〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠ 12p黄色/サブタイトル変更有
ᴂ第一話 実録! 有人潜水艇による深海熱水調査の真実ᴂ
◇◆ その一 2009年10月27日 AM6:30 インド洋上 =1/3= ◆◇
ワタクシが働く海洋研究開発機構(通称JAMSTEC)は、「ドクリツギョーセーホージン」という法人らしいのだが、その実、平たく言えば国の研究機関です。しかし、そのお堅い名前のせいかどうかわからないけれど、一般に人々にはあまり知られていないようです。
むしろJAMSTECは、「しんかい6500」(今のところまだ世界一深く潜れる潜水艇)とか、「地球シミュレーター」(昔は世界最速の演算速度を誇ったスパコン)とか、最近では「ちきゅう」(とにかくでかいことはいいことだと言いたくなる巨大科学掘削船)とか、モノの名前を言った方が、「あぁ、あのっ!」と言ってもらえることが多かったりして、働いている研究者からすればすこし悲しい現実が突きつけられる研究所です。
しかし、このジミ目なJAMSTEC、世界の海を股に掛ける世界最高峰の海洋研究所なんです。海だけでなく大気や海の下の地殻やマントル、そして地球のあらゆる場所に生息する生物・生命現象、をホーカツ的に理解するぜ!という壮大な目標をもって研究を行っておりますです。
ワタクシ、高井研は、そんなJAMSTECで、深海や深海の海底下といった太陽の光が届かない「暗黒の世界に生きる生物、特に微生物、の営み」を研究しています。すこしかっちょ良くいうと「暗黒の生態系」って言う感じですが、実はこの「暗黒の生態系」を調べることによって、この地球での生命誕生の謎、初期の生物が地球の至る所に拡がっていった過程、「暗黒の世界」から「光り輝く世界」に進出できた理由、などが、「そりゃもうはっきりわかる…はず」と豪語しています。
さらに、こういう暗黒の世界の生命現象を調べることは、地球以外の天体に「地球外生命」を探すことにもつながるんですが、まあそれはおいおい、書いていくことにしましょう。
この連載では、ワタクシ高井研がその4畳半的な青春(実際、大学&大学院生時代は四畳半の部屋に下宿してましたよ)を賭けて、苦しくもとても楽しんできた研究生活などを振り返り、「おー、研究に青春を賭けるのもいいか・も・ね」と思ってもらえれば作戦成功という物語を、綴ってみたいと画策中。でも一体、何回続くかは、書いている本人にもわかりません。
=補講・資料=
高井研・深海で生命の起源を探る(1/9)
──海洋研究開発機構(JAMSTEC ジャムステック)はどのような組織ですか?
JAMSTECは地球と海洋の最先端研究機関です。「海を知ることで地球を理解したい」という理念を持ち、海だけでなく大気や海底下の地殻やマントル、海洋生物やその生命現象を包括的に研究しています。また、「清く・明るく・楽しく」も私たちの理念です。国の財政から研究資金を支援され研究を行っている以上、人と社会のために何ができるかを考えるのは当然のことです。でも僕たちは、自分たちが好きで面白いと思うことを研究し、それを皆さんに楽しんでいただくことを大切にしたいと考えています。
──高井さんはどのような研究をしていますか?
高温、高圧など過酷な状況で生きる極限環境生物の研究を行っています。具体的には、深海や深海の海底の下といった太陽の光が届かない暗黒の世界に生きる生物、特に、微生物の営みを研究しています。この「暗黒の生態系」を調べることによって、この地球でどのように生命が誕生したのか、初期の生物がどのように地球の至る所に拡がっていったのかを理解することができると考えています。僕の研究のゴールは生命の起源を明らかにすることです。
──生命の起源を宇宙に求めず、なぜ深海へ?
生命にとって深海も宇宙も変わりはないと僕は思っています。深海の生物を見ながら、地球以外の星にもこのような生命があるんだろうなあとよく想像しています。深海生物を調べるのは、生命の起源を明らかにするためにはまずこの地球の生命の奥深さを知ることが重要だと思うからです。だから、その生命圏の限界を調べています。例えば、深海や海の下の地殻に生きている生物は、生命が生きられる場所と生きられない場所の際に住んでいます。だからその環境を調べることによって、生命が存在できる領域が線として描けるわけです。その境界線の内側と同じ条件をある惑星で見つけたとしたら、そこに生物がいてもおかしくないと強く信じられるようになりますよね。そういう意味で、暗黒の世界の生命現象を調べることは、地球外生命を探すことにもつながると思っています。
・・・・つづく・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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