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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知の世界へ 関野吉晴 =032=

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〇◎ 未知の世界へ飛び込んでいく関野吉晴 ◎〇

= ほぼ日刊イトイ新聞_2013-03-22-FRI “【グレートジャニー人類の旅】展開催時の対談”より転載・補講 =  

☠ “人類の旅”に魅せられた関野の探求心はどこから来たのか  ☠

◇◆ 『グレートジャーニー』放映裏話 1/2 ◆◇

取材対象に夢中になりすぎたあまりにクレイジーになってしまった旅人たちと世界を巡って、ヤバすぎる映像をガンガン流してしまっている話題の地上波ギリギリ番組『クレイジージャーニー』(TBS系・木曜23:53~)。先週、先々週と、丸山ゴンザレスによるジャマイカのマリファナ事情のレポートがオンエアされ、マリファナが出てくるわ、拳銃が出てくるわ、メッチャ大規模なマリファナ畑に潜入しちゃうわと、地上波の限界を突き抜けまくった映像のオンパレード!

ところが今週、7月30日放送分ではガラッと趣を変えて、アフリカで誕生した人類が、膨大な時間をかけて世界中に拡散していったルートを人力の旅でたどっていくアカデミックな紀行ドキュメンタリー『グレートジャーニー』で有名な探検家・関野吉晴が登場。ある意味、奇抜な旅人たちが次々登場するイメージのある『クレイジージャーニー』にド直球の壮大な旅人が出演とは、果たしてどうなるのか!? 今週もスタジオ収録後に演出の横井雄一郎氏をつかまえて、裏話&見どころを訊いた。

──『クレイジージャーニー』というタイトルはやはり『グレートジャーニー』を意識したんですか?

「『グレートジャーニー』自体、そんなに細かく見ていたわけではないので特に意識はしていなかったんですけど、タイトルを決める時にどこか頭の片隅にはあったのかもしれませんね。関野さんのことは、むしろ『クレイジージャーニー』がはじまってからより注目するようになりました。ゲストで出てくれたクレイジーな人たちが、みんな関野さんをリスペクトしているんですよ。こんなすごい旅をしている人たちから尊敬されるなんて、どんな人なんだろうと」

──確かに、関野さんからはものすごい大物オーラを感じました。

「関野さんを見ると、危険なスラム街に潜入している丸山ゴンザレスさんや、奇界遺産で変わった光景を見に行っている佐藤健寿さんとまた違った種類の達観した凄みがありますからね。南米からアフリカまで、人類がたどってきた約5万キロにも及ぶルートを逆から人力でたどって……。確かに昔の人たちも同じルートで旅をしたのかもしれないですけど、それは700万年とかかけてやってることですから!」

──『クレイジージャーニー』のゲストさんたちは、みんな「なんでそんな旅をするの?」っていう部分がありますよね?

「そこを『クレイジー』といってますからね。  でも関野さんの『なんでそんな旅をするの?』はレベルが違いましたね。今回紹介するのが、日本に人類がやってきたルートのうちインドネシアから石垣島までの海路を、人力で船を漕いでの旅ですが、そこを旅しようと思うことも、人力だけで行こうとすることもクレイジーだなと思いました。」

──まあ、ギリギリ人力ってところまではまだ理解できないこともないんですが、船を作るどころか、木を切り出す斧の材料として砂鉄を集めるところからスタートするって……。

「もう、本当に理解出来ないですよね。今日のスタジオ収録はそういう空気を上手く出せたんじゃないかと思います。なんといっても、あの松本さん、設楽さん、小池さんがひれ伏していましたからね。松本さんが『仙人や!』といっていましたけど、本当に、考えることもやることもスケールが違い過ぎて……遂に次元が違う人が来たなと」

──今まで、これだけクレイジーな人たちを見てきた横井さんから見ても、やっぱり次元が違いますか?

 「クレイジーな人たちにも何段階かあって、1段階目はクレイジーな感じがみなぎっているんですよ。『こんなことやってるんですよ!』『これがやりたくてたまらないんです!』っていうパワーが前面に出ている。そういう人たちも、もちろん素晴らしいんですが、関野さんはそこを超越した興奮を抑えた中でのクレイジーでしたね」

──たしかに、とんでもない体験を淡々としゃべる人だなと思いました。    ⇒後段へ

=糸井重里とAPUの今村正治さんとの対話から(関野さんのことばを抜粋)=

やりたいことをやっているだけ(2/3)

大人が若者たちを1年単位とか、短い期間で評価するのはあまりいいことではないと思うんです。 ぼくも大学で教えているので、短期間で評価している面がないこともないのですが、1年とかの短い期間での評価になっちゃうと、失敗することができないから、みんな冒険もチャレンジもできないんです。

それを、もっと長い目で見るようにして、10年、20年単位で評価するようになれば、人も育つと思うんです。 「1年で成果を出さなければいけない」なら追い込まれてしまうけど、「20年かけてなにかができればいい」ということであれば、「よし、冒険してみよう」とか「ちょっと実験的なことをやってみよう」とか、思う人が増えてきて、人も育つし、社会も淀まないで済むと思うんです。

あと、日本のわたしたちは 「今を大切にしてる」と思っているかもしれないけれど、ぼくは、アマゾンの人よりわたしたちのほうが、今を大切にしてないと思うんです。

なぜかというと、やっぱりわたしたちはもともと農耕民だから、基本的には 「未来の収穫のために今苦しいことをやる」という発想なんです。 極端なことを言うと、いい幼稚園からいい小学校、いい中学、いい大学、いい就職先。就職したら、いい地位、いいポジションとかを目指すためにがんばる。 

こんなふうに、今がたのしいかどうかに関係なく未来のために頑張るのというのは、「将来の収穫のために今の辛いことをやる」農耕民のスタイルなんです。

それに対して狩猟民は「今が楽しい」んです。彼らは未来のためだとしても現在の辛いことをやるのがほんとに苦手で、たとえば、荷物を担いで一緒に歩くと、ものすごく嫌がります。 「早くやめよう」「疲れた。足痛い」とか言ってすぐやめようとするんですよ。 

でも、あまりに「疲れた」とか言うものだから、目的地にたどり着いたらザックを置いてバタンキューかと思ったら、こんどはそこから嬉々として、弓矢を持って森の中に入っていくわけなんです。おもしろいですよね。今がたのしくないことはものすごく嫌がって、今がたのしいことならいくらでもできる。

狩りについてもたぶん、ほかの生態学者、動物学者、生態学者よりも実践的な森の知識はものすごいですよ。それでなおかつ、想像力を働かせ、全能力で獲物を探すのが狩りなんですね。
それはたぶん、ものすごく気持ちいいんですね。獲物がとれなくてもいいんです。とれたら、また達成感がある。ですから「すごく今を楽しんでる」という意味では、彼らに敵わない。

農耕民のスタイルと、狩猟民のスタイル。どちらがいいというわけではないけれど、狩猟民のスタイルに学べるところは多いと思います。

あと、これは別の話ですが、ぼくはよく、「南米からアフリカまでの旅を成功させるなんて関野さんは、絶対に失敗をしたくない人なのではないか」なんて言われることがあるんです。でも、そんなことまったくないんです。ぼくの旅は失敗の積み重ねです。1つの成功のために、10いくつの失敗があったりします。

たとえばベーリング海峡を渡るのに、最初は歩いて渡ろうとしたらだめで、エスキモーの舟で渡ろうとしたらだめで、10日以上待って、やっと小さい舟で渡りました。ぼくは、失敗したらやりかたを変えて、やれるまでやるだけなんです。

たぶん失敗しない人って、付き合ってもおもしろくないと思うんですね。「たとえ失敗しても、死ななければ何回でもチャレンジできる」というのが、ぼくの基本的な考え方です。

・・・・・つづく・・・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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