と目を光らせた。「値踏みされている」ということがすぐにわかった。

ボクは掘越先生の眼光に、かなり萎縮してしまったが、すぐに「ナメられるな!」と自分を鼓舞した。掘越先生の底の見えない「人間の怖さ」は、何かカトーさんの軽さとは絶対的に相容れないモノがあるような気がした。そして、自分の置かれた事態がよく分からない、狐につままれているような気分は変わらないままだった。

そして、ボクにとって初めての、興奮に溢れた、またいろんなコトが起こりすぎた、激動の国際学会が終わった。何となく、ボクの未来は視界良好なのか暗中模索なのかよくわからなかったけれども、まずは博士論文を仕上げることだと自分に言い聞かせてバタバタと帰国の途についた。

 

= 物事を究極に成し遂げたいなら、他人をいいわけにするな (2/6)=

スキル(技術)の誇示では、人を納得させられない

深海・地殻内生物圏研究分野/ 分野長 高井 研

サイエンスは実力主義で結果がすべての世界なので、どんなにコミュニケーションが苦手でも、立派な仕事をすれば勝てます。しかし、プロジェクトの運営は、そうはいきません。研究者といえども、人間力、コミュニケーション能力を磨かなければ。スキル(技術)だけで人を納得させることはできないのです。

僕の考える「人間力」の重要な要素として、2つ挙げる事ができます。ひとつは、「この人は自分にないものをもっている」と意識しながら相手を見ること。自分にはない、飛び抜けた能力やプロフェッショナリティに対して敬意を払うことが、相手を信頼することにつながっていきます。

もうひとつ僕が心がけているのは、「誰に対しても裏表が無く、フェアに接する」こと。要するに、小学生でも大臣でも初対面では同じように接しようとしています。それは心で決めた僕のポリシー。人を地位で判断せず、どんな人でもフラットに対応して自分の中で好きだと思ったら付き合う、嫌いだと思ったらやめる。

研究者の間で、研究に必要な総合能力を「腕力」という言い方をするのですが、ガキ大将のように、腕力が強くてフェアであるのが僕の理想。接する側の人間にしてみれば、相手を読みやすいので付き合いやすいと思いますよ。

「人間力」、特にフェアであることについて考え始めたのは、子どもの頃です。僕自身片親でしたし、豊かな家庭とは言えませんでした。似たような環境の友人もたくさんいます。そういう環境で育った子どもは差別されがちで、人間関係に対してとてもセンシティブな感覚を持つようになるんです。友人が差別されているのを見ていつも感じていた憤りが、「人は人間性で判断すべき」という考えにつながっていきました。

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : JAMSTECニュースハイライト2016   https://youtu.be/RSvduMMmOd8

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