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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知の世界へ 関野吉晴 =033/終節=

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〇◎ 未知の世界へ飛び込んでいく関野吉晴 ◎〇

= ほぼ日刊イトイ新聞_2013-03-22-FRI “【グレートジャニー人類の旅】展開催時の対談”より転載・補講 =

☠ “人類の旅”に魅せられた関野の探求心はどこから来たのか  ☠

◇◆ 『グレートジャーニー』放映裏話 2/2 ◆◇

「クレイジーな人たちにも何段階かあって、1段階目はクレイジーな感じがみなぎっているんですよ。パワーが前面に出ている人たちも、もちろん素晴らしいんですが、関野さんはそこを超越した興奮を抑えた中でのクレイジーでしたね」

──たしかに、とんでもない体験を淡々としゃべる人だなと思いました。

「『どうだ!?』とか『俺はこうなんだ!』みたいな圧もなく、サラッと『僕はこうしたいからしているだけですよ』といってのけちゃう姿に上級クレイジーを感じましたね。もう、旅のVTRを見ているだけで泣きそうになるんですよ、あまりにも格好よすぎて……」

──やらなくていい試練を自分に課して、案の定メチャクチャ大変な目にあって……それでいて嬉しそうなのがすごいですよね。

「人類がたどったルートをたどりたいだけなら、何も人力で作った原始的な船じゃなくても、ボートでもクルーザーでもいいはずなんですよ。でも関野さんは『太古の人たちと極力近い方法で旅をして、その人たちの気持ちを感じたい』と考えてたんですね。それは、本人も言っていましたが、風だったり、匂いだったりそういうもの全てを感じたいということで、旅の出発点からして違うなと」

──「ついてきてもいいよ」といわれたら、行きたいですか?

「あれはやりたくないですねー(笑)。  過酷すぎるし、忍耐が多すぎるじゃないですか。危険なスラムを見てみたい、ものすごい光景を見てみたい……というのは、どこかに行って楽しむことが目的なんでまだ分かるんですけど、関野さんのは『ものすごく過酷な過程』が目的になっちゃってますからね」



──確かに、ゴールの石垣島も別に珍しい場所ではないですしね。「映像的にも海の上にずーっといて、珍しい景色が次々出てくるわけでもないので、スタジオで話すことがないんじゃないかというのも心配していたんです。『海で船が流されそうになって大変だったんですよ』なんてエピソードも、そりゃそうだろうって感じじゃないですか。でも、一見単調に見える映像の中でも、関野さん自身は僕らとまったく違う景色を見てきているので、『その時に僕はこうしてね』という話だけで十分面白かったですね。

今までご紹介させていただいた旅と違って、「ゴールとなる何かを見に行く!」という内容ではなく、「壮大な旅の生活を見る!」というものだったので、どこに照準を合わせるかとか、どこをピックアップするかなどは、すごく考えました。でもそもそもその生活自体がトリッキーですし、ある意味全カット死ぬ可能性のあるシーンでもあるので、エピソードの臨場感とかも他と違ったので、やっていてとても楽しかったです」

──台本を見せてもらいましたが、他の回に比べると、だいぶ細かく書きこまれているように思いましたが。

「まあ、はじめて出ていただくジャーニーの時は、打ち合わせで聞かせて頂いてビックリしたエピソードを念のため細かく書いておくようにはしているんですが、今回の場合は、もう自分たちの確認用でしたね。『あの話もして欲しいな』『この話もして欲しいな』っていう、スタッフのためのメモです。命のやり取りをやってきた人たちは、どんな場でも一切動じないし、自分の言葉で淡々と語れますからね。案の定、関野さんは1ページも見てなかったですもんね。それでも面白い話がドンドン出てくるし、僕自身も思わず普通に見入ってしまいました。その辺りを楽しんでもらえたらと思います!」

ジャマイカ・マリファナ編も終わり、過激で危険な旅は一段落かな……と思いきや、アカデミックなふりをしながら誰よりもハードコアな旅をこなしてしまう関野吉晴の登場に圧倒されてしまった7月30日放送の『クレイジージャーニー』。上級クレイジーの世界とはどんなものなのか……テレビの前で正座して見届けよう!

=糸井重里とAPUの今村正治さんとの対話から(関野さんのことばを抜粋)=

やりたいことをやっているだけ(3/3)

「たとえ失敗しても、死ななければ何回でもチャレンジできる」というのが、ぼくの基本的な考え方です。 だから、もし怪我をして、車いすで移動しなきゃいけなくなったとしても、ぼくはやっぱり自分のやりたい旅をやると思うんですよね。 だってぼくは、南米からアフリカまでの道のりを10年かけてたどり着いたけれど、これは30年かかってもいいと思っていましたから。

そういえば「失敗」ということでいえば、インドネシアから日本への旅のとき、税関で、ストップがかかりました。怪しい荷物のやつは税関でチェックされるんですが、そのときぼくらは自分たちで作った斧とか鉈とか工具を持っていたので、チェックされて、税関の役人が仲間をみんな呼んだんです。

「テロリストと間違えられるかな」  「ヤバいな‥‥」と思っていたら、仲間を呼んだ理由はぼくらを笑うためでした。ぼくがつい、余計なこと言ったんですよ。「この工具で舟を作って、日本まで行くんだ」って。 仲間から「そんなこと言わなきゃいいのに」って言われましたけど(笑)。

若い学生が、さらに余計なことを言って、自分が作ったミニチュアの舟までを出して、「こんな舟を作りたいんだ」って役人たちに言って。 そうすると、みんなでヒソヒソと、「あいつら馬鹿か?」とか喋ってるんです(笑)。 最後はもう、手で払いのけるように 「行け、行け。もう行きな」って感じでした。(会場笑)
そういうこともありますね。

ぼくは自分の旅について 「辛くてやめたくなることはありませんか?」って聞かれることもありますが、それは、まったくないです。 だってぼくは、やりたくてやってるだけですから。ぼくは使命感なんてないんです、ぜんぜん。 ただ好きでやってるんです。 ぼくが「やめた!」ってやめても、誰も文句は言わないんです。やめちゃってもよくてやってる。

あとぼくのグレートジャーニーって、「テレビの企画でやったんじゃないですか?」とか言われることもあるんですけど、それも違うんです。 ぼくは、自分がこの旅をやりたくて借金してやったんですから。

あとは 「きっと大金持ちのボンボンで、だからできたんでしょう」 みたいなことを言う人もいます。


だけどそういうのも、ぜんぜん違うんです。 もちろん18まで世話になってましたけどぼくは大学に入ってから、じぶんが好きなことをやりたかったから、授業料も何もかも、親から一銭も貰わないことにしたんですね。 14年も学生をやるというのは、やっぱり仕送り貰ってたらできないです。 「好きなことやらせて」のためにお金はもらわないようにしようと思ったんです。

ぼくはいつも、自分がやりたいことをやってるだけです。 「長老」みたいな、何もしないで「そうなんじゃないの」とか言ってるだけの役にはまだならないですけど、だけどぼくも、そのうちなるでしょう。
ただそういうことも、自然のままに任せて放っておけばいいんじゃないかと思っています。 だって、ぼくはそのときどきでやりたいことをやるだけですし、ぼくはまだまだ、その気にならないんですから。

(関野さんのおはなしはこちらでおしまいです。 お読みいただき、ありがとうございました)

※ 関野吉晴のHome_Page_ http://www.sekino.info/

・・・・・つづく・・・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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