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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =126= / 栃本武良(02/mn)

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生態がほとんどわかっていなかったオオサンショウウオ

驚くべきは国の特別天然記念物でありながら、その生態は謎だらけ

勤務する水族館でよく聞かれた素朴な疑問に答えようと研究をはじめた

子供たちに答えようと、ついには「日本ハンザキ研究所」を作ってしまった栃本武良

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 栃本武良: 第1回 激録・オオサンショウウオ夜間調査=2/3= ◆◇

   本物の野生のオオサンショウウオは、艶々して美しかった。茶色い体の表面のまだら模様は、やはり川底の石のようで、素人がいきなり夜の川をライトで照らしても、そうそう見つけられるものではない。

 田口さんが、読み取り機をその体の左肩にかざすと、ピッと音がした。

「これはもう、標識用のマイクロチップを埋め込んである個体ですね」

 そう言って、読み取り機にある液晶画面に現れた識別番号を読み上げた。

「この番号が固有のものなので、一頭一頭、個体識別できるんですよ。トチモトさんが、40年近く前にここで調査を始めてから、個体識別できているのは1500頭を超えるんです。そのうち850頭以上にはマイクロチップが埋め込んであって、あとは尾の模様での個体識別なんですが──」

 ぼくたちが歩いた沢は、ダムとダムに挟まれたわずか10キロあまりのごく短い区間のうち、さらに短い200メートルほどだ。オオサンショウウオの個体密度が高く、日本で一番(ということは世界でも一番)集中して研究が行われてきたところだという。ちなみに、名前が出てきたトチモトさんは、この場所で調査を始めた人物であり、ハンザキ研究所の創始者・所長でもある。

 なにはともあれ、研究員・田口さんによるオオサンショウウオの計測が始まった。

   持ち運んでいた雨樋のようなものは全長測定器だ。中に入れて、落ち着かせたところで内側に貼られた目盛りを読む。

 全長は88センチ。なんという大きさ!

 しかしこれでも、このあたりでは標準的な大きさで、前夜には1メートル超えの個体2頭に出会ったという。日本の川で出会う生き物では最大級の巨体といえる。

 体重4.15キログラム。さすがにがっしりした体つきに見合った体重だ。

 尾の模様を撮影し、体の傷、手足の指の欠落などを確認しつつ、腹側を上にして総排泄腔を観察する。実はオオサンショウウオの外見から性別はなかなか判別できず、夏の終わりの繁殖期に総排泄腔のまわりが盛り上がっていればオス(オスでも盛り上がっていない個体はいる)と分かる程度だそうだ。

 測定・観察を終えると、その個体ははれて放流ということになる。この間、5分ほど。オオサンショウウオは「ウオ」と言われつつも両生類だから、成体は肺呼吸ができるし、肌も粘液で守られている。これくらいの時間を陸上で過ごしても、何事もなかったかのように渓流へと消えていく。

 この日は、台風で増水した川の水が引いた直後で、水量がまだ多く、探索できる範囲が限られていた。結局2時間ほどの間に3個体との出会いがあった。実はぼくは7月にも同じ場所を、田口さんの導きで訪問しており、その時は15個体だったから、わりと発見の少ない夜だったと思う。

 しかし、それでもこの時期(9月)にしかありえないものを見つけ、興奮した。

・・・・・・明日に続く・・・

■□参考資料: オオサンショウウオ/大山椒魚 (2/3) □■

生態: 完全水生であり、主に標高400メートルから600メートルにある河川の上流域に生息する。ただし、河川の中流や下流でも見られることがあり、市街地近くや水田の水路に生息していたことも観察されており、例えば、兵庫県北部を流れる出石川下流での護岸工事の時に400匹以上が見つかった。

夜行性で、昼間は水辺に掘った巣穴などで休む。

貪欲であり、水中で遭遇した動物に襲いかかり、魚類、サワガニなどを食べる他、ヘビ類やカワネズミを食べた例もある]。さらには、共食いすることまである。

繁殖様式は卵生。オスは6 - 7月に川辺に横穴を掘り、産卵巣を作る。産卵巣は毎年同じ場所を利用することが多く、岩の隙間を産卵巣にすることもある。オスの大型個体は産卵巣に他のオスが侵入すると争うが、メスの産卵後に周囲にいる複数のオスが侵入することもある。

繁殖行動は8月下旬から9月にオスが産卵巣にメスを誘い、400 - 500個の数珠状の卵を産む。卵は約50日で孵化する。オスは孵化するまで保護する。幼生は生後4 - 5年で変態し、幼体になる。生後5年(全長57センチメートル。変態してから1-2年後。)で性成熟すると考えられている]。寿命は野生下でも10年以上とされ、飼育下では51年の生存例がある。

文化の中のオオサンショウウオ:

井伏鱒二の短編小説『山椒魚』には、恐らくオオサンショウウオであると思われる大型のサンショウウオが登場する。また、つげ義春も『山椒魚』という漫画作品を発表しており、こちらは明らかにオオサンショウウオが描かれている。カレル・チャペックの『山椒魚戦争』はこの属の山椒魚が人類の敵となるSF小説である。 岡山県真庭市には、オオサンショウウオをまつる「はんざき大明神」という神社がある。 ウルトラマンAにはオオサンショウウオ(ハンザキ)をモチーフにした「ハンザギラン」という怪獣超獣)が登場した。

.-.-.- 野生のオオサンショウウオが大量にいる川に行ってきた! -.-.-.

動画のURL: https://youtu.be/WkHHsWyppg8

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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