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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =016=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ  第一話 実録! 有人潜水艇による深海熱水調査の真実  ᴂ 

◇◆ その3  ぜったい変な未知の生物が見つかるに違いない =2/2= ◆◇ 

JAMSTECの研究者・高井研は、生命の起源を追ってインド洋上にいた。調査最終日、海況は悪かったものの、なんとか潜航許可が下り、二人のパイロットと高井をのせた「しんかい6500」は、水深2600メートルの海底へ向けて潜航を始めた・・・・・・

深海熱水にいる微生物は、極限環境微生物と言って、ボクらと同じ材料や仕組みで生きる生物のくせに、全く違う性質を持っている。だから、例えば地球で最初に誕生した生物の生き残りであったり、もしかしたら宇宙に飛び出していった宇宙的生物であったり、また地球の奥深くに悠久の年月潜んでいた地底生物であったり、いやなかったり、などなど、という興味深い生物なのだ。

そんなよく分からない興味だけでもなくて、これらの生物が持っている分子やそれが作り出す物質は、もしかして「色々役に立って大もうけかもしれぬ、おぬしも悪よのぉー、フォッフォッフォ」という興味もあるのだ。

そして、チムニーの中に棲むそういう微生物の種類や数なんかは、これまた深海熱水活動の違いによって変わるのだ。

話が長くなってしまったけど、だからチムニーを採取することもとても大事。

そしてもうひとつの優先事項は、この「インド洋第4の熱水活動」にどのような熱水化学合成生物、目に見えない微生物ではなくて目に見える生物たち(有名どころではチューブワームやシロウリガイのような奇妙な生物)、が生息しているかを観察・記録、そしてできる限り採取することだ。

そもそもボクら日本人研究者が、このモーリシャス共和国の排他的経済水域(領海ではなくて、漁業とか、資源開発とかを主張できる海の範囲のこと)で、モーリシャス共和国の許可を得てまで、新しい深海熱水活動を探しに来たのは、本当のところを言ってしまうと、「ぜったい、変な未知の生物が見つかるに違いない。それを発見するのだ」というめちゃくちゃ単純な希望的楽天的願望が動機といってもいい。

事実2001年に、インド洋で見つかった最初の熱水活動「かいれいフィールド」には、「スケーリーフット」と呼ばれるドラゴン・クエストとか、モンスター・ハンターとか、コンピューターゲームでしか見かけないような空想上の生物みたいな珍種の生物が実在していることがかわり、世界的に大きな話題・ネタになった。

「そんなの科学者の高度な知識でも技術でもなんでもなくて、冒険していたらたまたま見つけただけじゃないか」。そう言われれば返す言葉もないかもしれない。

でも、「まだ見ぬ深海の、暗黒の熱水活動に、人類が出会ったことのない生物がひっそりと生きているに違いない、そしてそれを最初に発見したい」っていう想いや気持ちは、ものすごい人間の根源的な好奇心、そのものなんだと思う。だから「その想いで研究したらダメなんですか?」とまるで元水着モデル大臣的なセリフを口走ってしまう。

でもその想いって、本当は、多くの人にすごく共感してもらえるんじゃないかと思うんですが、それが何か? 実際は、いろいろ小難しく理由付けするけれども、でもやっぱりそれがボクらを研究調査に駆り立てる一番の原動力なんだ。

だから、今、ボクはしんかい6500にのって、いまかいまかと海底に到着するのをドキドキしているのだ。

しんかい6500、現在水深2500m。

海底まで100m。ここで、しんかい6500は500kgぐらいの重りを捨てた。すると落下していたしんかい6500は、ぴたっと海水中で静止する。今、完全に重力と浮力が釣り合った状態。

そして、イイジマさんが「しんかい、これより海底に降りる」と無線で「よこすか」に連絡し、ボクらはゆっくりと海底に近づいていった。

=補講・資料= 

高井研・深海で生命の起源を探る(8/9)

──若い世代の研究者にアドバイスをするとしたら、どんな言葉をかけますか?

 「楽しいという好奇心で研究をしている」という気持ちを大事にしてほしいです。要するに、サイエンティスト自らが自己規制をかけてほしくない、ということです。

──わかりやすく言うと?

 例えば、僕は「しんかい12000」を作る予算をつけてほしいと学術会議でお願いしていますが、学術会議でそれを評価するのは科学者です。なのに、「○百億の予算に見合った定量的な成果があるのか?」と質問してくるわけです。そんなチンケな事を科学者が言ったらダメだと思うんですよ。

「どれだけの成果があるか分からないけど、世界観を変えるようなスケールの大きなプライスレスな研究成果があげられる自信があるならやってみろ。ただし失敗したら責任はとってもらうよ」と言ってほしいんです。

 探査の先にどんな利益が隠れているか分からない。だけど、もしいろんな意味での大きなリスクとゲイン(gain)の可能性があるのなら、どうなるか分からないというリスクに怖じ気づくのか、あるかも知れないゲインに対して投資をするのか。これについては、もはや科学者の決断ではなく、国家の決断だと思うのです。そして国家はそれをロジックだけでなく、私たちの国はこうありたいんだというビジョンや心構えで決めるべきだと思います。

 僕は、多くの子どもが将来JAMSTECや海洋に関わる研究機関や企業や組織で働きたいと思ってくれたり、そのために頑張って勉強したり、いろんな人たちと交流したり、直接的でなくても間接的に「海」や「生物」や「環境」に対して興味や関心を持ってくれることは、○百億円では量れない価値があると確信しています。そして、それが国家予算の使い方だと信じています。

 

これだけの予算をつけてくれたら私たちの暮らしがこれだけ良くなります、なんてことは科学者は説明しなくていいんです。それを強要するから、科学者の楽しいという気持ちがどんどん弱くなって、サイエンスにも夢がなくなっていくわけです。僕は周りにバカと言われようが、夢でお金をくださいと言い続けますよ。研究者というのは、夢を売って何ぼですから。

──きちんと自分の意見を伝えることが大切だということですね。

 どんな若い人でも、間違っていると思ったら意見を言えば良いし、それが科学の大前提だと僕は思います。JAMSTECの良いところは、若手であっても理事長に「あんたが言っていることは間違っている」と言えるところです。理事長との飲み会で、若手も理事長に意見していますからね。あまり大きい組織だとそういうことはできないと思いますが、JAMSTECはそれができるギリギリの規模です。

科学的事実の前で人は平等であり、地位や名声、年齢に関わりなく正しいことを言ったヤツが一番偉いという、絶対的ルールがJAMSTECにはあるから、僕達はすごくフェアな気持ちで働く事ができます。

 ただ、組織を動かそうと思ったら、論文を数多く出すとか、賞に応募して箔をつけるといった、それなりの実力の裏付け(実積)が必要な事は当然です。上を黙らせるには、それだけの実力をつけなければならない。例えば、ある人がすごい論文を書く能力があって実力があると認められたら、その人の意見はやはりないがしろにはできませんよね。あいつはああ見えても実はすごいんだというモノは、ちゃんと作り上げていかなければなりません。

・・・・つづく・・・

動画 : くるくると白いスケーリーフット

https://youtu.be/BeS-JEs9Qr0

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