長くて27分以上、深さにして560m以上 鳥類でいちばんの潜水能力
-65℃の氷原上で身を寄せ合い、雪しかない絶食状態にて繁殖地で抱卵するオス
卵が孵化する約120日間で体重は40%以上減少、再び海洋に戻る途中に死ぬオスがいる
オスだけが抱卵するコウテイペンギン、その潜水戦略を解き明かす塩見こずえ
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文=川端裕人/写真=藤谷清美、塩見こずえ(調査) & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 塩見こずえ(09) / 第4回 見えてきたコウテイペンギンの「内面」 =2/2= ◆◇
潜水時間そのものより、いつ引き返そうか決める決断時間を見た方が、はっきりしたルールを見つけやすいのではないか、ということ。
では、その「潜水終了決断時間」を決めるものは何だろう。どんなルールが背後にあるのだろう。
それが、時間そのものではないことは分かる。しかし、「時間と相関した何か」であることも間違いない。
塩見さんが立てた仮説は「生理的な制約」だ。より具体的に言うと、酸素消費量が「潜水終了決断時間」の上限を決めるのではないか。しかし、潜水中の酸素消費量を直接的に測定するのは難しい。そのためには「外付け」のデータロガーではなく、血中酸素を直接測定するような体内埋め込み型のロガーを使う侵襲的なものになる。そこまで行わずに、代替となる指標はないものか。
「羽ばたきの回数に注目しました」と塩見さん。「その時点で、すでにウェッデルアザラシの酸素消費量が鰭を動かした回数に正の相関がある(比例する)という先行研究がありまして、コウテイペンギンでも羽ばたきの回数を指標にしてみるとどうだろうか、と」
やっと、冒頭に示した「結論」に近づいてきた。塩見さんの見立ては、ここで見事に「当たり」だったということだ。
「ロガーが記録している加速度のデータを使うと、羽ばたきの瞬間が分かります。それをカウントするんです。そうすると水平方向に進んでいるときも、垂直方向に潜ってるときも、潜水を終えるポイントでの最大の羽ばたき回数には違いがほとんどなかったんです。水平に進むときは1秒あたりの羽ばたき回数が少なくても済むようで、結果的に遠くまで行けていたと、この結果から見えてきました。ペンギン牧場で同じ場所に戻ってこなければならない制約があり、さらに生理的な酸素の消費量という制約が重なった条件下で潜水をした結果、こうなるのだと解釈しています」
ペンギン牧場のみならず、野生でもこの「ルール」がある程度有効であるのは、塩見さんが南極に行く前に、佐藤准教授が取った野生でのデータがあり、整合する結論になった。
こういうことはまさに研究の醍醐味だ。これまでうまく説明できなかったことが、視点を変えることでクリアに見えてくる時の知的興奮。この場合、グラフの縦軸を「潜水時間」から、「潜水終了決断時間」、さらに「羽ばたきの回数」に変えると、とてもきれいな関係が明らかになった。たったそれだけのことで、視野が開けるのだからたまらない。
そして、ひとつのことが明らかになると、もっと大きな疑問が見えてくることも大事。塩見さんは今後知りたいこととしてこんなことを掲げた。
「1つ知りたいのは、場合によっては1キロ近く離れた場所に泳いでいくペンギンがなぜ同じ穴にちゃんと戻ってこられるのか。鳥のナビゲーションです。鳥類の研究としては、昔から大きな研究テーマになっているんですけど、水中で鳥がナビゲーションをどうやっているかという話は、そもそもどう泳いでいるのか経路が分からないと取り組めないと思うので。きちんと明らかにする方法はまだわからないんですけど、いつも意識しています」
次回は“第5回 オウサマペンギンもオオミズナギドリも”に続く
■□参考資料: ペンギンは海のハンター? (3/5) □■
__水中での意外な生態や驚異の潜水能力とは__
水中に特化した身体 : 一枚岩のような翼
ペンギンは水中を弾丸のような速さで泳ぎ回りますが、それだけの推進力を生み出す秘密がペンギンの持つ両腕の翼に隠されています。この両腕の翼は薄くてペラペラしているような見た目をしていますが、実はこの中には大きくて硬い骨が一枚岩のように入っています。
この広くてガッチリとした翼で水をかくと大きな推進力が発生するので、あれだけのスピードで水中を泳ぎ回ることが出来るという訳なんですね。ちなみに硬い骨が入っているだけあって翼で殴られるとかなり痛いです。
コウテイペンギンみたいな体の大きい種類にこの翼で殴られたら骨折するほどの威力があるのだとか。温厚な見た目ですが凶暴な一面もあるので、もしペンギンを怒らせるようなことがあったら大変なことになるかもしれませんね…
Leopard Seal Kills Emperor Penguin https://youtu.be/skoWevMUemc
: 硬く密集した羽毛
ペンギンの皮膚は一見するとツルツルとした見た目をしているので羽毛なんか生えていないように見えるのですが、実はペンギンの表面には他の鳥の2倍以上の羽毛が隙間なくびっしりと生えています。
このペンギンの羽毛は短くて硬いのですが、状況に応じて寝かせたり立たせることが出来るので温度調節をすることが可能です。
羽毛の温度調節機能… / 寒い時:毛を寝かせて外気と皮膚の間に空気を取り込み、寒さをシャットアウトする(断熱効果) / 暑い時:毛を立たせて取り込んでいる空気を放出し、風通しを良くする(冷却効果)
なので、ペンギンたちは羽毛を寝かせて空気を蓄えることで南極の冷たい風や水温にも耐えることが出来るという訳なんですね。ちなみにこの機能ですが、温度調節をするだけでなくペンギンが水中を速く泳ぐ秘密の1つでもあるんです。
実は羽毛の中に溜め込んだ空気を放出させることで羽毛表面の摩擦抵抗が無くなり、泳ぐスピードを一気に2~3倍加速させることが出来ます。
さきほど動画でペンギンたちが泳いでる姿を見たと思いますが、ペンギンたちの後ろに気泡が生まれていたのは羽毛の中にある気泡を大量に放出して一気に加速させていたからなのです。
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◆ King Penguins underwater video ◆
動画のURL: https://youtu.be/z1eatiwvzyk
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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