もしも目の前の光景がホントかウソかまるっきりわからなくなってしまったら――
予め用意した「過去」の映像を「現実」と差し替えて・・・・
何が現実かをカンペキにわからなくする装置がついに開発された
その「代替現実」システムを発明した藤井直敬!!
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆藤井直敬(05) / 第二回 こんなにすごい! 代替現実 =2/3= ◆◇
「僕はもともと、サルで『社会性』について研究していて、それを人間でもやりたいと思っていたんです。具体的に言えば──たとえば、隣に強い人、上司などがいて、面談している状況。『まあ、コーヒーでも飲め』って言われても、なかなか飲めないじゃないですか。でも友達が隣に座ってるときなら、抵抗ない。そういうふうに、環境に応じて、僕らは行動を切りかえている、もしくは切りかえざるを得ない。」
「そういう時に、脳の中でどういうことが起きているのか知りたい。とすると、実験に参加してくれる被験者に、全く同じ体験をしてもらわないと比較できないんです。最初はCGを使ったVRでやってみたんですが、被験者はなんとも思わないんですね。やっぱり本物の人じゃないから。じゃあ、どうしようかって悩んでるときに、さっき実験装置を操作してくれた脇坂君と今はイギリスに留学中の鈴木君が、こういうやり方がありますよって提案してくれたのがきっかけです」
人間の「社会性」について、それが発揮される時に脳でどんなことが起きているのか。実験し、観察するための環境として、いかに作り込まれていてもCGではリアリティが足りなかったのだろう。本物の人間が相手をしているように被験者を信じさせるような仕組みが必要だった、ということか。
「人の認知機能っていうのは、結構入れ子になってて、自分が普段何か感じたり、考えたりしてるものを1個上のメタなレベルで考えられるのが特徴です。それに関する実験をしたいとも思っていました。その時、メタなレベルをどう操作するか。すぐ思いつくのが、手品。例えばさっきまでクラブのクイーンだったのが、スペードのAになるみたいな、普通はあり得ないようなものを見せてやる。ただ、手品と分かれば、絶対タネがあるって思いますよね。だから、手品じゃなくて普通の日常の中で感じるようにしたいというのもありまして、やってみたらうまくできた。うまくできすぎちゃって、この技術をどこに向けるべきかというのが新たな問題になりました」
最初は実験の条件を整えるために、という比較的、限定的な目的のために作ってみたところ、なにかもぞもぞと、人の心の働きの本質的な部分を刺激するものに仕上がったと。目に見えている「現実」をごっそり差し替えたりするので「代替」現実。現実感を維持したまま、別の現実を体験させられることができる、というのは考えてみるとすごいことだ。
おまけに、将来的にはコストが劇的に下がる可能性が高いのも魅力的だ。
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料:藤井直敬に聞く「VRの世界で、人は服を着るのか?」 (3/5) □■
VRやARはいずれ統合される
──あらゆることが可能なバーチャル世界において、現実と同じような服を選ぶというのはちょっと意外でした。
人がなにかの服を着るとき、そこには文化的ルールが存在します。どこに行くか、誰に会うか、どんなシチュエーションかによっても選ぶ服は変わってきます。
仮にバーチャルの世界が存在するとしたら、最初はみんなが好き勝手な服を着るかもしれません。しかし、バーチャルが世の中に普及すればするほど、そこは日常のワークスペースに変化するわけですから、どこかのタイミングで「社会性」というものが持ち込まれてきます。この服では相手に対して失礼じゃないかとか、大事な場面で背中に象を背負っている人がいたら、さすがに「その象を下ろしてもらえませんか」となるわけです。
──かなり目障りですからね。
人と人がつきあう世界である以上、ぼくは現実世界とバーチャルの世界で服を変える理由があるとは思えません。現実世界と同じように「人を不快にさせない」といった社会性が入ってくる以上、結局は現実と似たようなファッションが浸透すると思います。
ただし、誰もアクセスしないようなクローズドなスペースはかんたんに作れるわけですから、そういう場所で好き勝手にすることはできますけどね。
──現実とバーチャルってすごく乖離した世界だと思っていましたが、本当は似たような世界ということですか?
一般的なVRのイメージは、現実世界という「A地点」とバーチャル空間の「B地点」が存在し、AからBへ瞬間的に移動するものだと思われています。しかし、本来のVRとは現実とバーチャルの区別がつかない、そういう技術であるべきだと思っています。
ぼくらが本物そっくりなCGで作成された空間にとばされたとしても、とんだ時点で嘘だとわかってしまう。それは虚構の世界であって、現実とは違います。本来のVRというのは、現実の延長で空間そのものが拡張するもの。だからヘッドマウントディスプレイ(HMD)を必要とする時点で、本当のVRとはいえないわけです。
一般の認識とは少し異なってしまいますが、現時点で本来のVRに近いのは、MR(複合現実)やARのほうだと思っています。HMDをつけて歩いているSF作品がひとつもないように、いまのHMDを中心に考えているVRの世界は未来の方向性としては違うような気がします。
──いまはAR、MR、VRといった呼び名がありますが、将来的にはすべての技術が統合されていくと。
呼び名はなくなっていくでしょうね。HMDをつけなくても、現実なのかバーチャルなのかわからなくなり、現実の中にいろんな情報がまぎれ込むような世界が、これから5年、10年ぐらいで少しずつ浸透していくと思います。
だって、スマートフォンも本当はものすごい超高性能なコンピューターですが、いまでは誰もこれがコンピューターとは思っていません。コンピューターやパソコンという言葉があまり使われなくなったように、すべてのことがスマホで完結できる時代になりつつあります。それと同じように、VRやARという名称は使われなくなっていくでしょう。
・・・・・・明日に続く
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◆ VR・AR・MRの違いやそれぞれの将来性をわかりやすく解説! ◆
動画のURL: https://youtu.be/y8eTiSluZ-s
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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