〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
イラスト:表紙ー既存
ᴂ 第二話 JAMSTECへの道・前編 ᴂ
◇◆ その4 アメリカ留学「ケンはなかなか面白いアイデアを持っている」 =3/3= ◆◇
ニューヨーク・タイムズのそのページにはデカデカと「日本人がマリアナ海溝にフィッシュを見つけた」と言うタイトルと日本のJAMSTECの無人潜水ロボット「かいこう」がマリアナ海溝最深部の調査に成功したという記事が載っていた。そして、その記事とは別に、「深海の開発競争でも日本にしてやられた」というような解説記事も掲載されていた。
ジム・ホールデン 「おい、ケン、ジャムステックって知ってるか? スゲェ研究所だな。世界最深部に潜水できるロボットなんか造ってるじゃないか。しんかい6500という有人潜水艇もあるらしいぞ。日本って凄い技術力だな、海洋開発では今ぶっちぎりで世界一かもな。オマエ、ここに就職しろよ。そしたらオレを招待して、潜航調査させてくれよ」
ボク 「JAMSTEC? ああ、知っているよ。確かに設備は超一流だね。でも研究自体は二流ってとこだな(あくまで当時のボクのひがみの入った意見です)。でもこれって、そんなに凄いことかな?」
ジム・ホールデン 「凄いじゃないか。こんな機器や設備があれば、凄い研究ができるよ。それに大した研究者がいないなら、なおさら好都合じゃないか。優秀な研究者だったら、自分の思い通りに研究できるじゃないか」
そう興奮して話すジム・ホールデンを見て、ボクは言葉では皮肉ってみたが、本心では少し、日本の科学技術が、そしてJAMSTECの科学技術が誇らしく思えた。ボクの留学中は、日本の円が世界の通貨の王様だった時代だ。アメリカでは、日本経済に対する脅威論を煽るような風潮が多かった。
しかし、ジム・ホールデンのような若者は、どちらかというと「日本って、技術力の高い、経済的に裕福な国だよね。1年ぐらい高給で働いてみたい」的なノリを示すことが多かったと思う。
ボクの出身研究室はバカにしたくせに、JAMSTECには「スゲー、スゲー」って素直に感服するジム・ホールデン。ニューヨーク・タイムズの記者を、そしてある意味アメリカという国をビビらせたJAMSTECの研究設備や環境、そしてその知名度。
ボクのなかで、いつもの「クソー、JAMSTECなんかに負けてたまるか!」という思いと、「将来JAMSTECで研究したい・・・かも」という思いが初めて交錯したような気がした。
アメリカ留学中にいろんな所で、そして深海熱水研究の世界の中心であったワシントン大学海洋学部で耳にしたJAMSTECの評判は国内とは全く違っていた。
まだ日本ですら、何者でさえもなかったボクには、世界的にネームバリューがあり、スゴク高く評価されているJAMSTECがすごくキラキラと眩しく、羨ましく見えた。まるで、高級ブランドの服を身にまとっているだけで、高級な人間に見えると思うように、JAMSTECというブランドをまとって自分を飾ってみたいという気持ちが少しあったのかもしれない。
しかしボクには得も言われぬ自信があった。ほぼ1年間の留学生活を終えるに当たって、まるでグラスに注いだビールが溢れるように、日本に帰ったらやってみたい研究のアイデアや実験が頭から溢れそうだった。
アメリカでは議論を尽くして研究のアイデアやデザインをしっかり固めることの重要性を学んだ。学生でもイッチョウマエの顔をして主体的に研究を進めるものなのだということを学んだ。そして自分なりのやりたい研究テーマが溢れるほど湧いてきた。それをやれば、世界中の誰にも負けないぜ。
日本に帰ろう。そして帰ったら、俺はメチャクチャやるぜ。もはや大学の先生やJAMSTECなんか目じゃないぜ。
たった1年という短い間だったけれども、ボクにとっての初めての留学は、研究という世界共通言語の限りない広がりを思いっきり感じさせてくれた。そして、井の中の蛙だったボクに、とてもリアルな「大きな世界」の存在を教えてくれた。
アメリカ留学中に英語の勉強として、映画「愛と青春の旅立ち」を何度も見ては、「やっぱりこの映画エエわー」と爽やかな気持ちになっていたことを覚えている。シアトルの近くにある海辺の小さな田舎街、ポート・タウンゼントで撮影された、リチャード・ギアとデボラ・ウィンガーが演じる青春映画だ。
もう25歳になったボクにとって、この最初の留学は、まさしくある意味、「愛と青春の旅立ち」と呼べるモノだった(愛の部分は省きましたけどねッ)。ボクは、旅立つリチャード・ギアになったような気持ちで、よく分からない高揚感と情熱をたぎらせて再び日本に戻ってきたんだ。
=光の届かぬ海底世界に、」人類が求める宝が眠る=
6,000メートルの潜航能力があれば、海洋の97%は探査できる =2/2=
現在、JAMSTECでは、「しんかい6500」のほか、AUV(自律型無人探査機)と呼ばれる「うらしま」、「じんべい」、「ゆめいるか」、ROV(遠隔操作型無人探査機)の「かいこう」、「ハイパードルフィン」など、さまざまな研究機材を保有している。また、それらの機材を活用しながら、地震メカニズム解明のほか、並行して7つの分野で研究が進んでいる。
監物 1つ目の研究分野は、海底資源の調査です。2つ目は、地球規模の環境変動を捉えるため、海水温の調査やセンサーを積んだブイから収集したデータを解析し、スーパーコンピューターを使ってシミュレーション研究を行う「地球環境変動研究」。3つ目と4つ目がそれぞれ、海溝型地震のメカニズムを研究する「地震発生帯研究」、海底にすむ微生物を含む深海生物を研究する「極限生物研究」。5つ目は、海底下の地質を掘削調査する「深海掘削研究」、6つ目が、先進的なプロセスモデルの開発やシミュレーション研究を行う「情報科学」、そして最後の7つ目が、先端技術の研究を支える各種観測機器の「技術開発」です。
7つの研究を支えるJAMSTECという組織も当然ながら大規模で、常勤職員は約1,000名、そのうち約半数を研究・技術職が占めている。施設面では横須賀にある本部のほか、横浜市や青森県むつ市、高知県南国市、沖縄県名護市に研究所を構え、それぞれが海洋に関する基礎研究や技術開発を続けてきた。
監物 例えば、東日本大震災によって被災した東北の漁業復興に貢献することを目的とした「東北マリンサイエンス拠点形成事業『海洋生態系の調査研究』」では、東北大学を中心に、JAMSTECと東京大学大気海洋研究所が一緒になって、震災が海洋生態系に与えた影響や回復過程を科学的に解明しています。
具体的には、小型無人探査機等を使って、震災後に海底がどう変化し、生物がどのようにすむ場所を移していったのかを、科学的に調べることを進めています。 調査によって得られたデータは、各自治体にも共有し、持続的な漁場の利用のためや、漁業の発展に活用してもらっています。
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 :生命の限界に迫る 「しんかい6500」世界一周航海
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