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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =056= / 渡辺佑基(26/mn) 

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ ヒラシュモクザメに関する奇想天外な仮説 =3/3= ◆◇

    ヒラシュモクザメの体を右に(あるいは左に)60度傾ける。するとどうだろう、背びれは機能上、胸びれと区別がつかなくなり、背びれからも揚力が発生するようになる。なるほどこの状態では、胸びれも本来の位置からずれてしまうので、胸びれに発生する揚力は減ってしまうかもしれない。けれども「3本の胸びれ」から得られるトータルの揚力は、まっすぐな姿勢のときの2本の胸びれ由来の揚力を上回るのではないかと私は予想している。

 トータルの揚力が上回るということは、ヒラシュモクザメはそれだけ楽をできるということである。沈まないようにエネルギーを使って泳ぎ続ける必要性から、少し解放されるということである。これが私の「第三の胸びれ」仮説だ。

「パンダの親指」という話がある。パンダの前足には、ヒトの親指にもいっけん似た、人差し指や中指と対向する骨があり、パンダが笹を摑んで食べる際に役立っている。ところが実際はパンダはクマの仲間であり、他のクマと同様、親指は人差し指の横に並んで付いている。いっけん親指にも似たその骨は、じつは指ではなく、手首の骨が特殊化してできた骨の突起である。

 生物の進化というのはそれくらい柔軟性に富んだものだ。パンダに「第六の指」があるように、ヒラシュモクザメにも「第三の胸びれ」(=背びれ)があり、それを効果的に使うために左右に体を傾けて泳いでいるんじゃないかというのが私の考えだ。

この仮説を検証するにはどうしたらいいだろう。第一に、少なくとももう1、2匹のヒラシュモクザメに記録計を取り付けて、「横倒し泳ぎ」がこのサメにとって自然な動きであることを確かめなければならない。

 第二に、背びれや胸びれの形態のデータを集めねばならない。死骸でいいから多くのヒラシュモクザメを手に入れて、計測し、このサメの背びれが本当に胸びれとそっくりといえるかどうか、検討しなければならない。

 第三に、流体力学的な実験も必要だろう。ヒラシュモクザメの模型を作り、風洞(任意の強さの風を起こせる実験装置)を使って、体を横倒しにすれば本当に背びれから揚力が発生するのかどうか、そして「3本の胸びれ」から得られるトータルの揚力が、通常の姿勢で得られる揚力を上回るのかどうか、確かめなければならない。

 というわけで、この奇想天外な仮説を科学論文として発表できるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。でも、ゴールを目指して一歩一歩前進していこうと思う。ヒラシュモクザメにおける「第三の胸びれ」は、海洋動物の面白さを象徴するだけでなく、進化の柔軟性を示すという意味で生物学全体にも大きなインパクトを与えられると私は信じている。もちろんそれがもし正しければの話だが。

次回“伏兵アカマンボウの逆襲”に続く・・・・

 

■□参考資料:バイオロギングで探る海洋動物の行動・生態 (5/6)  □■

国立極地研究所・総合研究大学院大学複合科学研究科 / 高橋 晃周

海鳥の地球縦断飛行 バイオロギングの成果として,次は空を飛ぶ海鳥に目を向けてみよう。2004 年に,足環につけた数グラムの小型照度記録計(ジオロケータ)を用いて, 鳥のいるおおよその位置を推定する手法が確立され, その後,海鳥の渡り行動の研究が飛躍的に進んだ。

繁殖を終えた後,多くの海鳥は繁殖地を離れ,長距離を移動して越冬海域へと向かう。これまでの渡りの記録で,最も長距離を移動するのは,グリーンランドで繁殖し南極海で越冬するキョクアジサシである。

この鳥は 8 月にグリーンランドを出発すると,大西洋の赤道域を経由して11月に南極海へ到達する。南極海で越冬(南半球の夏期間)した後,4月に南極海を離れ,6月にグリーンランドに戻って次の繁殖を始める。渡りの期間中の総飛行距離は7万kmにおよぶ。これは地球を約1.8周する距離に相当する。わずか100 g程度の鳥がこれだけ長距離を飛行するのは本当に驚きである。

これまでにも, 個体標識の足環が偶発的に回収された記録から,南極海で越冬するキョクアジサシがいることは知られていた。しかし,ジオロケータによって,渡りの研究はそうした偶然にたよる必要がなくなり,さらに, 渡りの間の詳細な移動経路の解析が可能となった。 その結果,多くの種で研究が進み,今では,キョクアジサシとは逆に,南極周辺で繁殖し,北極で北半球の夏期間を過ごす海鳥がいることもわかってきている。

北極や南極の海鳥ほどダイナミックではないが, 日本で繁殖する海鳥も長距離の渡りをする。日本周辺の離島で夏に繁殖する海鳥オオミズナギドリは, 冬には赤道付近まで移動し,春先にまた日本近海へ戻ってくることがわかった。

渡り期間中の総移動距離は1万kmをこえる。 こうした海鳥の渡りの研究は,世界のさまざまな 海域の生態系が互いにつながっていることを示唆する。南極の生態系に何か異変がおこれば,その影響は北極で繁殖する海鳥にも現れる可能性がある。バイオロギングで得られる移動に関する正確な情報は, 動物の保全を考えるうえでも重要になると思われる。

・・・・・・明日に続く

◆ アデリーペンギンの生態〜suicaのモデル ◆

・・・https://youtu.be/MDzedppLYLc・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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