○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
探検家になるために必要な資質は、臆病者であることです =植村直己=
= Webナショジオ_“河江肖剰-新たなピラミッド像を追って”より転載・補講 =
☠ 自分が主役になるよりは常にメンバーを影でサポートするような立場でいたい ☠ :12pt黄
◇◆ 『青春を山に賭けて』の時代 =2/9= ◇◆
私が「人に食べ物をもらったりしながら」とからかうようにいったことに、彼が「オレは物乞いなんてしたことありませんよ」と反発したのは、この帰途のつらさが冗談事でなかったことを示しているのではないか。 おそらく、インドからの無理がたたったのだろう。 黄だんが発症し、1カ月の入院生活を余儀なくされた。
このヒマラヤ行きでもその気配が強いのだが、1000日の世界放浪での植村は、やりたい登山や旅の実現と、そのための資金稼ぎ、もっと端的にいえば、金銭勘定の間を行ったり来たりしているのである。それが彼の青春放浪の原型のようなものだった。
1967年の日記・覚え書の手帳があり、そこには年頭の抱負が記されている。 1 グリーンランド遠征 / 2 国立登山学校への入学 / 3 アンデス(アコンカグア)遠征 さらに別項として、 1 仏会話、読書の徹底。付随してアルピニズムの歴史の勉強。 とある。(後に『青春を山に賭けて』で書いていることと少し表現が変わっているが、内容はほぼ同じである)。
私が注目するのは、この目標に続く記述のほうである。
金銭について、予算と現状がこまかく確認されているのだ。年末に700フラン入金。全支払いを済まして300フラン残った。これから毎月300フラン残したとしても、7月に予定するグリーンランド行まで6カ月に1800フランがやっと。フランスに帰ってきてシャモニの登山学校に入学するとして学費が工面できるかどうか。
どう考えても足りない。毎月無休で働いて、700~750フラン稼ぎ、一方でコーヒー、ワインはけっしてとらず、月約500フラン残せないだろうか。目標を下ろさないなら、それを実行するしかない云々。
植村には、いつもどうしても実現したいことがある。それが、頭のなかに夢のように現われる。しかし、いっぽうで実行するには資金の手当てがいる。スキー場で働きながら、節約に節約を重ね、資金をためようとする。痛ましいほどの孤独がそこにはあるが、こまかい計算をした翌日には、ケロリと「きょうも快調だ」と短く書きつけたりする。目を見はらずにはいられない向日性とヴァイタリティがそこにはあった。
もう一つ、手帳に書きとめた年頭の所感ともいうべきもののなかで、目にとまったことがある。
この年の12月には、きっとフランスを去りたい。これ以上、フランスには住みつかない。日本へ帰って、一社会人として平凡にやってゆきたい。そう書いていることだ。
植村は、66年にモンブランの単独登頂を果たし、マッターホルンにも登った。秋にはアフリカに渡り、ケニヤ山とキリマンジャロにも登頂している。切りつめた資金のなかで、ほんとに精一杯の行動だった。そういう行動で壁にぶつかると、彼は「これぐらいやらなければ、誰もオレを認めてくれないのだ」と叫ぶような言葉を手帳に書きつけることがたびたびあった。
では、登山や冒険で名をあげて、それでプロとして食っていこうとしているのか、というと、その意識はほとんどない。帰国して、せいぜいフランス語を生かして、社会人として平凡にやってゆきたいと書いたことがウソであるとは思えない。ウソを書く必要はないからだ。
世間に認められたいという気持と、社会人としてやっていくのだという気持、二つの矛盾した気持が同居している。それが世界放浪時代の植村だった。その矛盾は矛盾のままに、彼のなかに強固に、けっして薄れることなくありつづけたのは、山に登りたい、冒険をしたいという願望であった。
時として「これぐらいやらなければ、誰も認めてくれない」という叫びになったりすることはあっても、実際は、認められようが認められなかろうが、行動をしたい! という欲求が何にも増して先行しているのである。
その願望を実現させるために、節約に節約を重ね、ストイックなまでの日常生活に耐える。海外放浪の足かけ4年、植村直己はほぼそのようなやり方で日々を過した。すべてを自分の責任で、ひとりでやりぬくということが、そういう日々のなかで身についていった。
1967年12月22日、植村はバルセロナ港からスペイン船キャボサンロック号に乗りこんだ。向うのはアルゼンチンのブエノスアイレスである。
=補講・資料=
メスナーだけじゃない!すごい海外の登山家まとめ=リック・アレンとサンディ・アラン
イギリスの精強な登山家。 アルパインスタイルによる岩壁登攀が持て囃され大規模な極地法が行われなくなった昨今にあって、全長10㎞の間に7000m峰6つ、6000m峰2つという世界最大の稜線「マゼノリッジ」の完全縦走という快挙を成し遂げた。
この年のピオレドール賞はノミネート者全員が受賞したが、ロシアの山岳雑誌のネット投票では彼らが圧倒的に支持されていた。
※ ピオレドール賞は、優秀な登山家に贈られる国際的賞。 フランスの登山誌『モンターニュ(Montagnes)』と『グループ・ドゥ・オート・モンターニュ(Groupe de Haute Montagne)』が主宰している。 1991年に創設。 候補者は両誌によってノミネートされ、両誌の編集者、前年の受賞者、その他招待者等から成る審査員達によって決定される。 ピオレドールは、フランス語で「金のピッケル(手斧)」と言う意味。 登山界のアカデミー賞」の異名を持つ。
因みに、受賞年度はそれぞれの登攀が行われた年で、授賞式は翌年の春となる。 近年の受賞は・・・・・
2014年 : ウエリ・シュテック アンナプルナ南壁単独登攀、ラファエル・スロウィスキーとイアン・ウェルステッド K6西壁初登攀
2013年 (この年はノミネートされた全隊が受賞した) : サンディ・アラン、リック・アレン ナンガ・パルバットマゼノ稜初縦走、/ ヘイドゥン・ケネディ、カイル・デンプスター バインター・ブラック南壁初登攀、/ ディミトリ・ゴロワチェンコ、アレクサンドル・ランゲ、セルゲイ・ニロフ ムスターグ・タワー北東壁初登攀、/ ミック・ファウラー、ポール・ラムズデン シヴァ北東ピラー初登攀、/ セバスチャン・ボアン、ディディエ・ジュルダン、セバスチャン・モアッティ、セバスチャン・ラテル カメット南西壁初登攀、/ 花谷泰広、馬目弘仁、青木達哉 キャシャール南ピラー初登攀、/ クルト・ディムベルガー 生涯功労賞
2012年 : マーク・リッチー、スティーブ・スウェンソン、フレディ・ウィルキンソン サセルカンリⅡ峰登頂、/ ネイツ・マルチッチ、ルカ・ストラザー K7登頂
2011年 : 岡田康、横山勝丘 ローガン南東壁登攀、/ ショーン・ビラヌエバ、ニコラス・ファブレッセ、オリビエ・ファブレッセ、ベン・ディット、ボブ・シェプトン グリーンランド・ビッグウォール登攀
2010年 : デニス・ウルブコ、ボリス・デデシュコ チョ・オユー南東壁新ルート登攀、/ ジェド・ブラウン、カイル・デンプスター 天山山脈・シュエリエン西峰北壁初登攀、/ ワルテル・ボナッティ 生涯功労賞
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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