○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
○ 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 ○
◇◆ 第5回 恐竜を研究する意味・・・・ =2/3= ◇◆
「大発見」を伝えることの難しさ
ある取材で「先生にとって『大発見』とは何ですか」という質問をぶつけられたことがある。 なかなか良い質問だった。
私はこれまで多くの大発見をしてきたつもりだ。 フィールドを歩き、新しい恐竜を発見したり、新しい知見を考え出したりする。 しかし、自分自身はその発見に興奮していても、その気持ちはなかなか伝わらない。 プレスリリースを出すと、メディアの人たちが取材に来る。 私は自信満々にその重要性を語り出すが、どうも記者の人たちは私の言っていることに付いてきていないのが、ありありとわかる。
例えば、ナショナル ジオグラフィック日本版2015年4月号に取り上げられた恐竜、デイノケイルスの発見も然りである。 私たち研究チームは、デイノケイルスの全身骨格の発見を、科学誌「ネイチャー」に論文として発表した。 ネイチャーに掲載されるのだから「大発見」であるはずだし、重要な研究であるはずだ。
私が用意したデイノケイルスの論文の要旨をまとめたプレスリリースでは、「研究成果のポイント」の最初の2つに以下を挙げた。
1. 今世紀最大の謎の恐竜デイノケイルスの全身骨格を2体発見
2. デイノケイルスの分類・系統的位置が判明し、オルニトミモサウルス類であることがわかった
これを読んで、皆さんはその重要性が理解できるだろうか。 非常にマニアックなので、よほどの恐竜好きでなければ、ピンとこないのではないか。
そこで、噛み砕いて説明しようとするのだが、なかなかうまくいかない。
記者: この恐竜は、どういった点が今世紀最大の謎なのですか?
私: 大きな腕しか見つかっておらず、全貌がわかっていなかったのです。 恐竜研究者の間では、恐竜研究最大の謎と言われています。
記者: 大きな腕の何が謎なのですか?
私: 腕の長さが2.4メートルもあり、獣脚類恐竜のなかでも非常に大きな腕です。 このような大きな腕をもっている獣脚類恐竜が、どのような姿形をしていたのか、どのような生活をしていたのか、あらゆる研究者が解き明かそうとしてきました。 しかし、これまで発見されていたのは腕だけで、よくわからなかったのです。そして、私たちがようやく全身骨格を発見し、全貌が明らかになりました。
記者: ・・・なるほど。
いまいち?伝わっていなかったような気がする。
優秀な日本人研究者が、世の中を変える大発見をしている。 例えば、青色LEDやiPS細胞。 私たちの生活を変える大発見だ。
このような研究こそ、必要とされ、人のためになる研究である。 大発見の内容もわかりやすく、実生活に変化が起こるため、実感しやすい。
しかし恐竜の大発見はというと・・・なかなかわかりづらいものだ。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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