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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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宿主操作を行う寄生生物研究/佐藤拓哉(09/11)_学究達=632

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ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=令和六年01月15日<ⰧⰊⰧ

☆ 西郷隆盛とそのゆかいな仲間たちが、明治維新Ver.2.0を実現すべく鹿児島を後にする(1877年=西南戦争開戦)。 ☆ アメリカ軍がイタリアで文化財を破壊(1944年=モンテ・カッシーノの戦い)、自分たちが焼かれなかったのはただの気まぐれと全京都が恐怖した。 ☆ 国民に馬鹿が増えたため、イギリスはポンドを12進法や20進法から10進法の単純なものに(1971年)。

本日記載附録(ブログ)

宿主を操り、自らに都合のよい行動を取らせる寄生虫がいる

聞いただけで気持ち悪いが、そんな寄生虫であるハリガネムシ

宿主カマキリから遺伝子を受けることで、宿主操作を成し遂げている

ハリガネムシと宿主の異常行動を、森と川の生態系の中に位置づけて研究

 専門分野は生態学、宿主操作のメカニズム研究者・佐藤拓哉(09/mn) 

【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

 第4回  第5回 なんと生き物の半分近くは寄生虫!?  =前節= 

日本の紀伊半島の川で、渓流魚が1年間に得るエネルギーの6割を寄生虫ハリガネムシに行動操作されたカマドウマから得ていたという佐藤さんの研究は、世界的にも大いに評判になった。

 というのも、ちょうど寄生虫が生態系にあたえる影響について注目されている最中だったからだ。

「僕が論文を出したのは2011年だったんですが、2008年に科学雑誌のネイチャーに、寄生虫が生態系の中でものすごいバイオマス、生物量を誇ってるっていう論文が出て、注目されました。前にも世界の既知種の半数近くが寄生虫である! という推定結果が出されて、寄生虫が生態系の中で大きな役割を果たしている可能性があるということ自体は言われていたんですが、はじめて量的にも大きな割合を占めることを示したんです。カリフォルニアの塩性湿地などで徹底的に生き物を集めて、その生き物に宿ってる寄生虫を徹底的に掘り起こして重さを計ったら、その湿地にやってくるすべての鳥を合わせたより重かった、と」

 寄生虫は、宿主に宿るものだから、いくらなんでも「量」としては大したことないのではないかと思うのだが、とにかく徹底的にやってみたら、「鳥よりも重い」というバイオマスだったというのは衝撃である。それだけのものがいるのなら、生態系への影響は計り知れない。そこに、また別のアプローチで「どの程度の影響か」を明らかにしたのが佐藤さんだった。

「2008年のネイチャー論文は、寄生虫を考慮した重さの分布(生態系ピラミッド)がどうなってるかっていうことを見ていたわけですが、次に大事なのは、寄生虫を入れた時に生態系の中でエネルギーがどんなふうに流れてるかっていうことです。そういうときに自分の研究を通して、エネルギーが森と川をまたいで寄生虫のおかげで回っていると示せたのはよかったですね。年間の6割になるようなものを流しているって量的に出せたので、海外でも結構インパクトがあって。そのあとに出た生態系寄生虫学(Ecosystem Parasitology)の教科書にも載っけてもらってるんですけど」

 もちろん日本での反響も大きかった。学会などで発表すると、様々な情報が集まってくるようになった。

「──発表を聞いた他の研究者が『ゴミムシに寄生してるのを見た』などと教えてくれるんです。ゴミムシって甲虫の仲間で、カマドウマはバッタの仲間なので、えらい分類群違うやつに寄生できるんやとまずびっくりして。で、さらに話してると『僕は秋に見た』『こっちは春だ』とか。これは一体何なんだろう。ハリガネムシが起こすエネルギーの流れがすごいでかいんだとすると、森と川の生態系がつながるタイミングに重要な影響を及ぼしてるかもしれないということで、全国の研究林を順番に回って、『ハリガネムシがいつ川に落ちてくるか、調べてもらえませんか』と頼んで回ったんです。その後とれたのを送ってもらったのを見ると、きれいな結果になりました。北海道のサイトは春の6月7月にピークをもってハリガネムシが動いていて、本州だと東北であろうが近畿であろうが、秋に起こるんですね」

「──寄生虫が宿主に寄生するときって、その宿主からできるだけ搾取しないともったいないので、繁殖ギリギリまでは寄生しているようです。北海道では宿主がゴミムシでして、春先に産卵するので、そのギリギリまで搾取して川に捨てると。本州側にやってくると宿主はカマドウマがメインなので、秋のギリギリまで搾取して川に捨てるっていうようなことをして、北海道との境界できれいに分かれるんじゃないかなと」

 

 ハリガネムシが作り出すエネルギーの流れの大きさ、さらに地域による時期の違いなど、様々な要素が明らかになってきている。これらを知るだけで、なにか森と川という場が違って見えてくる研究だ。

 では、今後、佐藤さんは、どのような方向に研究を進めるのか。

 まず生態学者としての本懐はむしろフィールドにある。

「今、川の近くにマレーゼトラップというのを仕掛けて、水生昆虫の成虫を捕っています。ハリガネムシの生活史を詳しく記述しながら考えないと、もっと長いスパンでの森とかのつながりってわからなくなってきているので。あれでうまくハリガネムシに感染した水生昆虫の成虫が捕れるようだと、森中にあちこちに設置して、季節的にどんな水生昆虫がどのくらいハリガネムシを森に連れて行っているのかを調べたいなと思ってるんです」

たしかに、森と川をつなぐエネルギーの流れは、陸から川へ(カマドウマの飛び込み)というのもあれば、逆に川から陸へのパターンもある。そもそも、カマドウマは、羽化して川から飛び立った水生昆虫を食べてハリガネムシに感染する。こういった、複雑な系の背景にある、基本的な繋がり方を解明するのは、それこそ生態学の本分であろう。

次回は“ 第6回 ハリガネムシがつむぐ「森と川のフルコース」詳細レビュー ”に続く・・・・・

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https://youtu.be/secF2pbv1G4== ハリガネムシに操られるカマキリ ==

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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森のなかえ

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