〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 宇宙・深海・地殻、生物の根源を求める学究=高井研 ☠◇◆ インタビュー:まだ見ぬ生命を深海・宇宙に求めて =5/5= ◆◇
──わかりやすく言うと?
例えば、僕は「しんかい12000」を作る予算をつけてほしいと学術会議でお願いしていますが、学術会議でそれを評価するのは科学者です。なのに、「○百億の予算に見合った定量的な成果があるのか?」と質問してくるわけです。そんなチンケな事を科学者が言ったらダメだと思うんですよ。「どれだけの成果があるか分からないけど、世界観を変えるようなスケールの大きなプライスレスな研究成果があげられる自信があるならやってみろ。
ただし失敗したら責任はとってもらうよ」と言ってほしいんです。探査の先にどんな利益が隠れているか分からない。だけど、もしいろんな意味での大きなリスクとゲイン(gain)の可能性があるのなら、どうなるか分からないというリスクに怖じ気づくのか、あるかも知れないゲインに対して投資をするのか。これについては、もはや科学者の決断ではなく、国家の決断だと思うのです。そして国家はそれをロジックだけでなく、私たちの国はこうありたいんだというビジョンや心構えで決めるべきだと思います。
僕は、多くの子どもが将来JAMSTECや海洋に関わる研究機関や企業や組織で働きたいと思ってくれたり、そのために頑張って勉強したり、いろんな人たちと交流したり、直接的でなくても間接的に「海」や「生物」や「環境」に対して興味や関心を持ってくれることは、○百億円では量れない価値があると確信しています。そして、それが国家予算の使い方だと信じています。これだけの予算をつけてくれたら私たちの暮らしがこれだけ良くなります、なんてことは科学者は説明しなくていいんです。それを強要するから、科学者の楽しいという気持ちがどんどん弱くなって、サイエンスにも夢がなくなっていくわけです。僕は周りにバカと言われようが、夢でお金をくださいと言い続けますよ。研究者というのは、夢を売って何ぼですから。
JAXAに覚悟を持ってほしい
──きちんと自分の意見を伝えることが大切だということですね。
どんな若い人でも、間違っていると思ったら意見を言えば良いし、それが科学の大前提だと僕は思います。JAMSTECの良いところは、若手であっても理事長に「あんたが言っていることは間違っている」と言えるところです。理事長との飲み会で、若手も理事長に意見していますからね。あまり大きい組織だとそういうことはできないと思いますが、JAMSTECはそれができるギリギリの規模です。科学的事実の前で人は平等であり、地位や名声、年齢に関わりなく正しいことを言ったヤツが一番偉いという、絶対的ルールがJAMSTECにはあるから、僕達はすごくフェアな気持ちで働く事ができます。
ただ、組織を動かそうと思ったら、論文を数多く出すとか、賞に応募して箔をつけるといった、それなりの実力の裏付け(実積)が必要な事は当然です。上を黙らせるには、それだけの実力をつけなければならない。例えば、ある人がすごい論文を書く能力があって実力があると認められたら、その人の意見はやはりないがしろにはできませんよね。あいつはああ見えても実はすごいんだというモノは、ちゃんと作り上げていかなければなりません。
──JAXAに期待することは何でしょうか?
JAXAというかJAXAで働く人達みなさんに期待することは、JAXAで働く事に誇りを感じてほしいということと、JAXAの研究や開発に覚悟を持ってやってほしいということです。何か偉そうな事を言ってすみません(笑)。僕は何も考えていない能天気な人間に見えるかもしれませんが、実は、自分の意見を言うときに、覚悟を持って発言しています。これで JAMSTECをクビになっても構わないと、常にそう思いながら発言しています。覚悟を持って、これが正しいと信じて発言すれば、悪気がないことは相手に伝わるだろうし、その覚悟も絶対に伝わっているはずなので。だからみんながその覚悟を持って仕事をすれば、もっと素晴らしい組織になると思います。
JAXAは JAMSTECよりかなり大きな組織ですが、そのせいか個人があまり目立たないような気がします。もしも組織がそれを目立たないようにしているとしたら、おかしいと思うんですね。例えば僕は、「しんかい12000」で何かあったら自分が責任をとりますと言っています。もちろん本当は責任をとるのはもっと上の人間なので、何かあったら理事長が責任をとればいいと思っています(笑)。そのような個人の覚悟や想いをもっと外に見せられるような自由で風通しのいい明るい組織になれば、JAXAももっと魅力的な研究機関になると思います。これも偉そうな事でホントすみません(笑)。
ただ、JAXAも清く明るく楽しい研究所になって、「楽しくて何がダメなんですか」と堂々と言ってほしいなと(笑)。だって、サイエンスってめちゃくちゃ楽しいものなんだから!
=補講・資料=
人間は、自分のためにしかがんばれない
僕は研究者という職業柄、「利己」や「自分の利益(お金)」を切実に求める人と仕事したことがありません。僕らのスタンスは、「お金は幸せにつながらない」。何に一番幸せを感じるかというと、「やりたいことをやれること」。ある意味究極の自己満足ですね。
そもそも、博士号所得者(ドクター)は人よりも長い社会人デビューの助走期間を持っています。27〜30歳まで世間からも一人前とは認められません。けれど、自分が好きなことができたらいいなという気持ちで研究を続ける人生を選択する人が多いので、実際お金を稼げるようになっても、お金を稼ぐことに人生の幸せを感じないのではないでしょうか。それがある意味当たり前の世界なので、僕はむしろ、お金が欲しい人に聞いてみたいです。「自分の懐にお金があることの何が幸せなのか」と。
僕のあまのじゃくなポリシーは、「なるべく人の役に立ちたくない」。偽善的な自分が嫌いなんです。「人間って、”人のために”そんなにがんばれる?」と思う。僕は無理ですね。自分のためにしかがんばれません。僕は、他人を理由にしては本当に苦しいことに耐えられない性質です。
僕が最近読んですごくハマった本に、史上最強の柔道家、木村政彦さんに関する著書があります。「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われるほどの尋常ならざる柔道家ですが、その地位に上り詰めるためには気の狂ったようなハードな練習を積み、異常なまでの修練、努力を続けたことは想像に難くありません。そしてそこまで自分を追い込めるのは、間違いなく自分が強くなりたいから。「誰かのために」ではなく。それは、真理だと思います。
本当にすごいと思う人は、「突き動かされる何か」のためにやっていると思います。それは生まれ持ったものかもしれないし、後に獲得したものかもしれません。それはサイエンスでも芸術でも一緒。芸術は欲求がより顕著で、やりたくてやりたくてたまらないから表現せざるを得ないものですよね。
「人のために」という理由付けで、不断の努力は続きません。「物事を究極に成し遂げたいのであれば、他人を理由にするな」と、僕は言いたい。「自分のために」何をやりたいのかを突き詰めて考えなければ、やることなすこと中途半端に終わってしまうような気がします。
・・・・・つづく・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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