ゲリラ豪雨・竜巻・落雷・ひょう_大きな被害をもたらす突発的な悪天候
狭いエリアで起こる激しい天気は、“雲の王”とも呼ばれる積乱雲が原因だ
“気候変動に伴う極端気象に強い都市創り”という防災対策上、切実で現実的な研究
主にゲリラ豪雨や竜巻の予報技術の確立に取り組む真木雅之
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆真木雅之(12) / 第5回 ゲリラ豪雨や竜巻の被害を減らすには =1/3=◆◇
連載の冒頭で紹介した通り、真木さんが所属する防災科学技術研究所は、「気候変動に伴う極端気象に強い都市創り」を推し進めるプロジェクトの中核機関だ。真木さん自身のテーマは、極端気象をもたらす積乱雲の発生やふるまいについてであり、とりわけ日本の都市部では重大な問題であるゲリラ豪雨には力を注いできた。また、観測手段として様々なレーダの開発にも携わってきた。
では、プロジェクトの前提である「気候変動」、目標である「極端気象に強い都市」はどのように見据えられているのだろうか。
真木さんに語っていただき、興味がつきないこのテーマの結びとしたい。
最初に気候変動について。
産業革命以降、人類が大気中に放出してきた、二酸化炭素などの温室効果ガスは、長期的な気候変動をもたらすとされる。地球温暖化は最たるものだが、ゲリラ豪雨などの極端気象も含まれる。では、実際、今の時点で増えているといえるのか。人間の記憶は直近のものが一番鮮明だから、たとえば今年の夏にゲリラ豪雨が多く報道されれば、すなわち「気候変動でゲリラ豪雨が多発」と感じられるわけだが、本当のところはもう少し慎重に判断しなければならない。
「たしかに統計上は増えているんですよ。はっきり分かるのが、気象庁の地上雨量計のデータです。アメダスが整備されてから30年以上のデータの蓄積があるんですが、最初の10年を基準に次の10年、さらに次の10年を比較すると、災害が起こりうる1時間あたり40ミリ以上の雨が、1.1倍、1.4倍になっています。人が恐怖を感じるような毎時80ミリ以上の雨は、1.2倍、1.6倍です。最近、10分間あたり雨量についても興味ある結果を気象研の研究者が報告しています。10分間あたり15mm以上の雨量の回数が1980年頃から増えてきているという結果です。この傾向は年平均気温の増加とよく合っているそうです」
グラフを描けばはっきりと右上がりで、「増えている」といえそうだ。ただ、長期的に見てこれからも増えていくと断言するのは憚られるのも事実。
「アメダス以前のデータを今と同じには扱ってはいけないんですが、その前の10年間は逆に豪雨が多かったこともありまして、単純に一貫して増えているのかどうか分かりません。もう少し長い目で見ないと、気候変動の影響かどうかも議論できないだろうと思っています。それでも目の前に災害をもたらす気象はあるわけですから、防災・減災の研究は常に必要なんです」
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料: この異常気象は地球温暖化が原因?(3/3) □■
地球環境研究センター 気候モデリング・解析研究室 特別研究員 釜江陽一
/ 気候変動リスク評価研究室 主任研究員 塩竈秀夫
近年の温暖化の停滞傾向(hiatus)
最近の異常気象の原因は何か、を探るためには、自然のゆらぎと地球温暖化の進行、そのどちらについても理解を深める必要があります。地球温暖化がどの程度早いスピードで進んでいるのか、を知るために、実際に毎年観測されている気温のデータは大きな重要性を持っています。これまで、1880年から2012年の期間には、世界平均して0.85℃の上昇が認められます。一方で、過去15年程度の期間では、世界平均した気温はあまり上昇していないように見えることが報告されています。このように近年の気温上昇が遅まっている現象は、「ハイエイタス(hiatus、中断という意味)」と呼ばれています。
これまでに、世界中の数多くの研究者がこの現象を調査した結果、太平洋における大気と海洋の循環が、ここ十数年間は「自然のゆらぎ」の影響で特徴的な状態になっていることが、主な原因であることを突き止めました(上部に記載_図1)。太平洋の表層が冷たく、西側の太平洋内部に暖かい海水が閉じ込められる、ラニーニャ現象に似た状況が続きやすい状態にあることで、地球表面の平均気温が上がっていないように見えるのです(上部に記載_図2)。このような「自然のゆらぎ」は十年から数十年程度の間隔でゆれ動くので、地球温暖化はいずれ元のようなスピードに戻るだろうと考えられています。この他にも、ハイエイタスの原因については様々な説が挙げられており、今も活発に議論が進められています。
気候モデルによる予測の信頼性に対する批判として、「気候モデルのシミュレーションではハイエイタスを再現できていないのではないか?」というものがあります。この批判には、気候モデルの計算方法を知らないことによる誤解が含まれています。日々の天気予報(今日の天気をもとに明日の天気を予報すること)と違い、気候モデルは数百年前から計算をスタートさせて予測を行い、実際にどの年にはどんな気候だったか、を全く参照せずにシミュレーションを行います。あくまで気候モデルが計算しているのは、数十年間の平均的な気候の性質や長期変化傾向であって、「どの年に自然のゆらぎの影響がどこにどれくらいあるか」を再現することは目指していません。そのため、ハイエイタスの原因が「自然のゆらぎ」だとすると、現時点では気候モデルの予測が「間違っている」とは言えず、自然のゆらぎが戻った後も含め、長期的な平均値で評価する必要があります。
今、地球上で起きていること、これまでに起きたことを詳しく調べ、気候モデルを用いたシミュレーションと組み合わせることで、地球温暖化と異常気象の関係について、より信頼性の高い情報の創出を目指して、世界中で研究が続けられています。
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◆ これはあぶない!被害編「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」 ◆
動画のURL: https://youtu.be/HnCm8WeV_lk
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