○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
探検家になるために必要な資質は、臆病者であることです =植村直己=
= Webナショジオ_“河江肖剰-新たなピラミッド像を追って”より転載・補講 =
☠ 自分が主役になるよりは常にメンバーを影でサポートするような立場でいたい ☠
◇◆ 『青春を山に賭けて』の時代 =3/9= ◇◆
日記・覚え書の新年1月1日の欄に、次のように書きつけた(『青春を山に賭けて』(文春文庫)でその内容を整理して紹介しているが、そっちのほうを引用する。 残っている手帳には鉛筆でさらに詳細に書き連ねてある)。
《この最後の旅が終わった後、オレは日本でどのような生活の道を選ぶか。これこそわが生涯を決める大きな年だ。
今のオレにこれといって自分に自信を持って働ける能力はなく、日本帰国を前にした今、自分の進路に堅固な意志さえ持っていない。南米の旅を終えた後のオレの生活こそ本当の生活だ。
アコンカグアがいかに苦しい登攀になろうと、単独登攀が冒険であろうと、それはわが人生の一つの遊びにすぎないのだ。 どんな仕事であれ、自分に定職を持つことこそ、真の人間として生きる価値があるように思われる。
自分のやっている、何かわからない放浪の生活と登山は、自分の職業ではない。オレの山行は主義があって登っているのではなく、心の勇んだときに登るだけだと思われる。》
放浪の旅をつづけている26、7歳の若者としては、驚くほど厳格な考察であり自己観察である。
1年前の日記ですでに見たように、登山家として立つ、とか冒険家として立つというような意思はここでも見られない。 それでも、ただやりたいという願望に導かれて、彼はアコンカグアに登り、アマゾン河6000キロをイカダで下る。 その結果、知らず知らずのうちに、「真の人間として生きる価値がある」と考えた、「自分の定職をもつこと」から離れてゆく。
しかし私は、若い植村の心にある生まじめなストイシズムに、彼の真髄があると思わざるを得ない。自分を甘やかさない、ということは、植村が事の成り行きから「定職につくこと」がなかったとしても、変わらずに彼のなかにあった。
しかし、植村は若い。若くて、金銭のことを除いたら、明るい楽天性がある。自分をきびしく律していただけではない。 食事時、同じテーブルについたブロンドの若い娘につい目をひかれてしまう。 スペイン語ができないから、話しかけられないのが無念、フランス語ができる女性はいないのか、と日記のなかで嘆いている。
年がかわって、植村はとうとう一人の若い女性に話しかけた。 それがなんと布教のためボリビアの辺地に行こうとしている修道女で、名はアナ・マリア。 周囲にいた女性で、ただひとりフランス語を話すひとだった。
色白で丸顔、メガネをかけている。150センチほどで小柄。 僧衣をまとった、穏やかな顔がほんとうに美しい。 首からかけている銀色の十字架が動くたびにキラリと光るのが忘れられない、と植村は書いている。
アナ・マリア・ロペスは神に仕える身、一人の男を愛するわけにはいかないが、あなたの無事を祈っていましょう、といってくれた。 そして1月4日、サントスで一足先に船を下りていった。
植村は、数日間の、しかもごく短時間のアナ・マリアとの会話が長く忘れられなかった。 アコンカグアの単独登頂を果たし、4月にアマゾン河6000キロのイカダ下りを始めるとき、自分の体を托すイカダに「アナ・マリア」と命名した。
誰かに思いを托す、というのは植村の癖といっていいかもしれないのだが、ここでもそれが発揮されている。 イカダの上で危機が訪れたとき、彼は「アナ・マリア、助けてくれ!」と心のなかで叫ぶ。 これは呪文のようなものだが、植村には強く思いを托すものが必要だった。
もちろん、ただ呪文をとなえるだけではない。となえながら全力をつくして危機を脱しようとする。 それが植村方式であり、単純といえば単純かもしれないが、そこで発揮されるのは並はずれたエネルギーの集中だった。 後に極地の冒険でも何度かこの植村方式が発動するのを私たちは見ることができる。
さて、1月7日、ブエノスアイレスに到着。まず第一の目的は、南米最高峰アコンカグア(6960メートル)の単独登頂である。
何よりも単独登山の許可を得るのが厄介であることを植村は予知していた。 ブエノスアイレスの日本大使館に駆けこみ、その斡旋に頼ることを彼は避けた。 そこで反対されれば元も子もない、と考えた。アコンカグアは、アルゼンチンとチリの国境近くにあり、拠点となる町はメンドサである。 彼はためらわずに汽車でメンドサへ行った。
しかし、それからが大変だった。スペイン語が未熟だったということもある。 それ以上に登山というものに理解がなく、警察へ行って単独登山をしたいというと、ロコ(バカ)扱いされた。 すったもんだの交渉のすえ、アコンカグアは軍の管轄下にあり、軍の許可が必要だとわかる。 軍の責任者に会うこともできず、警察と軍のあいだを小突きまわされるように行ったり来たりしている。(記載済み=032=イラスト参照)
=補講・資料=
メスナーだけじゃない!すごい海外の登山家まとめ=ショーン・ヴィラヌエバ・オドリスコール
未踏の大岩壁を狙うベルギーのビッグウォールクライマー。 グリーンランドのフィヨルドに10m足らずのヨットで乗り入れて手つかずの大岩壁を初登攀したクライミングでピオレドール賞=前記載、参照=を受賞した。
自分がクライミングを選んだのではなく、クライミングが自分を選んだと信じているショーンは、パタゴニアへの初の遠征が人生の転機となった。自然の力とただ生きるという冒険が完全につながった気がしたからだ。クライミングはショーンに人生を精一杯生きること、本気になればやりたいことは何でもできるということを教えている。
グリーンランド 西海岸ビッグウォール 初登攀
パタゴニア・フィッツロイ東壁「エル・コラソン」フリー初登攀
アイルランド、バレン高原 ミラー・ウォール「スネルズ・ロー 」 初登攀
パキスタン、チャラクサバレー ナフィーズ・キャップ「レッジウェイ・トゥ・ヘブン 」初登攀
映画『Yosemite Experience』、『Patagonia Dreams』、『Pakistan Project』に出演
動画資料: ショーン・ヴィラヌエバ・オドリスコール:パタゴニア =クリック➡ https://youtu.be/1Dz_sc-_4P8 動画資料: アイルランドのフェア・ヘッドでクライミング:パタゴニア =クリック➡ https://youtu.be/4lATM3A-uDw・・・・・・・・・・・・・・・・
=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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