〇◎ 未知の世界へ飛び込んでいく関野吉晴 ◎〇
= Webナショジオ_“北極探検 二つの物語”に転載・補講 =
☠ 関野吉晴の探求心はどこから来たのか ☠◇◆ 手造りの船でインドシナから日本へ =後節= ◆◇
はじめは石器を使ってカヌーを造ろうと思い、縄文石器の研究者の指導で、黒曜石から石器を作ってみた。実際に石器で丸木舟を造り、海を実験航海した例も数件ある。しかしインドネシアから日本列島まで4700キロなると、近代ヨット以外で、エンジンなしで航海した例はない。
迷った末に、鉄の工具を使い、大木を伐採し、穿ち、削り、丸木舟カヌーを造ることにした。しかし「自然から素材をとってきて、自分で作る」というコンセプトだけは終始一貫して守ろうと思った。
まず砂鉄を集めることから始めた。「たたら製鉄」で鉄を作ることにしたのだ。たたら製鉄は宮崎駿監督のアニメ「もののけ姫」にも出てくる、古くから行われてきた製鉄法だ。今なお日本刀は、たたら製鉄から生まれた粗鋼から作る。そのため、唯一日本にだけたたらの伝統が残っていた。
工具づくりの段階で、私は鉄という素材の存在の大きさを改めて知ることになった。鉄は地球の重量の3分の1を占めている。そのおかげで地球は磁力線に囲まれ、私たちを宇宙線、紫外線、太陽風から守ってくれている。また歴史的に見ると、鉄を支配したものが世界を支配してきた。支配者に必要なものは経済力と軍事力だ。そのために必要な優れた農機具、武器は金や銀ではできない。
そして鉄作りがいかに森林を破壊してきたかを学ぶこととなった。たった5キロの鉄の工具を作るために、3トンもの松材を消費しなければならなかったのだ。その後も舟造りの中で、わたしはさまざまな気づきを得た。こうして砂鉄を集めてから9カ月後、縄文号とパクール号という2隻のカヌーが完成した。
つつましく、やさしく、ゆっくりと
自分たちで自然の中から素材を調達してきて造ったカヌーを見ていると、誇らしい気持ちになる。それは私たちの暮らしが、自然とかけ離れていることの裏返しだと言える。職場でも家でも、自分の身の周りに、自然の中から自分でとってきて自分で作ったものを探してみてほしい。ほとんどないはずだ。しかし、これまで私が旅先で出会ってきた人たちの暮らしは違った。アマゾンで居候しているとき、見渡してみて素材の分からないものは何ひとつなかった。
彼らは自然から生きるために必要なものを搾取しながらも、自然を壊すことなく、代々生きてきた。自然を壊してしまえば、自らも生きてはいけないことを、当たり前のこととして知っているからだ。彼らの暮らしは、つつましく、やさしく、ゆっくりとしている。もちろん彼らと同じ暮らしができるわけではない。しかし、そこに文明社会に生きる私たちにとって、大きなヒントがあるはずだと思うようになった。
海のグレートジャーニーでは、それを実践しようと思った。図らずも私の旅の原点であるアマゾンの暮らしに立ち返る旅だ。私たちは2009年4月、インドネシアのスラウェシ島を出航することにした。
=補講・資料=
インドネシアのスラウェシ島
ブギス族(Bugis)はインドネシアのスラウェシ島南西に居住する民族。現地のブギス語ではウギ(Ugi)と呼称される。同島南端のマカッサル族とは言語的・文化的な親和関係にあり、包括してブギス・マカッサル族とも呼称される。
従来は焼畑耕作を行う民族であったが、近年は水稲耕作が主流となっている。トウロモコシ、バナナの栽培などを営むほか、チョウジやココヤシのプランテーションにも従事している。沿岸部では漁撈や漁業も行われており、エビやサバヒーの養殖などが行われる。
歴史的には14世紀前後より確認されており、ルウ王国、ボネ王国、ワジョ王国などを建国した。元来はヒンドゥ教が信仰されていたが、17世紀に入るとイスラム教の流入により宗教対立が発生した。また、航海術、造船術に優れており、東南アジアにおける海賊活動が盛んに行われた。その影響範囲はオーストリア北岸、ニューギニア、東南アジア大陸部などに波及している。18世紀にはマレー半島に起こったリアウ朝、ジョホール朝、スランゴール朝といった諸王朝を立ち上げている。
社会的には厳格な双系の階級社会制度となっており、王族、貴族、平民、奴隷が明確に区別された。血縁を重んじ、特に王族はスラウェシの天孫降臨神話を背景とした白い血を持っていると信じられており、その濃度によって社会的地位が取り決められた。
マカッサル族(Makassar)はインドネシアのスラウェシ島南部に居住する民族。オーストロネシア語族に属しており、ブギス語に近しいマカッサル語を解する。地理的にも文化的にもブギス族と類似しているため、これらを包括してブギス・マカッサル族とも称する。 14世紀ごろにマカッサル王国を興したが、1669年にブギス族が建国したボネ王国に敗北し、消滅した。
・・・・・新節につづく・・・・・
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森のなかえ
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