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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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宿主操作を行う寄生生物研究/佐藤拓哉(07/nx)_学究達=630

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ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=令和六年01月13日<ⰧⰊⰧ

☆ エミール・ゾラがフランス大統領に公開の弾劾状を送ったところ、逆に国中の右翼から弾劾される破目に(1898年=『我弾劾す』)。このためイギリスに亡命するが、翌年帰国彼の別荘には多くの文学者が集まった。 ☆ 前年暮れの地震の打撃から立ち直っていないうちに、中部地方が地震に襲われる。だが、国策により当局は誰も気にしない(1945年=三河地震)。 ☆ 美空ひばりが、浅草で観客に塩酸で歓迎される椿事(1957年=神戸芸能社の看板を掲る山口組三代目・田岡一雄が美空ひばりを専属=同年4月契約=にする陽動作戦)が起こる。

本日記載附録(ブログ)

宿主を操り、自らに都合のよい行動を取らせる寄生虫がいる

聞いただけで気持ち悪いが、そんな寄生虫であるハリガネムシ

宿主カマキリから遺伝子を受けることで、宿主操作を成し遂げている

ハリガネムシと宿主の異常行動を、森と川の生態系の中に位置づけて研究

 専門分野は生態学、宿主操作のメカニズム研究者・佐藤拓哉(07/mn) 

【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

 第3回 寄生虫ハリガネムシはどうやって宿主の心を操るのか=2/2= 

 これまた出来すぎな話なのだが、ハリガネムシはまさにそれをやってのけている可能性がたあるのだそうだ。

「行動実験と分子生物学的な実験の結果を合わせて考えると、おそらく神経発達をグチャグチャにして異常行動をさせながら、光応答の仕方を変えて、水辺に近づいたら飛び込むというような、2ステップで行動操作を巧みにしてるんやってことが、今は想像されてます」

 まったく、こんなことがどんなふうにして可能になったのか。信じがたいほどだと感じる。だからこそ、佐藤さんも神戸大学の共同研究者らと、この分野に切り込んでいく予定だ。そのためには、ハリガネムシを飼って寄生させて、というサイクルを研究室の中で回さなければならないと思うのだが、それは大丈夫なのだろうか。あれを飼育するというのは宿主もまとめて飼育するということで、相当大変ではないか。

「実は、ハリガネムシの成虫を研究室に持って帰ってくると、すぐ卵産んでくれるんですよ。で、しばらく待つと卵が孵化して、『ああ、うまいこといった』ってなって。それで、水生昆虫を近所の川からとってきて幼生と一緒にすると、5日ぐらいするとシストをつくるんです。で、『ああ、うまいこといった』って言って、その水生昆虫を終宿主、コオロギに食べさせるんですけど、なぜかそこでうまいこといかないんです」

 カマドウマではなくてコオロギ。いったいなぜ? たしかにヨーロッパでの先行研究はコオロギを使っていたわけだが、研究林で佐藤さんはしきりとカマドウマを集めていたので、当然、カマドウマを使うのだろうと思っていた。

「ヨーロッパイエコオロギとか、市販されているような簡単に手に入るコオロギを使って研究を回したかったんです。アメリカのハリガネムシではできるっていうのがわかっていたのと、神経生理をしっかり進める上でモデル生物の1つなんです。重要な機能に関するタンパク質とか、遺伝子レベルのこともほとんどわかっているので、それに対して寄生生物が何したかっていうのがチェックしやすい。でも、全くうまいこといかなくて。それで、本州だけでなくて、北海道のハリガネムシとか、いろんなハリガネムシ試してて、もうマッドサイエンティストです。集めてきては卵産ませて、食べさせて感染させまくるって……それでも出来ないので、仕方がないので今年からはカマドウマやカマキリにまで手を出すかというところなんです(笑)」

 カマドウマは成長するのに時間がかかるし、ヨーロッパイエコオロギのように、モデル生物というわけでもない。神経生理学的な研究のためには、ちょっと都合が悪い部分もあるのだが、しかし、現場で実際に寄生されているものだから、それができれば研究の長所にもなるはずだ。いったいどんなメカニズムで行動が操作されるのか、さらにメカニズムが解明されるのが楽しみだ。

 もっとも、生態学者の佐藤さんとしては、この研究はどちらかというと派生的な課題である。

「生態学の立場からすると、別にここ、ブラックボックスでもいいんです。ある生き物が別の生き物の行動を操作して飛び込ませることで、生態系の中で生物群集ができ上がったり、生態系の機能が働いたりするっていう部分がわかればいいので、その時、頭の中でどんなタンパク質が発現しているかとか分かってなくてもいいんですよね。でも、興味深いのは確かですし、解明できたら生態学的な興味につながるかもしれない部分もありますので」

 では、生態学的な興味としては、むしろどっちに向かうのが本来の関心事なのかというと──。

 端的にいえば、飛び込んだカマドウマが、その後、どうなるか、だ。

 やっと、カマドウマ・ハリガネムシのちょっとキモチワルイ関係から、次の話題に移ることができる。研究林で出会う「フルコース」の中で、デザートのごとき清涼な生き物。ヤマメやイワナなどのサケ科の渓流魚だ。

第4回 世界初! 寄生虫が異なる生態系をつなぐことを証明 =前節=

 京都大学の芦生研究林を、神戸大学の佐藤拓哉准教授と歩く。

 カマドウマとハリガネムシを見て、その次に目指すのは、渓流魚である。

 佐藤さんの専門である生態学的な興味として、陸域の生き物であるカマドウマが、寄生虫のハリガネムシに行動操作されて川に飛び込むことが、川の生き物にどのような影響を及ぼしているのか、というのが勘所なのだ。

 そして川の生き物で、直接、カマドウマを食べていそうなのが渓流魚、というわけだ。

 佐藤さんは、大きな蓄電池の入ったバックパックを背負って、研究林内の流れに足を踏み入れた。最終的には若狭湾にそそぐ由良川の支流。京都府だがここはもう「日本海側」なのである。

 佐藤さんが握っている棒の先にはリング状の電極があって、これで魚を一時的に麻痺させて動けなくする。いわゆる「電気ショッカー」だ。捕まえた魚は電流を止めるとすぐに再び無傷のまま泳ぎ出すので、魚体にとっても安全な捕獲方法として調査などで使われる。もっとも、研究用に許可を得ているからできることで、漁法としては一般には禁止されている。

    佐藤さんは川の中を上流に向けて歩き、ここぞという場所で手際よく電気ショックを与えていった。魚が浮いてくると、その中からサケ科の魚、つまり、釣りの対象としても人気の高いヤマメやイワナを選んでバケツの中に入れた。大部分はヤマメで、いずれも青い斑文がくっきり浮かび上がっていた。優しげな小顔のたおやかな雰囲気はまさに山女(ヤマメ)である。1匹だけいたイワナは、お腹が鮮やかなオレンジ色で精悍な顔つきをしていた。両方とも婚姻色で、鰭に傷などが一切ない美しい魚体だった。

 しかし、こんな細い川に、立派な魚がいるものだ。研究林で保護されているというのもあるだろうが、なんということのない岩の下から大きなヤマメが飛びだしてくるのは、見た目にも美しい光景だった。

 佐藤さんの研究では、これらの魚の胃内容物が問題になる。しかし、腹を裂く必要はない。

「サケ科の特徴で、口から胃まで一直線に繋がっているので、こうやって水を入れてやれば、食べたものを簡単に吐き出します」

 そう言いながら佐藤さんは、ヤマメの口を開き、川の水を入れた洗浄ボトルから大胆に注水した。口の中から黒っぽいものが一気にあふれ出してきた。胃内容物だ。

「出ましたね。カマドウマを食べてます。これ、足が残ってますね」

 おおっ、本当だ。あまりにあっけなく出たものだから、拍子抜けだ。

 ヤマメは、この時期、カマドウマを食べている。動かぬ証拠が出てきた。

 これにて、寄生虫ハリガネムシを中心にした生態系フルコースを堪能させていただいたことになる。

 実は、佐藤さんが渓流に入り、魚を採集しはじめてから、気づいたことがある。

明日“世界初! 寄生虫が異なる生態系をつなぐことを証明 =後節=”に続く・・・

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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森のなかえ

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