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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =078= / 渡辺佑基(45/mn)

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 横に傾いて泳ぐ奇妙なサメを発見し、理由を解明! =2/2= ◆◇

   ここに至って私たちは確信した。ヒラシュモクザメというサメは、何か必然的な理由のために、いつも体を横に傾けて泳いでいる。それは今まで誰も知らなかった、海の中の確固たる真実だ。

 となると次の目標はもちろん、体を横に傾ける理由を解明することだ。なぜヒラシュモクザメは、そんな奇妙な泳ぎ方をするのだろう。そしてなぜ他のサメは、そうしないのだろう。

 そこで私たちは、ヒラシュモクザメの精巧な模型を製作し、流体力学実験を行った(図3、図4)。任意の強さの風を発生させることのできる装置の中に、サメの模型を設置し、生きたサメが実際にそうしていたように、徐々に横に傾けていった。そして模型にはたらく物理的な力を詳しく測定した。

 実験によると、サメの体が60度ほど傾いた時、揚力が最も効率よく発生し、抵抗が最小限に抑えられていた。60度という角度は、実際に生きたサメが見せた角度とぴたり一致する。つまりヒラシュモクザメの体が横に傾くと、長い背びれがあたかも飛行機の翼のようにはたらいて、効率よく揚力が発生することがわかった。

 一般にサメは、硬骨魚類(いわゆる普通の魚の仲間)と違って浮き袋をもたないので、放っておくと体が沈んでしまう。そこで多くのサメは、左右の胸びれを使って揚力を発生させ、体の沈下を防いでいる。ところが我らがヒラシュモクザメは、とりわけ長く発達した背びれを横に倒し、背びれをあたかも「第三の胸びれ」のように使うことで、遊泳エネルギーを節約していることがわかった(図5)。 

  本研究により、ヒラシュモクザメは遊泳エネルギーを節約するために、他のどんな魚とも違う奇妙な形態と奇妙な泳ぎ方を進化させていたことが明らかになった。体長3メートルもの大きなサメの泳ぎ方とその意味について、今まで誰も知らなかったという事実は、海の中にはいまだに壮大な未知

 最後に私の感じたこと。通常、生物学では(あるいはほとんどの科学分野では)、実験を始める前に結果を予測して仮説を立て、その仮説に沿って粛々と研究をすすめていくべきとされる。それはもちろん私も理解できるし、大いに賛成もしている。

 けれどもバイオロギングの研究では、動物がどのように振る舞うか、仮説すら立てられないことがよくある(ヒラシュモクザメは横に傾いて泳いでいるはずだ、などという奇想天外な予測を立てられる人はいない)。それにそもそも、魚を研究対象とする場合、どんな魚が釣れるのかすら、事前にはっきりとはわからない。

 そんなときには深く考えず、フットワークを軽くして、「たまたま」釣れた魚に「とりあえず」記録計を取り付ければいいのだと、ヒラシュモクザメは教えてくれた。とにかくやってみる。そして後で考える――そんな行動先行のやり方でも、真実の扉は徐々に開かれていくものなのだと。

次節“ ガラパゴスでのシュモクザメ調査”に続く・・・・・

■□参考資料: サメが広大な海を回遊できる理由が明らかに(2/2) □■

実験でわかった。目的地まで匂いをたよりに泳ぐ(Webナショジオ_“動物ニュース”)

ノザル氏らの論文によると、鼻孔に綿を詰められたサメたちは岸に向かって戻ろうとはしていたが、鼻孔をふさがれなかったサメたちは「一直線」に回帰した。

 ノザル氏は、サメは陸地に近づくほど濃度が高くなるような化学物質を嗅ぎ分け、それを頼りに回帰するのではないかと考えている。

はじめの一歩

 しかし、この解釈に納得しない研究者もいる。米ハワイ大学マノア校の海洋生物学者キム・ホランド氏は、鼻をふさがれたサメは「鼻に何かを入れられたこと自体に動転したのかもしれません」と指摘する。

 米国のニューカレッジ・オブ・フロリダの感覚生物学者ジェイン・ガーディナー氏も、サメが陸地に近づくほど強くなる匂いを追いかけている可能性は低いという。

 ガーディナー氏は、サメたちは陸地の方からくる何らかの匂いに注意を引かれ、その他の手がかり(たとえば、水温や光量など)をたどって、いつものたまり場に戻ってくるのかもしれないと考えている。

 実験で鼻をふさがれたサメたちも最終的に陸地に向かおうとしたのは、「匂い以外の何かをつかっていたことを示しています」と彼女は言う。

 一方、研究チームを率いたノザル氏は、鼻孔に綿を詰められたサメたちは自発的に餌を食べていたことから、「動転などしていなかったはずだ」と反論する。

 とはいえノザル氏も、サメが匂い以外のマーカーを用いて、「道」を見つけていることには同意する。「私たちが言いたいことは、サメのナビゲーションに匂いが大きく関与しているということです。研究は、謎を解く第一歩にすぎません」   文=Traci Watson/訳=三枝小夜子

◆ シュモクザメの謎|ジョナサン・バードのブルーワールド ◆

・・・https://youtu.be/zz7NSeSJPOs・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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