Quantcast
Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2020

“バッタの子孫”の活動録/前野ウルド浩太郎(25/nx)_学究達=459

$
0
0

ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年05月19日<ⰧⰊⰧ ◆ 地球にお星さまが衝突(861年)。この時は神様の授かりものとして歓迎されるが、1000年以上も後にハレー彗星が毒ガスを放出しながら異常接近した際には全世界が恐慌状態に陥った。デマでパニックに1910年)。◆ 某国天皇、不敬なる臣民を「朕ハ タラフク食ッテイルゾ ナンジ人民 飢エテ死ネ」と強く戒める(1946年=食糧メーデー)。◆ 数々のスパイ映画や推理小説の舞台となった豪華国際列車が、1977年のこの日を限りに店仕舞い。即ち、オリエント急行の最終便がパリを出発。

本日記載附録(ブログ)

アフリカでしばしば大発生し、ユーラシアの農作物に深刻な被害を及ぼすサバクトビバッタ。

防除のために巨額の費用が投じられているが、未だに根本的な解決策は見出されていない。

『バッタを倒しにアフリカへ』と単身、西アグリカ・モーリタニアに渡った日本人がいる。

”愛するものの暴走を止めたい”と語る前野ウルド浩太郎、秋田市土崎港出身の人である。

【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

参考資料: バッタに人生を捧げます!!

番外編 ;前野ウルド浩太郎(25)

◇◆ 天災レベルに大発生する害虫を愛する男が行き着いた"ある場所" ◆◇

2人のウルド(前篇)―我ら共に闘う―/ 2_研究所との約束は「死なないこと」=後半=

モーリタニアに渡り、毎日のように所長室に通い、研究の進捗状況やお互いの文化を話しあうのが日課になった。

前野「所長、こないだ成虫の群れ観察してきたんですけど、1カ所に集まる法則性を発見したんすよ!」
ババ「なにぃぃ、それはすごいぞ! ネイチャーに論文投稿だ!」
前野「いや、まだ観察を繰り返さないと駄目なんですけど、これは面白いですよ。あと交尾も観察してきたんすけど、これもヤバいッス。サバクトビバッタがこんな交尾してるなんて世界中の誰も知らないッスよ」
ババ「いやー、デスクワークなんかほったらかして、コータローと一緒に調査しにいきたいもんだ。私が予算をとってこないと研究所が運営できなくなるから仕方ないことだが、調査のほうは頼むぞコータロー」

アフリカという非日常の世界が、徐々に職場という日常の一部になってきた。私は英語が苦手だが、共通の話題があると話が盛り上がる。打ち解けるにつれ、お互いの「悩み」も話題になるように。

2人のウルド(前篇)―我ら共に闘う―/ 3_「私は社会の奴隷になってしまった。しかし」

ババ所長の笑顔の裏には重圧と責任感が潜んでいる。所長は時間と労力という犠牲を過度に払っていた。彼はこうなることをわかっていながら、所長の座についた。

元々、田舎生まれのオアシス育ち。代々ナツメヤシを栽培する学問とは無関係の家庭に育ったのだが、学校に行きたくなった。所長は少年時代にサハラ砂漠で遭難し、野たれ死ぬ寸前で遊牧民に救出され、一命をとりとめた。そのとき、自分の残りの人生は神様からの贈り物で、世のため人のためになることをしようと決意した。

人のために何かするためには、学校に行って偉くなる必要がある。父に告げると、「学校になんか行くもんじゃねぇ。偉くなったら束縛されて社会の奴隷になるだけだ」と反対。しかし、父の反対を押し切り、学校に行き、さらに留学し、経験を重ね、モーリタニアのバッタ問題を一手に引き受ける最高責任者になった。

バッタが発生すると連日の作戦会議に追われ、家族とゆっくり過ごすこともままならない。半年ぶりのまともな休日に自宅でテレビを見ていると、その時間にアニメを楽しむつもりだった子どもから「お父さん、なんで今日は家にいるの? 早く仕事にいってよ」と邪魔者扱いされてしまった。ババ所長は家庭に自分の居場所がなくなっていることにショックを受けた。

「父の言った通り、私には自由な時間が無くなり、社会の奴隷になってしまった。しかし、私がバッタと闘わなければ誰が闘う? 私は自分に誇りをもっている」

所長のその献身的な姿勢と情熱を知り、私もまた力になりたいと思うようになり、改めて自分の研究について考えた。楽しく研究することに変わりはない。だが、ただ研究するだけではなく、自分の研究を通じて何ができるかを考え直した。考えた中で一番やりごたえがあると思えたことは、アフリカのバッタ問題を研究の力で解決することだった。

そして私はこの決意を名前に込めることになる。

2人のウルド(後篇)―この名に誓う―/ 1_ウルドという名が持つ意味

サバクトビバッタと闘うババ所長の姿に男を覚え、共に闘っていきたい思いに駆られた私は、宣言した。

前野「ババ所長、私はサバクトビバッタ研究に己の人生を捧げ、アフリカを救います」
所長「よく言った。お前はモーリタニアン・サムライだ。お前はコータロー・ウルド・マエノだ」
前野「え? ありがとうございます」

熱い思いをぶつけたら、ウルドを名前に入れてくれた。モーリタニア流の褒め言葉なのだろうか。「ウルド(Ould)」とはモーリタニアで最高の敬意を込めたミドルネームで「~の子孫」。この日以降、ババ所長は私をウルド入りで呼ぶようになった。自分で自分をウルドと呼んで良いものなのだろうか。そもそも研究者が改名したという話は聞いたことがなく、どうしたものかと軽く悩んだ。

しかしこの先、困難に遭遇してバッタ研究を続けていくかどうか心が揺らぐことがあるかもしれない。そんなときは、バッタ研究に人生を賭けるという今抱いている決意が支えてくれるはずだ。そこで、いつでも、どこででも肌身離さず持ち歩くことができる名前に決意を込めることにし、改名することにした(ウルドという響きが仮面ライダーっぽくてカッコいいことが決め手だった)。

ローマのFAO(国連食糧農業機関)本部で開催されたサバクトビバッタ国際会議で諸国の長に挨拶するとき、ババ所長が嬉しそうに「彼は日本から来たコータロー・ウルド・マエノです。サムライです」とウルドを強調して紹介してくれた。日本人がアフリカの名前を名乗っているのを知るとアフリカから来た代表者たちは驚き、嬉しそうに仲間として迎えてくれるようになった。ババ所長は、アフリカの中でモーリタニアだけに日本からバッタ研究者がきて共に戦っていることを誇りに思ってくれている。

モーリタニアに渡って一番最初のフィールド調査で、サバクトビバッタがトゲの生えた植物に群がるという習性を発見し、研究者としての名前を「コータロー・ウルド・マエノ」に改名し(戸籍上の名前は、前野浩太郎のまま)、所長たちと連名で論文を発表した(Maeno, Ould, Koutaro, Piou, C., Ould Ely, S, Mohamed, O.S., Jaavar, E.H.M, Babah, O.A.M., Nakamura, S. (2012) Field observations of the sheltering behavior of the solitarious phase of the desert locust, Schistocerca gregaria, with particular reference to antipredator strategies. Japan Agricultural Research Quarterly 46, 339-345.)。

モーリタニアにやってくる外国人研究者は、自分たちの仮説を検証するために来ており、共同研究というよりは単独プレー。研究所の研究者たちと連名で論文発表することはなかった。「利用」されることに不満を抱いていたバッタ研究所の研究者たちと初めての共同作業をし、連名で論文発表したことで、私は「仲間」として認めてもらえた。

毎月、バッタ関連の最新の論文情報がフランス人研究者から所長にメールで送られてくる。所長はそのリストを見つめ浮かない顔をしていた。私は理由を尋ねた。

次回は“ 2_「野生のバッタを知らずに何ができるというのだ」”に続く・・・・・

⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡ ⬢ ⬡

https://youtu.be/c05afPLIv5E  == Billions Of Locusts Are Swarming East Africa ==

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/0254a8ee17f40573bf20a1f2fa03b698

後節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/ 学460 /e/xxx

----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------

【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【壺公夢想;如水総覧】 :https://thubokou.wordpress.com/

================================================  

森のなかえ

================================================


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2020

Trending Articles