Quantcast
Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2016

めくるめく知のフロンティア・学究達 =144= / 栃本武良(20/mn)

$
0
0

生態がほとんどわかっていなかったオオサンショウウオ

驚くべきは国の特別天然記念物でありながら、その生態は謎だらけ

勤務する水族館でよく聞かれた素朴な疑問に答えようと研究をはじめた

子供たちに答えようと、ついには「日本ハンザキ研究所」を作ってしまった栃本武良

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 番外編2 これがチュウゴクオオサンショウウオだ =2/3= ◆◇

「どうみても、CGSいないですよね。ベッキーは昔、ここにもいたはずだって言うんですけどね」と田口さんは不満げであった。

 肺呼吸で、時々は水面に出なければならないオオサンショウウオにとって、ダム湖はそれほど適した場所ではないのだ。

 むしろ、細い川でいいから、ごろっごろっと岩が転がっているようなところはないか……。

 と探していたら、あった。自然保護区の出口に近いあたりの川が、田口さんのフィールドがある兵庫県朝来市の川に似ていなくもなかった。 「ここです、ここです」と田口さんは言う。 「これハンザキ研の岡田さんが、ロンドン動物園のスタッフと1週間かけて、夜に潜ってまで探したところなんです。むかしはいたそうなんですけど、1匹も見つけられなかったんです」

 1週間かけて、きちんとした装備で探してもいないということは、オオサンショウウオが岩陰で静かにしている昼間にいきなり訪れても、まず見つかることはないだろう。田口さんは、一応、たも網を持って、捕獲する気満々なのだが、やはり、見つけることはできなかった。

 帰り道、麓の村まで辿りついた時、魏教授の大学院生に頼んで、地元の人にオオサンショウウオを見たことがあるか聞いてもらった。川で洗濯したり、日々、川辺に降りているであろう人たちだ。年齢的にはたぶん40代、50代といったところか。

 回答は、「見たことがない」「いない」だった。

 もうこの川では、見られなくなって久しいと分かった。

  北京ではふらっと訪れたレストランに、生きたオオサンショウウオがいた。しかし、いたはずの生息地には、いない。これはなにもここだけの話ではなく、中国では野生のCGSは壊滅状態だと説明を受けており、それを再確認したようなものである。 「本当に、環境はいいんですけどね。水もきれいやし、護岸もされてないから隠れ場所になりそうな大きな石もたくさんあって、日本の川よりずっとよさそう。なのに、いないんですよねぇ」と田口さんは言っていた。

中国には川の環境が残っているのに、野生個体がいないという、日本とは別のパターンがどうやら普遍的らしいのだ。

 実はこの時点で、北京のレストランでのCGS体験から3日目である。

 ベッキーと魏教授は別行動でなにやら怪しげなミーティングに出ているらしく、我々の野生個体探索にはほとんど同行しなかった。彼女たちは重大かつ本質的な折衝ごとを抱えていたのである。

 翌日、それも午後になって、やっと問題がクリアされた。

 午後2時頃、この地区の漁政局の所長さんがやってきて、「さあ、行きましょう!」と言うと、とたんに事態が動き始めた。

 所長さんの車の後について、ひたすら走る。それまで、どことなく物見遊山的な気分だったスタッフの表情がきびしくなり、仕事をする人たちの顔になった。

 目的地に到着した時には、1時間半後、つまり午後3時半。銅仁市江口県という地区で、少数民族である土家(トウチャ)族が多いと説明を受けた。

・・・・・・明日に続く・・・

■□参考資料: オオサンショウウオへの環境保全対策 (2/3) □■

ダム貯水池上流側はオオサンショウウオの生息環境に適しています。

 これまでの現地調査で、繁殖巣穴、孵化幼生が生息する落ち葉溜まり、成体の隠れ家などを確認し、オオサンショウウオの生息環境として適していることを確認しています。イラスト写真3枚

なお、ダム貯水池上流側にもオオサンショウウオが生息していることから、 ① オオサンショウウオの生息密度 ② 餌となる魚類の現存量を考慮して、オオサンショウウオを適切に移転することとしています。

ダムによる分断の影響は小さいと考えられます。

 ダムの建設により、オオサンショウウオの生息区間は、ダム貯水池上流側と下流側の区間に分断されますが、これまでの現地調査結果から分断による影響は小さいと考えられます。

【ダム貯水池上流側】

河川上下流の移動連続性を確保するため遡上路設置を進めています。

 オオサンショウウオの移転先には、河川を横断している構造物が点在していることから、オオサンショウウオが移動できるように遡上路の設置を進めています。                       

繫殖活動に必要な人口巣穴の設置を進めています。

 オオサンショウウオは、繁殖活動の際巣穴を必要とし、複数の個体がひとつの巣穴において産卵行動を行うため、巣穴は大きな容量が必要です。

 このため、オオサンショウウオの移転先として計画しているダム貯水池上流の生息環境の改善として、繁殖活動に必要な人工巣穴の設置を進めています。               

.-.-.- オオサンショウウオの縄張り争い -.-.-.

動画のURL: https://youtu.be/2E8vw9AHS5k

・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/542756734b386517fb7ecd4ec7bc9550

後節へ移行 : http://blog.goo.ne.jp/xxxx/145/xx

----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------

【壺公夢想;如水総覧】 :http://thubokou.wordpress.com

【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【疑心暗鬼;如水創作】 :http://bogoda.jugem.jp/

下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます=ウィキペディア=に移行

================================================

  

・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

================================================


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2016

Trending Articles