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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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研究は戦争を止められない!!/廣瀬陽子(23/27) _学究達=487

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ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年06月25日<ⰧⰊⰧ
◆ 江戸幕府、長崎の沖合にオランダ人の収容所を設置(1641年)。   ◆ 時が流れ、金日成が冷戦に満足できず、38度線を越えてものすごくホットなバトルロワイヤルを仕掛ける(1950年)。   ◆ 宮城道雄が寝台急行銀河に乗車中、何を勘違いしたか自分の生涯を途中下車(1956年)。

本日記載附録(ブログ)

ロシアがウクライナに侵攻した背景とその行方を広厚に理解すべく、旧ソ連諸国紛争や「未承認国家」「ハイブリッド戦争」の著作

日本の政治学者=国際政治・比較政治学・コーカサス地域が研究テーマ

=黒海地域の国際関係・政治経済変動などが主な業績=

研究課題“ロシアのハイブリッド戦争とその影響”/‘14年12月以降 継続中

【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

廣瀬陽子(23/27)

◇◆ 第7回 「ウクライナ侵攻はない」と旧ソ連の専門家はなぜ主張したのか=5/5= ◆◇

    国連憲章第7章51条とは、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、加盟国は個別的・集団的自衛権を行使できる。加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない」という内容で、加盟国による個別的・集団的自衛権の行使を認めるものだ。

    つまり、ロシアの論理に基づけば、ロシアが国家承認をした主権国家たるドネツク・ルガンスク両「人民共和国」から軍事支援を要請されたので、「両国」承認の際に締結した条約に基づき、集団的自衛権を行使して侵攻に踏み切ったということになる。ロシアにとって、ウクライナ侵攻は、国連憲章と条約に基づいた行動なのである!

 ただし、なぜロシアが、あるいはプーチン大統領が、このような大きな構えで事を起こしたのかということには謎が多い。国連憲章を持ち出さなくとも、条約を理由にせずとも、ロシアは侵攻できたはずだからだ。

「ジョージアのアブハジア、南オセチアと同じように、ドネツク・ルガンスク両『人民共和国』では、すでにロシアパスポートをかなり配布していましたし、また、ロシアはそもそも外国に在住するロシア人やロシア語話者を『自国民』とみなしてきた経緯から、両『人民共和国』に対して個別的自衛権を行使して『自国民保護』のためにウクライナに侵攻し、それを正当化することも可能だったはずです。いずれにせよ、国際的に受け入れられる論理ではありませんが」

 本当になぜ、この時、このような動きになったのか、今から振り返ってもミステリアスだと言える。

 廣瀬さんがこれまで観察し、理論構築していたロシアと旧ソ連諸国の関係は、ある時期、ある局面を適切に切り取って描写し得ていたかもしれないが、「2022年2月24日」は、その景観が一気に変わった瞬間だった。だから、廣瀬さんは、「私は重要な研究対象の一つを失い、これまでの研究人生で構築してきたセオリーは水泡と化した」と大学ウェブサイトの記事に書いた。しかし、正確には、研究対象が変質したために、これまでのセオリーを根本的に見直さなければならなくなった、ということだろう。

「パラダイム・シフトが起きている、というふうに感じています。たとえば、直近だと『冷戦の崩壊』というのが、大きなパラダイム・シフトの時代だったと思います。今さらに、『冷戦後』つまり、ポスト・冷戦時代が終わろうとしているのでしょう。以前とは異なる新しいパワーバランスが出てくるのは間違いないかと思っています」

 ならば、従来の秩序が崩れた後で、どんな秩序が現れるのだろう。それは、まさに現在進行形の「ロシアによるウクライナ侵攻」を受けてのことになるわけで、わたしたちは秩序の再編の瞬間に立ち会っている。そして、廣瀬さんは、ニュースで報じられるような戦況ばかりではなく、周辺の旧ソ連国も含めた動きを見つつ、思考をめぐらせているのである。

次回は“第8回 旧ソ連諸国から軽視され始めたロシアとウクライナ侵攻のこれから”つづく

Ω・Ω・Ω 首脳会談も無力「ロシア軍侵攻」欧州が見誤った事 =1/4= Ω・Ω・Ω

刻一刻と事態の動くウクライナ情勢だが、ロシア軍がウクライナの軍事施設を「高精度兵器」で標的にし、軍事インフラ、防空施設、軍用飛行場、ウクライナ空軍を無力化する攻撃を開始して以来、ロシアのプーチン大統領と欧米首脳の外交交渉目的は、戦争回避から戦争の停止へ移った。

プーチン氏の強気な攻勢は間髪を入れず、行動に移されている。ウクライナ東部の親ロシア派が実効支配する一部地域を一方的に独立国として承認。同地域に平和維持の名目でロシア軍を派遣するように命じ、さらに首都キエフなどへの軍事攻撃を行っている。アメリカのバイデン政権は侵攻という言葉を当初避けたが、前言を翻し、ロシア軍の平和維持活動について侵攻との認識を示した。

すでにウクライナとの国境沿いのロシア領土および、ベラルーシ南部でロシア軍が演習を行った事実も加え、ウクライナに対してロシアが軍事侵攻する意志があったことが明確になった。しかし、振り返ってみれば、欧米首脳は危機を警告するだけで「平和的解決は可能」という考えに固守し、プーチンの本気度を見誤った可能性は高い。

フランス、ドイツのアプローチも実を結ばず

アメリカと足並みをそろえて、ロシアへの経済制裁を開始した欧州連合(EU)にとって、ウクライナは陸続きなだけに、アメリカ以上に危機感を持っている。アメリカのトランプ前政権以来、北大西洋条約機構(NATO)に対して欧州加盟国の役割強化の流れにある欧州の主要国、フランス、ドイツ、イギリスは、第2次世界大戦後の過去のいかなる時期よりもロシアの脅威に対する責任が増している。

ところが、フランス、ドイツをはじめとしたロシアへのアプローチは効果を生んでいない。

フランスのマクロン大統領は2月7日に、ドイツのショルツ首相は15日にモスクワを訪問し、プーチン氏と首脳会談を行った。

またマクロン氏は20日にバイデン氏とプーチン氏に対して米露首脳会談を提案し、原則合意したとフランス大統領府は発表した。ところが翌日、プーチン氏がウクライナの一部地域の独立を承認。米露首脳会談の前提条件である軍事侵攻しないという状況を壊したことから、欧米各国首脳は「国際法への完全な違反」と不快感を示し、米露首脳会談は流れた。

注目すべきは、すべてプーチン氏のペースで物事が動いていることであり、米欧首脳はメディア向けに危機感を表明する一方、対応の迅速さは見られないままだ。

その間、プーチン氏は最大の交渉相手であるアメリカおよび欧州諸国の反応を見ながら、状況を正確に見極め、各国の微妙な対ロシア外交の違いの隙をついてゲームを進めているように見える。

・・・・・・・・明日に続く

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https://youtu.be/brRl5MyhP3Y  ==ロシアによる軍事行動の歴史と各国の思惑をわかりやすく解説==

 


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