地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン
つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで
インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う
驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・安藤寿康
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 渡辺佑基・学界のインディ・ジョーンズ =1/4= ◆◇
ロシア・バイカル湖のバイカルアザラシ、カリフォルニアのキタゾウアザラシ、北極のアゴヒゲアザラシ、南極のウェッデルアザラシ。
ノルウェーの、ニシオンデンザメ(グリーンランドシャーク)、ホッキョクグマ。
中国・長江のカラチョウザメ、岩手県のマンボウとシロザケ、インドネシア・スラウェシ島の熱帯ウナギ、ハワイのシュモクザメとイタチザメ。
仏領ケルゲレン諸島のケルゲレンヒメウとジェンツーペンギン、アメリカフロリダ州のミシシッピワニ。
そして、もちろん、南極のアデリーペンギン!
国立極地研究所助教の渡辺佑基さんが、これまでにデータロガーを装着してきた動物と棲息地を辿るとだいたいこのようになる。
場所でいえば、南北の両極地をはじめ、熱帯まで網羅する。渡辺さんが研究者として歩き始めてからの足跡を地図に描いてみると、なんだかインディ・ジョーンズの映画の中に出てくる飛行機移動の経路図みたいにダイナミックだ。
生物種のバリエーションもすごい。水の生き物であることは共通するとはいえ、魚類、は虫類、鳥類、哺乳類と、脊椎動物のほとんどを網羅している。
動物の研究者として、これはかなり特殊だと思う。
ぼくが知っているフィールドの研究者は、たいてい何かの分類群の生き物に特化している。霊長類なら霊長類。その中でも、オランウータン一筋とか、チンパンジー一筋、とか。准教授、教授と、次第に管理職側になっていくと多数のフィールドの研究プロジェクトの面倒を見ることになるが、第一線で活躍する若手でこれだけの多様なフィールド、分類群を相手にする人は異例中の異例だろう。
バイオロギングの研究者は、こういう人が多いのだろうか。
渡辺さんは、首を横に振った。
「生き物が好きでこの世界に入ってきた人には、イルカ大好きとか、アザラシ大好きとかいうことも多いんです。でも、わたしは全然そんなのはないんで──」
渡辺さんが変わり種なのは、工学部を志して大学に入り(航空宇宙系の勉強をして宇宙飛行士になりたかった!とか)、農学部を経てバイオロギングの世界にはまった、という点かもしれない。生き物好きが高じて、というのではないのだ。
「動物を研究のマテリアルとして捉えているというか。魚でもいいし、哺乳類でもいいし、まあ同じようなものじゃないかという感覚ですね」と言う。バイオロギングという技術の可能性をとことん追求して、新たな発見をしたい!という知的好奇心が言葉の端々からあふれ出る。
・・・・・・明日に続く・・・・・
◇ アデリーペンギンの生態〜南極に生きる白黒のツートンカラー〜(Adelie penguin) ◇
・・・https://youtu.be/MDzedppLYLc・・・
動画再生不能の時は上記URL(⇑)をクリックしてください
//////参考資料///////
■□参考資料: 南極なう!/ 渡辺佑基「ヒヤリ!」 (1/1) □■
4カ月間にもわたる南極観測で怖いのはパソコンやカメラなど精密機器のトラブルだ。何か不具合が起きてもサービスセンターには送れない。船内のインターネットは電子メールに限られるので解決法を検索することもできないし、たとえ解決法がわかっても必要な道具を揃えられる望みは薄い。そうしてもしも序盤でカメラが使用不能になってしまったら、その後やってくる白く輝く氷山や、行列をなすペンギンや、夜空を彩るオーロラなどの大スペクタクルをキーと歯ガミしながら眺めることになる。いや、本当にそうなりかけた。こともあろうに自分の愚かなミスで――。
絞りを絞って撮影すると画面の端にちいさな灰色の点がポツンとつくことに気付いた。イメージセンサーの汚れである。といっても、よく見れば確かにあるなという程度で、気にせず放っておけばよかったのだ。カメラの整備法などろくに知らないくせに、つい欲を出してしまった。
スプレー式のエアークリーナーで掃除してみることにした。イメージセンサーはフィルムに相当するデジカメの心臓部。しかもフィルムと違って取り換えがきかないから、少しでも傷つけたらお手上げの超精密パーツである。こわごわとレンズを外し、ミラーを上げて小さな太陽光パネルのようなセンサーを露出させる。埃の入らないようカメラを下に向け、エアークリーナーを真下から上向きに吹きつける。噴射口からシューと風が出てセンサーの表面についたゴミを吹き飛ばす――はずであった。
ところが、噴射口からは気化しきれていない半液体物が飛び出してきてイメージセンサーにびしゃっと直撃した。
スッと血の気が引いた。この種のスプレーは傾けて使ってはいけないことを忘れていた! 脂汗をかきながら、今度はちゃんと風の出る角度で何度か吹き付け、祈るような気持ちでレンズを取り付け試写してみる。しかし無慈悲なるかな、画面の大部分は異常なヒョウ柄模様に侵され、おまけにその周辺部には液体物の飛び散った波模様がくっきりと見て取れた。
恥ずかしいくらい狼狽しながら船内で写真長を探した。写真長は「しらせ」船上で執り行われる儀式、イベント、日々の業務等をカメラやビデオカメラで記録するのが仕事の自衛官である。何とかなりませんか、と一縷の望みをかけてお願いしたとき、私はほとんど泣きそうだったと思う。道具はいろいろ足りないのだけど、でもまあやってみましょう、とおっしゃる写真長が仏様に見えた。そしてカメラを渡し、祈るような一時間の後、帰ってきたのはピカピカになったイメージセンサーだった。
もう二度と分をこえた挑戦はいたしません、と私は天に誓った。
次回“渡辺佑基「ペンギン列車」”に続く・・・・・
◆ 「進化の法則は北極のサメが知っていた」の感想 ◆
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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