○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○
◇◆ 第1回 南極まで6時間 =3/3= ◇◆
南極まで6時間
今日(4日)はどうやら出発できなさそうではあったが、13時、ホテルにALCIの迎えのバンがやってきた。ALCI(Antarctic Logistic Center International)は南極行きの飛行機を運航する会社。ひとまず、荷物の積み込みと、飛行機に搭乗するためのブリーフィングを受けに行かなければならない。
南極到着直前に着替えるための防寒着や、ケープタウンで数日過ごせるような荷物だけをホテルに残し、それ以外は全て、あらかじめ飛行機に搭載してしまうのである。
ケープタウン~ノボラザレフスカヤ基地間、それと、ノボラザレフスカヤ基地からその周辺基地へアクセスするための航空網は、DROMLAN(Dronning Maud Land Air Network)と呼ばれている。ノボラザレフスカヤ基地や、同基地から約1100km離れた日本の昭和基地、他にもいくつかの基地がDronning Maud Landというエリアにある。
DROMLANは、そのエリアに基地を保有する国など計11カ国が共同出資するかたちで、ケープタウンにあるALCIが運航している。多分、こんな特殊な航空網があるなんて、普通知りもしないだろう。かくいう私もこうやって実際に利用するまで、このシステムをいまいちちゃんと理解できていなかった。もし南極関係者でもないのにこれを知っていたら、それは相当マニアックな人に違いない。
ALCIに到着すると、建物の前に停まっていた車にこう書かれていた。
“Cape Town to Antarctica ― 6 Hours”
そう、なんと南極に6時間で着いてしまうのだ。
これまでの3回、昭和基地周辺の調査地へは片道1カ月かけてたどり着いた。720時間(1カ月)÷6時間=120・・・ふと頭の中をこんな計算式がよぎったが、実際のところこんな割り算はどうでもよくて、その程度の時間しかかからないことは分かってはいたことだけれど、目の前のキャッチコピーになんだか面食らってしまったのだった。
だって、私がここまでに来るのに飛行機に乗っていた時間は、東京~ドバイ12時間、ドバイ~ケープタウン10時間。なんだろう、この違和感とこみ上げるおかしさは。
ソワソワと、ワクワクと
荷物を預け、ブリーフィングが始まった。冒頭で「とにかく今日は運航しない」ことが伝えられた。出発する心づもりをしていた私は少し気が抜けたような、けれどソワソワするような、なんとも言えない気分になった。気象情報は毎日アップデートされ、もしかしたらまた明日には状況が変わっているかもしれない。
いっそのこと、「日曜に決定!」と言ってほしいものだが、そうもいかない。日々、情報をキャッチしながら、いつでも出発できるように常に待機していないといけないのだ。
そんなわけで、今もまだジリジリとホテルの一室で待たされている。ソワソワしながら、ワクワクしながら。
ちゃんとあの機械は動くだろうか、怪我や凍傷や事故にしっかりと気をつけないと・・・考え出すときりがないけれど、色んな不安と緊張がよぎる。と同時に、私がこれまで見たこともない世界との出会い、新しい知識の発見に胸を膨らませてもいる。
南極に到着してしまえばキャンプ生活。当然、インターネットなどなく、原稿も写真も送る手立てがない。ということで、残念ながら、次回お送りできるのはケープタウンに戻って来る12月中旬になると思う。
まずは南極に到着できる日が早く来ることを願って、 ・・・・・・いざ、
to a journey of DISCOVERY and ADVENTURE!!
5カ国6名の国際チーム
このアンターセー湖南極調査隊は、5カ国・計6名の色々な意味でバラエティ豊かなメンバーで構成されている。 リーダーのデイル(Dale Andersen)は50代後半のアメリカ人で、陸水学・生物地球科学者かつ潜水のプロフェッショナル。アメリカのSETI研究所の研究者で、なんと今回が南極調査15回目!
ロシア人のブラジミル(Vladimir Akimov)はロシア科学アカデミーの微生物研究所から来た60歳くらいの微生物学者で4回目の南極。 カナダ人のウェイン(Wayne Pollard)も60歳くらい、カナダMcGill大学の地形学者で6回目の南極。
カナダ人のアリソン(Allyson Brady)は私と同い年生まれの36歳、カナダMcMaster大学の地球化学者で初めての南極。オーストリア人のクレメンス(Klemens Weisleitner)は26歳、オーストリアInnsbruck大学で雪氷微生物を研究する博士課程の大学院生で2回目の南極。
そして最後に、日本からは陸水学・植物生理生態学者の私、もう一度書くが今回で4回目の南極調査となる。
国籍も違えば年齢も専門分野も南極経験もバラバラだ。 アリソンと私以外はみな男性。けれど、南極でフィールドワークをするチームとしては、6名中2名が女性というのは珍しく高い割合だと思う。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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