地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン
つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで
インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う
驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・安藤寿康
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 渡辺佑基・フィールドは「未踏の大地」 =2/2= ◆◇
一方、同じ島で、もうひとつの研究対象だった、固有種のケルゲレンヒメウでは、別のトラブルに見舞われた。ロガーを回収できたのはよいのだが、なぜか、水中での遊泳速度が記録されていない。
よくよく調べてみると、装着された個体が、長い首をまわして遊泳速度測定のためのプロペラの部分をつつき、軸を固定しているネジがゆるんでしまったらしい。
渡辺さんは、ロガーからパソコンに吸い上げた生データでおもしろいことを発見した。
水中での遊泳速度は測れていないものの、空中に出た時にプロペラが回転し、なにがしかの数値が記録されている。ネジがゆるんだため海中では役に立たなくなったものの、飛行中には回転するようになっていたのだ。
目的のデータが取れず、大失敗である。しかし、そこで渡辺さんは考えた。
「水中の遊泳速度なんか過去にたくさん記録があって、それほど新しくないけれど、空中はそんなに記録がないはずだから、空中のほうがおもしろい!」と。
そこで、渡辺さんは、わざとゆるめた状態に調整して、ヒメウに装着した。やはり飛んでいる時のデータが取れることが分かった。
帰国後、工学系の知り合いの先生に頼んで風洞実験をして、ロガーの値と風速、つまり、ヒメウが飛んでいた時の速度を照らし合わせ、世界ではじめて飛んでいる鳥の飛行速度、それも対気速度(風が強いところで鳥が制止しているように見えても、実際にはその風速の分の速度で飛んでいるのと同じ)をあきらかにした。
それだけでも、災い転じて福となした画期的事例なのだが、まだ先がある。
「飛ぶほうに焦点を当てて飛行能力の解析をしてみたら、パッと見はちゃんと飛んでいるように見えて、飛行時間がやたら短いし、3分も飛ばないんですよ。よくあるパターンとしては、1分くらい飛んだら降りてくることが多いです。飛行速度をバイオメカニクス的な解析をして考えると、けっこういっぱいいっぱいの速度です。潜水能力はすごくて、100メートルくらいは潜るんです。その代償として飛行能力はショボいんじゃないかと、いう結論になりました。空飛ぶ潜水艦がつくれないのと同じような理由ですね」
ヒメウにつけたロガーには、加速度センサーやGPSも搭載されており、どこで飛んでどこで休んだかということが、はっきり分かる。たった5キロ先の沖で餌をとるにしても、そこに至るまで一気に飛べず、何度も休むのだという。
目下、渡辺さんは、ウの中にも潜水に特化して飛行が苦手なタイプと、潜水はそれほどでもなくてかなり飛行能力があるタイプに分かれるのではないかと考えており、それらを比較研究してみたいと思っている。
なお、鳥の飛行速度(対気速度)が直接的な方法で分かることは、やはり画期的なことなので、今後、ロガーを装着できる大型の鳥では活用され、新たなジャンルを生み出す予感はすでにある。
なにはともあれ、センサーの意外な使い方を偶然思いつき、海鳥の水中の姿ではなく飛行中の姿という「未踏の地」に、足を踏み入れたお話。このあたりも、バイオロギングによる研究の醍醐味ともいえる。
次回“マグロは時速80キロで泳がない!?”に続く・・・・・
◇ Eye of the Storm 4K Ultra HD ◇
・・・https://youtu.be/s6zR2T9vn2c・・・
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//////参考資料///////
■□参考資料: 南極なう!/ 渡辺佑基「日本けん玉協会南極支部」(2/2) ■
というのも、日本南極地域観測隊は「日本けん玉協会」の公式な「南極支部」であり、隊員のひとりが検定員の資格をもって来ているので、級位の取得が可能なのである。定期的に開催される級位認定試験の場で、級位に応じた3種類の技を、級位に応じた成功率でこなすことができれば、履歴書にも書ける「けん玉道○級」の証書がもらえる。南極に凄腕のけん玉プレイヤーが揃っているのはそのためである。
私だって、いままでに膨大な時間をけん玉に費やしてきており、自分でいうのも何だがけっこううまい。ただ惜しむらくはノミの心臓。普段の練習で何気なくきめている技も、検定員の前に立ち、皆が息を殺して見守る中で挑戦すると、緊張で膝が震えてしまい、焦りが焦りをよんで、十に一つもきまらないのである。今までに何度、そうした失敗を繰り返してきたことか。
だからこそ、つい先日の話だが、鬼門の「灯台」がきまり、一級の試験に合格した時の嬉しさといったらなかった。そうして、その後に出た、夜空にゆらめく絹のカーテンのようなオーロラが、その喜びを倍加してくれた。
次回“最終回 渡辺佑基「上陸、生ガキ、そして次の冒険のはじまり」”に続く・・・・・
◆ バイオロギング - SNN25 - ◆
・・・https://youtu.be/NsBftrUyU0I・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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