☆ 民意の偽造に怒ったロシア人民が民主主義の政府を倒し、ウラジーミル・レーニンの政府を支持する(1917年)。 ☆ 4ヶ月前に出来たばかりの吊り橋が完成直後から風に揺られまくりで、実況されるまでになって遂にこの日落っこちる(1940年=ワシントン州のタコマナローズ橋)。 ☆ 松永安左エ門の肝煎りで、日本を電力会社の意のままにしようとする工作機関・電力中央研究所がオープン(1951年=日本最大の民間シンクタンク)。
本日記載附録(ブログ)
人間って何だろう?そして、「人間って何だろう」と思う心って何だろう?
そんな疑問に端を発して、ヒト(人)以外の霊長類を比較認知科学的視点から研究
ヒトに最も近縁なチンパンジーを主な研究の対象に選ぶ
「熊本サンクチュアリ」に行って59にん(人)のチンパンジーと暮らす
= 未踏の領野に挑む、知の開拓者・平田聡(02/mn) =
【この企画はWebナショジオ(文=川端裕人、写真=的野弘路)】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)
第1回 59にんのチンパンジーが余生を送る場所=2/2=
まず注釈。チンパンジーが59にん、という言い方に違和感がある人もいるかもしれない。でも、類人猿、つまり、チンパンジーやゴリラ、オランウータン、ボノボなどの研究者は、それぞれの研究対象である類人猿を、ひとり、ふたり、3にん、というふうに「ヒト」として呼ぶことが多い。「あの人、○○だよね」などと人間の知人について語るように話題にするのもしばしばだ。だから、本稿でも、この流儀に従うことにする。
そして、本題。
20世紀には、チンパンジーが医学感染実験に使われていた! この「サンクチュアリ」は、元医学感染実験用だったチンパンジーが余生を送る場所だったのである。
ぼくは、59にんという数に圧倒された。
感染実験の全盛期は20世紀なので、すでに亡くなったチンパンジーもいるだろう。それでも59にんが存命。いかに多くのチンパンジーが、人知れず、医学実験に供されてきたかが分かる。人間に恩恵をもたらすワクチンなどの開発に必要だと当時は考えられていたようだが、なんとも複雑な気分にさせられた。
「絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を制限するワシントン条約に批准していなかった1970年代には、150にんくらい輸入されたそうですよ。感染実験というのは、主に肝炎ですね。B型肝炎ワクチン開発が主な目的で、その後、非A非B型と呼ばれる原因不明の肝炎(現在はC型肝炎ウイルスによるものだと分かっている)の研究に使われました。肝炎研究が下火になってくると、胚性幹細胞の研究もしようと女性のチンパンジーに排卵誘発剤を打って卵子たくさん取ったりとか、一部マラリアとかのワクチンの効用を調べるために使われたり。ヒトとチンパンジーは、DNAの塩基配列で約1.23%しか違わないので、ほとんどの病気が共通なんです。それで、こういう気の毒な使われ方をされてしまいました」
チンパンジーは、適切な環境下なら、非常に長寿な生き物だ。野生でも50年くらいは生きるとされていて、飼育下では70歳以上ということもある。70年代に日本にやってきたチンパンジーたちが当時、子どもだったとして、2014年の時点では、30代後半、40代前半の年齢。それに加えて、日本に来てからの第二世代、第三世代もいる。今サンクチュアリにいる一番若い子たちは、その第三世代で、2008年生まれだ。
さて、このような複雑、というか、複雑な気分にさせられる背景を持ったチンパンジーたちが、59にん。一箇所にいるチンパンジーとしては、日本最大規模で暮らしている。「知られざる」という枕詞をつけるのが憚られる。むしろ、複雑さ加減も含めて「知ってほしい」施設といおう。
次回記載 ”第2回 ヒト科の心はどのように発達してきたのか” に続く・・・・・
【参考資料】 : 熊本サンクチュアリにようこそ (2/2)
Ω・ 京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリ 所長(当時) 友永雅己 ・Ω
出会いと別れ
このサンクチュアリでは,国内の他の動物園などの施設へとチンパンジーたちが引っ越していき,また向こうからもいろいろなチンパンジーーがやってきた。さっきのベルもそうだが,印象に残っているのは,のいち動物公園からやってきたトーンとケニーだ。彼らは,さまざまな問題からチンパンジー集団に順応するのが苦手になっていた。しかし,ここでは,彼らを集団に合流させるためのさまざまな手だてが施された。その結果,彼らは全身傷だらけになりながらも,少しずつ男ばかりのグループに溶け込んでいった。彼らは今でも時々大小さまざまな問題を起こしてはいる。しかし,時間とスタッフたちの努力が必ず彼らの心を開いてくれるはずだ。一方で悲しい別れもある。この4年半の間に8人ものチンパンジーが永眠した。享年の平均は33歳。つい最近もイヨという名の女性が癌でなくなった。けっこう仲良くしてもらい顔もよく覚えていた数少ないチンパンジ一だっただけにショックだった。
私が所長ですか?
チンパンジー・サンクチュアリ・宇土という一企業の施設からKSという京都大学の附属施設への移管は,日本のチンパンジー研究にとっても大きな転機となるはずだ。犬山に暮らす14人のチンパンジーとKSの51人(2013年7月現在は59人)のチンパンジー。日本全体の2 割のチンパンジーが京都大学に所属することになったのだ。運営指針にあるように,KSは「野生動物に関する教育研究をおこない,地球社会の調和ある共存に貢献する」という野生動物研究センターの目的の「実践のための最重要の中核的教育研究拠点」であり,「絶滅の危惧される野生動物を対象とした基礎研究を通じて,その自然の生息地でのくらしを守り,飼育下での健康と長寿をはかるとともに,人間の本性についての理解を深める研究をおこなう」ことが求められている。そのために,あえて名称から「チンパンジー」の文字をはずしている。
そのKSの所長にこの8月から不肖この私が就任することになった。月一で来熊することには変わりないのだが,これまでとは違って,運営の隅々まで目配りしなくてはいけない。その重責に髪の毛も抜ける思いである。ただ幸いなことに,先人たちの想像を絶する努力とスタッフたちの日々の努力に支えられてKSは順調に船出した。今後は,国際交流も含め多くの研究者が快適に研究でき,チンパンジー飼育担当者などの研修にも開かれる施設にしていきたい。そして,チンパンジーにとっても素晴らしい施設になるよう努力しよう。
熊本サンクチュアリにようこそ。
・・・・・・・おわり
この記事は、 岩波書店「科学」Jan,2012 Vol.82 №1 連載ちびっこチンパンジーと仲間たち第121回『熊本サンクチュアリにようこそ』の内容を転載したものです。
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