Quantcast
Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2016

宿主操作を行う寄生生物研究/佐藤拓哉(08/nx)_学究達=631

$
0
0

ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=令和六年01月14日<ⰧⰊⰧ

☆ ローマでヴァレンタイン司教が処刑され(269年)、ハワイでジェームズ・クックが殺されて(1779年)、シカゴでアル・カポネが銃撃戦を繰り広げた(1929年)という血塗られた日。因みに、製菓会社の陰謀で資本主義に毒された最悪の日となった。   ☆ 東京と箱根の間を学生達に代わる代わる走らせて無駄に苦しむ姿を楽しもうというサディスティックなイベントが初開催(1920年)。翌年からは開催時期が繰り上がり今では正月の風物詩だったりする。   ☆ 世界最初のデジタル電子計算機ENIACが公開(1946年)。

本日記載附録(ブログ)

宿主を操り、自らに都合のよい行動を取らせる寄生虫がいる

聞いただけで気持ち悪いが、そんな寄生虫であるハリガネムシ

宿主カマキリから遺伝子を受けることで、宿主操作を成し遂げている

ハリガネムシと宿主の異常行動を、森と川の生態系の中に位置づけて研究

 専門分野は生態学、宿主操作のメカニズム研究者・佐藤拓哉(08/mn) 

【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

 第4回  世界初! 寄生虫が異なる生態系をつなぐことを証明  =後節= 

 佐藤さんが、めちゃくちゃ楽しそうなのである。

 カマドウマを扱う時にはあからさまに、ハリガネムシについてはほんの少し、「なんか変なものを扱っているよなあ、オレ」という雰囲気が漏れ出していたのだが、渓流魚については、もう好きで好きで仕方がない、という様子だ。

 そもそも、佐藤さんは、幼少時に渓流でみたサケ科の魚の魅力に導かれて、この道に足を踏み入れた経歴の持ち主なのだ。

「僕は生まれたのが大阪で岸和田とかだったんで、川なんか汚なかったんですが、両親にたまに連れて行ってもらう山奥の川で、ヤマメかアマゴを見たんですよ。記憶ははっきりしないんですが、ものすごい綺麗やって感動して。やっぱり綺麗なもの見ると憧れるみたいなことがあって。そのあとずっとサッカーしてて忘れてたんですが、大学は水産学部で4回生になると、卒論をどうしようかと思った時に渓流魚の研究したいなと思ったんです。渓流魚やったらのめり込んでできるかもと思って」

 実際に渓流魚の世界にのめり込み、紀伊半島の山間部に生息している在来イワナの保全研究で博士号を取得した。川の最上流に数百匹という数でしか生息していないもので、それが今後どのような運命をたどるのか、守るためにはどうしたらよさそうかといった研究だ。

 ハリガネムシやカマドウマに目が行ったのも、渓流魚の研究からだった。

「──渓流魚の保全の研究をしていると、陸の虫をどれぐらい食べてるんやろうとか気になって、サケ科の魚を捕まえては食べたもの吐き出させて調べてたんです。すると、本州で調べていた川のほとんどで、秋になると今日みたいにカマドウマを吐き出しまくったんですよ。最初は気持ち悪くて、そのときのフィールドノートには『またカマドウマ』とか、『カマド』とか、『溶けてるカマドきもい』とか(笑)、いろいろ書いていたんですけれども、そのうち、はて、これはおかいしいぞと思って。カマドウマって羽がないですし、偶然川に落ちるっていう理由がどうしても思いつかなくて」

「──それでさらに見ていくと、カマドウマと一緒にひもみたいなやつが出てくるんですよ。ハリガネムシやったんですけれども、これなんやろと思うようになって、ちょうどその時にナショナル ジオグラフィックの映像に出会ったんですよね。コオロギのお尻からひもみたいのが出ているやつです。ハリガネムシに操作されて飛びこんだコオロギが水域の捕食者、魚とかカエルとかに食べられる。ハリガネムシは一緒に食べられると死んじゃうけれど、うまくいけばクネクネと動いて出て行くみたいで、ああ、これか、と思ったわけです」

 佐藤さんの現在の研究の背景にはナショジオあり、だったとは。

 なお、その時のナショジオをきっかけに知った論文は、前にも言及したフランスの研究チームのものだそうだ。

 生態学の研究としては、生き物と生き物の関係を知りたい。それも、できれば定量的に。そこで、佐藤さんは思い切ったフィールドでの操作実験を敢行した。

「フィールドで観察してる間にアイデアは溜め込んでて、あと、これやれればきっと何か結果が出るんやと思っていました。それを、京大の和歌山研究林でやらしてもらえました。川のまわりをビニールで覆ってカマドウマなんかが飛び込めないようにした区画と、自然なままの区画を2カ月間比較したんです」

 さらりと言われると、なるほどその手があったかと思うのだが、実行するのはかなり大変な予感がする。なにしろ自然な川が相手だ。聞けば、苦労話には事欠かない。例えば、ビニールで覆った部分でも、そこから魚が逃げてしまったら実験にならないので、上流と下流にネットをはる。しかし、ほうっておくと流れてくるものですぐに詰まってしまう。それを取り除く作業を2カ月間、ずっと続ける、など。

 実験の結果は、労力に見合うものだった。

「──陸の虫が川に入ってくると、川の魚は陸の虫を食べる。なので、川の魚は川の中の虫をあまり食べなくなって、川の虫はたくさんいられる。すると、川の虫が食べていた川の藻類がたくさん食べられて減るとか、川の虫が分解する葉っぱの分解スピードが速くなるっていうふうに。陸の虫が入ってきて、それが川の魚を通して川の生態系全体を変える。基本的には、そういうことが起きると確認できました」

「──さらに、僕らはカマドウマが入る量と、カマドウマ以外の虫が入る量を分けて操作をして実験していまして。ちょうどカマドウマが入る時期に限ってはカマドウマ以外の虫が飛び込んでもあまり影響がなくて、カマドウマが量的にドカーンと入ることが大事で、それで初めて川の中の生態系が変わるとわかってきたんです。それも、これまで陸の虫が単純に落ちてくると考えられていたんですが、ハリガネムシみたいな変わったやつが陸の虫を連れてくることで、初めて量的にも大事なものとして森と川がつながって川の生態系が変わると、世界ではじめて示すことができました」

 それが、つまり、前にも述べた「年間の6割」の話だ。ムッチリとした質感の通り、カマドウマは高栄養食らしいのである。林床を夜な夜な歩き回って、有機物ならなんでも食べて、ぱんぱんに太ったカマドウマは1匹だけでも大きなエネルギー源だろう。ましてや、それがドカンとたくさん水に飛び込んでくるならなおさらだ。

「カマドウマが水に飛び込むのは1年のうちで3カ月くらいだけなんですが、その時期に渓流魚が得る総エネルギー量の9割以上くらいがカマドウマです。実はそれが1年のうちで一番たくさんエネルギーを得られる時期で、たとえば、冬に比べると100倍にもなります。ですので年間ベースに引き延ばしたとしても大きく効いてきて、6割ぐらいがカマドウマで説明できるんです」

 カマドウマだけで、年間6割のエネルギーをゲット! とは本当に凄まじい話だ。カマドウマのあの姿を見ただけでは、それだけの役割を果たしているなど想像も出来ない。

次回は“ 第5回 なんと生き物の半分近くは寄生虫!? ”に続く・・・・・

⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡

https://youtu.be/VhZL1e2NaYA== カマキリの異常な行動 ハリガネムシの脳ハッキング ==

////-------///

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/4aef5f9fb7295a54d35e0fc5ba8cd9c7

後節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/ 学631/e/xxx

----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------

【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【壺公夢想;如水総覧】 :https://thubokou.wordpress.com/

================================================  

森のなかえ

================================================


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2016

Trending Articles