太陽系の外にある惑星はどんなところなのか そして、生命は存在するのだろうか
私たちは孤独なのか それとも、地球外に仲間はいるのだろうか
国立天文台のすばる望遠鏡を使って挑む
太陽系外惑星探査プロジェクト室 田村元秀
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美(国立天文台) & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 田村元秀 : 第二回 世界最高の性能を誇るすばる望遠鏡 =2/2= ◆◇
補償光学装置といっても色々あって、日常生活に一番近いのは、カメラの手ぶれ補正だろう。人が持っているカメラの動きを検知して画像のブレを予測し、レンズや撮像素子を動かすことでブレを打ち消す(補償する)。
一方、大気の揺らぎは「手ぶれ」とは性質が違うので、別の仕組みが必要になる。
「原理はすごく簡単で、大気が揺らいで星の光が乱されるんだったら、その乱れている様子を測ってやって、乱れた分を計算して補正するんです。最近は、わざと人工的にでこぼこさせられる可変形鏡っていうものが発明されていまして、それをリアルタイムで変形させることで、ゆらぎを打ち消すわけです」
ちなみに、可変形鏡はもとはといえば軍事技術だったとか。スパイ衛星から地上をみる時にも当然、大気の揺らぎが問題になる。できるだけ細かく解像するために開発されたものが民間にも解禁された。すると天文学者は、それまでの用途とは逆に地上から宇宙を見上げるのに使うようになった、というわけだ。
ちなみに、この可変形鏡について、すばる望遠鏡では、苦い思い出がある。動作の試験をしている時に、「鏡を燃やしてしまった」というのだ。
「鏡の形を制御するときに電流を流すんですけど、事故で過剰な電流が流れてしまって。電極が鏡の裏に付いてるんですが、そのかなりの部分に大電流が流れて、文字どおり焦げちゃったんですね。これはもう直せないということで、急遽、途中まで作ってあったバックアップを利用して、9カ月ぐらいで復旧したんですが──」
既製品があるわけではなく、高度な観測を実現するためのR&D(研究開発活動)を行い、研究に投入する最先端の観測所ならではのエピソードだ。
コロナグラフと補償光学装置、これらを組み合わせることで、主星を隠して周囲の惑星をさがすことができるようになる。
ちなみに、現行のコロナグラフHiCIAOは、大きな主鏡を持つ望遠鏡に取り付けるものとしては、小さな印象の「箱」だ。前代のコロナグラフCIAOは、もっと大きかったそうで、性能の向上も小型化も(実は低価格化も)同時に実現したすぐれものである。
ぼくにとって非常に印象深かったのは、こういった観測装置の更新によって、既存の大型望遠鏡もどんどん進化するという点だ。すばる望遠鏡自体の運用が開始したのが1999年。すでに12年目で干支が一回りしているわけだが、観測性能は随時アップしている。これは、アメリカのパロマー天文台の5メートル級望遠鏡が、初観測から60年以上たった今も現役であることを考えると全く不思議ではない。すばる望遠鏡は、まだまだ進化する。
次回は“かつて太陽は連星だった!?”に続く・・・・
■□参考資料: 人類の宇宙観を劇的に変えた3人(2/2) □■
【ノーベル物理学賞】人類の宇宙観を劇的に変えた3人。宇宙誕生初期の解明と太陽系外の惑星の発見 ≪2/2≫
惑星の常識を覆した「ホットジュピター」
またマヨール博士らが発見した惑星が、太陽系には存在しないタイプの惑星だったことも多くの科学者たちを驚かせた。
太陽系には、太陽の近くに地球のような岩石でできた小さな惑星があり、太陽から離れた場所に土星や木星といったガスでできた巨大な惑星が存在している。しかし、マヨール博士らの観測で発見された惑星は、木星のようなガスでできた巨大な惑星でありながら、恒星のすぐ近くにあり、さらに恒星の周囲をたった4日程度で一周(公転)してしまうものだった。
人類はそれまで、太陽系の中の様子を基本として、惑星の形成過程やこの宇宙のあり方を考えてきた。しかし、太陽系の内部に存在する惑星とまったく異なる惑星が発見されたことで、人類がそれまでに思い描いていた惑星像が大きく変わってしまったのだ。
◆ ハワイ・マウナケアから見た宇宙 1/3 ◆
・・・https://youtu.be/A2v8OQ4Io0E・・・
系外惑星の発見ラッシュ。時代は生命の探索へ
マヨール博士らによる系外惑星の発見の後、今日までに、4000個を超える系外惑星が確認された。
今では、地上や宇宙に存在する数々の望遠鏡を用いて、系外惑星の中から生命の痕跡を探し出す試みも、いよいよ始まろうとしている。
一方で、現代の宇宙論をもってしても、宇宙についてまだ分かっていないことは多い。これはつまり、系外惑星の発見によってそれまでの宇宙の常識が突然覆されたように、今の世界の常識が、ある日突然覆される瞬間に立ち会える可能性がまだ残っているということでもある。
2019年度のノーベル物理学賞は、まさに人類の宇宙観を大転換させ、宇宙論や天文学を新たなステップへと進めた功績に与えられた。そして同時に、未だ終わりの見えない宇宙物理学の奥深さを、世の中に伝えてくれたのではないだろうか。
◆ 地球と似た、2つの地球型外惑星「ケプラー186fとケプラー62f」 ◆
・・・https://youtu.be/7I0Okk23AJY・・・
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