『ナショナル ジオグラフィック』は直訳すれば「米国地理学雑誌」か
それなのに、ちっとも地理学誌らしくない記事を掲載 でも、そもそも地理学ってなんだろう
そんな疑問をたずさえて、世界で活躍する地理学研究者であると同時に
“ナショジオ”全巻の蔵書を誇り “ナショジオ”にまつわる展示会まで開催した堀信行
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 堀 信行(07) : 第三回 アフリカの熱帯雨林でも大発見 =1/3= ◆◇
ケニアでのサンゴ礁の研究が一段落しかけた頃、堀さんは、今のサンゴ礁が出来上がった氷河期から間氷期への間、陸上の熱帯域がどのようになっていたのかを知りたいと思った。
調査地はカメルーン。当時、アフリカ大陸で、熱帯雨林から砂漠まで一通りの気候帯を1つの国が抱えて、しかもそれなりに政情が安定している国は、カメルーンしかなかったそうだ。
調査隊の中で、堀さんの担当は熱帯雨林になった。
「わたしは元々熱帯をやっていたわけですが、ほかの隊員たちは、熱帯雨林は暑くて湿度が高くてかなわん、さらに森の中で視界がきかないからノイローゼになりそうだと言って逃げごしなんですね。結果的に議論するまでもなく、わたしの担当になったわけです」
サンゴ礁は熱帯にあり「海の森」と呼ばれるくらいだから、陸上の熱帯雨林の調査も堀さんにとってうってつけだったはず。
と考えるのは早計だったようだ。造礁サンゴの「森」の全体の地形を見ていた人が、いきなり、陸地の森の木々の中に踏み込むわけで、非常な困難に出くわした。まさに「視界がきかない」ことが大きな障害になる。
「見えてるのは木の下の露頭ですね。地面の切り口、とでもいいますか。ところが何を見てるかわからないんですよ。フィールドノートをつけようと思っても「土が赤い」とか、
「礫(れき)があった」とかですね、物差しをあててみるんですけども、何をどう計っていいのか、よくわからないのですよ。ですからやっぱり「全部赤い」とかね。書きながら自己嫌悪に陥るわけです。何を記録したら何がわかるかが見えてないんです」
それでも、堀さんは学生時代のサンゴ礁同様、ここでも「なぜ」を連発する。
一緒に行動した現地の若い共同研究者はフランスの大学で学んでおり、専門知識も豊富なのだが、堀さんが「なんでこれは赤いんだろう」とか「なぜここに礫があるんだろう」と素朴な質問をすると答えられなかった。アフリカの地形学や地質学の教科書にも満足できる説明はなかった。
「それで、よし、これをなんとかしようと思ったわけです。カメルーンのあたりでよく見る赤くて硬い土層、学校で習った言葉でラテライトというのがありますね。ラテン語で、「レンガの石」っていう意味なんですね。で、実際にレンガとして使ってる場面に出会って、納得しながら、こういうものがどうやってできたか、観察を積み重ねるうちに、だんだん見えてきたんです」
ラテライトというのは、たしかにぼくも習った。「痩せた土地」のイメージがこびりついているが、それ以前の問題として、世界中あちこちにあり、日本の教科書レベルですら言及されているこのラテライトの成因が、当時、まだはっきり分かっていなかったことに驚かされた。
その後、堀さんはラテライトができる過程のヒントを与えてくれる素晴らしい露頭に出会った。その研究成果は、今では外国の熱帯地形学の教科書にも掲載される標準的な説明となっている。
・・・・・・明日に続く・・・・
■□ 参考資料: ラテライト □■
ラテライト(laterite)は、鉄やアルミニウムの水酸化物を主成分とする土壌。成帯土壌のうち湿潤土壌に分類される。日本語では紅土という。ラトソルやラトゾルとも呼ぶ。語源はラテン語のLater(「煉瓦」の意)。
サバンナや熱帯雨林に分布する。地表の風化物として生成された膠結物質(粒子間に鉱物が入り込み、それが接着作用をしたもの)である。雨季に有機質が微生物により分解することに加えて珪酸分や塩基類が溶脱したことにより残った鉄やアルミニウムなど金属元素の水酸化物が表面に集積して形成される。
構成鉱物は主に針鉄鉱、ギブス石、ダイアスポアなどで、インドネシア半島およびインド、キューバなどサバナ気候地方に広く分布している。やせ土なため農業には向いていないが、インドでは煉瓦をつくる原料に利用されている。
ラテライトは世界の地表の1⁄3を占めると言われる。ラテライト化した最も古い岩石はブラジルとオーストラリアの先カンブリア楯状地の岩石である。それより新しい時代の造山活動に伴う岩石では、グアテマラ、コロンビア、中部欧州、インド、ミャンマー、ニューカレドニア、キューバ、インドネシア、フィリピンなどがある。
カンボジアのアンコールワットには、山地から切り出された砂岩とラテライトが建築石材として使われている。また、水の浸透が良いため、スリランカでは地下のラテライト層を水が通り、アイルランドでは下水のリン、アルミニウム、鉄分の吸着材に使われるという。
ボーキサイト鉱床はラテライトが最も利用されている例だが、インドや南米で見られるように帯状に分布するのが特徴である。
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・・・ https://youtu.be/dcWoW-YUCng ・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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