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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =076= / 渡辺佑基(43/mn) 

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

  驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基  

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 発見! 渡り鳥の法則 =2/2= ◆◇

 結局、1カ月半ほどかけて、計196種という膨大な鳥のデータを集めた。

 作業がすべて終わったときは心からほっとしたし、二度とは繰り返せないと思った。チェックした論文は積み上げると20センチくらいになった。

 さて、それらのデータを統合し、詳しく解析したところ、予想以上に明快でエキサイティングな結果を得ることができた。多種多様な渡り鳥の移動距離は、シンプルな二つの要因――体重と飛行様式(羽ばたき飛行あるいは滑翔)――によって決まっていることがわかった。

 渡り鳥は飛行様式によって大きく二つのグループにわけることができる。バサバサと自力で羽ばたいて飛ぶ鳥と、上昇気流や風を利用してふわりと滑翔する鳥だ。

 自力で羽ばたいて飛ぶ鳥の場合、体重の重い鳥ほど、渡りの距離が短くなる傾向があった(次ページ図A)。ある種のモズやアジサシなどの小さな鳥は、北半球から南半球に渡るような大スケールの移動を見せたが、ツル、ガン、ハクチョウのような大きな鳥は、赤道をまたぐことはなかった。

 これは飛行の力学理論と一致している。羽ばたき飛行に必要なエネルギーは、体重が増えるにつれて急速に増大する。体重の重い鳥ほど、飛行中のエネルギーの消耗が大きく、そのため渡りの距離が短くなることが明らかになった。

 興味深い例外は、南極で子育てをするナンキョクオオトウゾクカモメだ。

 この鳥は、体重1キロほどの比較的大きな体をしているのにもかかわらず、赤道をはるかに越えて、キョクアジサシと同程度の大移動をしていた。体重の違いを考慮すると、ナンキョクオオトウゾクカモメこそがキョクアジサシを上回る「渡り鳥のチャンピオン」であることがわかった(図A)。

 いっぽう、自力で羽ばたくことなく、上昇気流や風を利用してふわりと滑翔する鳥の場合、渡りの距離と体重とは無関係だった(図B)。体重500グラム程度の小さなミズナギドリも、体重9キロもある大きなワタリアホウドリも、同じくらいの大移動をしていた。

 これもまた飛行の力学理論と一致している。滑翔する鳥は上昇気流や風という自然現象からエネルギーを取り出しているので、鳥自身の消耗するエネルギーは最小限で済む。体重にかかわらずエネルギーの負担が少ないので、滑翔する鳥は長距離を移動できることがわかった。

 本研究により、多種多様な鳥による複雑な渡りのパターンがシンプルなエネルギー論で大ざっぱに説明できることが明らかになった。キョクアジサシが地球を縦断し、ツルが近隣の国までしか飛ばないのは、体の大きさが違うからだ。ツルと同じくらい大きなアホウドリやコンドルが地球を横断(あるいは縦断)するのは、飛行様式が違うからだ。大量のデータから見えてきたものは、物理法則に縛られて生きている渡り鳥たちの真実の姿だった。

 最後に、本研究を終えた今の感想。この研究で私のしたことといえば、結局のところ、研究室にこもり、パソコンに向かい、文献を読んだだけだ。100%純粋なデスクワーク。でも私は不思議と、千里の大冒険を終えたような充実感に包まれている。それはなぜかと考えてみれば、鳥の移動経路と照らし合わせながら、Google Earth上で世界中を旅したからだ。南米のジャングルにも、アフリカの砂漠地帯も行ったし、政情不安定のシリアにさえ入った。さらに比喩的にいえば、大量のデータの海を泳ぎまわったし、大量のデータの山を越えた。どこにも行かなかったけれど、たしかにいろんなものを見、いろんな経験をした大冒険だったと今は実感している。

次節“横に傾いて泳ぐ奇妙なサメを発見し、理由を解明!”に続く・・・・・

■□参考資料: 渡り鳥と足環 (2/2) □■

- Bird Banding - 環境省/山階鳥類研究所

鳥類標識調査 Bird Banding

鳥類標識調査(バンディング)とは、1羽1羽の鳥が区別できる記号や番号がついた標識(足環)を鳥につけて放し、その後の回収(標識のついた鳥を見つけ、その番号を確認すること)によって鳥の移動や寿命について正確な知識を得るという調査方法です。

この調査はヨーロッパで100年前に始められた方法で、現在も世界各国でさかんにおこなわれています。各国の標識センターは、お互いに連絡をとってデータの交換をおこなっています。現在、日本では環境省が山階鳥類研究所に委託して標識調査を実施しており、全国に設定された鳥類観測ステーションを中心に山階鳥類研究所や大学などの研究者、ボランティアバンダーが鳥を安全に捕獲し、標識をつけて放鳥しています。この調査を行うためには、野生の鳥を捕獲するための特別な許可(鳥獣捕獲許可)を受けなければなりません。

その歴史

日本の鳥類標識調査は、1924年に農商務省によって初めておこなわれました。1943年に戦争で中断されるまでの20年間に約31万7千羽が標識放鳥され、約1万5千羽の回収が得られました。戦後は1961年から農林省が山階鳥類研究所に委託して再開しました。その後、1972年からは環境庁(現在の環境省)がこの事業を受け持ち、山階鳥類研究所へ委託して調査を継続しておこなっています。

1961年から2013年までに480種約530万羽が標識放鳥され、241種約3万3千羽が回収されました。最近では全国で毎年約15万羽の鳥が標識放鳥され、今までわからなかった日本の渡り鳥の行き先や渡りのコースなどが、次第にわかるようになってきました。

鳥類標識調査員 Bird Bander

標識調査をおこなう許可を持つ人を鳥類標識調査員(バンダー)といいます。バンダーは、鳥類の識別について十分な知識を持ち、鳥を安全に捕獲して放鳥する技術を身につけていることが必要です。バンダーになるには十分な訓練を積んだ後、山階鳥類研究所が実施するバンディング講習会に参加し、バンダーの資格があると認められなければなりません。認定を受けたバンダーは、毎年環境省へ鳥獣捕獲許可の申請をして許可を受け、それを携帯して調査をおこなっています。標識調査を実際に担っている人の多くは、こうしたボランティアバンダーたちなのです。

◆ IFPC(中国語) 雁行理論 Geese Theory ◆

・・・https://youtu.be/dcIBp_-t4yA・・・

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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【疑心暗鬼;如水創作】 :http://bogoda.jugem.jp/

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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