DNAを分析すると 生物の進化の歴史を辿れる 人間でも同じこと
人間の細胞にある「ミトコンドリアDNA」というモノを扱って
ミイラや古い人骨などからそのルーツを解明、「人間とは何か」を問う
国立科学博物館人類研究部研究グループ長 / 篠田 謙一
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美、& イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 篠田謙一(第二回) / インカ帝国は「不死の国」だった! =1/2= ◆◇
2002年に逝去した、SF作家R・A・ラファティの傑作に『九百人のお祖母さん』(ハヤカワ文庫SF)という作品がある。インカのミイラの話を聞いて、ふと思い出した。
ある惑星に住んでいる宇宙人が「死なない」という特質を持っており、つまり、先祖がみな生きている。次第に動かなくなり、小さくなっていくものの、常に「現役」にとって、無視できない存在であり続ける。自分の家の中に900人の先祖が、生きて存在し続けていると考えてみてほしい。何か違う世界が垣間見えるような気がしないだろうか。
インカ帝国の王も、死後、ミイラとして生き続けた。「死後の生」を目に見える形で演じ、「現役」の王にも、一般の人々にも強い存在感を示していた。死後も領地を保持し、家来たちに、かしずかれ、着替えさせられたり、食事をさせられたりしていた、というから、我々の今の感覚とまったく違う。また、こういった文化が、インカ帝国の版図拡大にも影響したかもしれない意外な可能性があるというのも、驚きである。
篠田さんは、この件について、さらに突っ込んで「死生観の違い」を強調した。
「──僕のイメージだと、日本の死生観のほうが彼らからすると不思議なんじゃないかと思うんです。結局、日本では、人は死ぬとみんな無くなってしまうんですよね。放っておけば腐ってしまうから。人が死んでもそのままの格好で残る土地の考え方って、きっと根本的に違うんだろうと」
「──エジプトですと、再生を願ってミイラをつくってますよね。あれとも違います。地下などに大きな祠をつくって、そこに遺体を布にくるんでポンと置いて埋葬する。次にだれかが死ぬとまた埋葬して……。そうすると、生きている人も、自分がどこに入るかわかるんだと思うんですよね。あそこにいるのはおじいさんで、これはお父さんで、次に自分はここに来て、その次に子どもが入るんだって……」
そして、インカ帝国が版図を拡大するにあたって、ミイラ文化もアンデスを中心に各地に広がっていった。前回、紹介したコンドル湖周辺のチャチャポヤ人のミイラもそうだ。
「チャチャポヤ人は9世紀頃から続く文化を持っていて、非常に好戦的でもあったんですね。インカとかなり激しい戦争をしつつ、最終的には乗っ取られる形になりました。コンドル湖の周辺の墓地には、インカに征服される前のものも、その後のものも両方埋葬されています。インカ以前のチャチャポヤ時代のものは、布にはくるんでいるんですけども、湿った気候ですからやはり中は骨です。インカ後になって、急にミイラをつくり始めるようになるんですよ」
明日ににつづく・・・・・・
◇ 日本人はるかな旅(NHKスペシャル) ◇
・・・https://youtu.be/EIL15trzvvY?list=PLg2LPnANrWZDBzBFaluVWrqlpZ6GMsoM1・・・
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//////参考資料///////
■□ 参考資料: 篠田謙一さんが語る、ミトコンドリアDNAでたどる人類の起源(3/5) □■
「自分の祖先もヒマラヤ山脈を越えてきたんだろうなと想像しますよ。大変だったろうな。苦労したんだろうなと。ただ、彼らは苦労しながらもきちんと子孫を残してきたわけです。そうして今、私がここにいる」
このようにミトコンドリアDNAからわかることは数多いのです。が、そこから導き出されるのはあくまで母方のルーツだけ、ということも私たちは忘れてはならないでしょう。
「私の父親のハプログループはAですし、私にはそちらのルーツもある。一人ひとりにはあらゆる遺伝子が受け継がれている、と考えたほうがよいのでしょう」
日本人のルーツは東アジア、そしてアフリカへ
こうして日本人のハプログループを一つひとつたどっていくと気づかされることがあります。それは、ほとんどのハプログループが東アジアにその由来を持ち、なおかつ同じ種類のDNAを持つ人びとが、日本だけでなく、東アジアの全域に数多く存在しているということです。
つまり、日本にいる私たちのルーツ、根っこをつかんでいくと、私たちの身体はいつのまにか海をこえ、国境をこえ、東アジアの大陸をまたいでいるのです。
「私は日本の人類学者ですから『日本人のルーツ』というのを一応のテーマにしてきました。そして日本人のルーツを探るとなれば、とりあえず東アジアまで追いかけるわけです。しかし人類はもともと『アフリカ』から出てきたことが最近わかったんです。
それまで日本人は北京原人などから進化して、日本で新人になったと考えられていた。それがアフリカで新人になったことがわかり、それまで考えられていた日本人のルーツ自体もがらりと変わってしまったわけです。
じゃあDNA分析にもとづいて日本人のルーツはどこにあるのかと探っていけば、それはまさに東アジアで暮らす人びとの成立に結びつくんですね」
年代に分子生物学が巻き起こした革命、それが新人の「アフリカ起源説」でした。従来は、世界中に散らばる北京原人、ジャワ原人、ネアンデルタール人などから私たちは新人に進化したと説明されましたが、実際にはそうした先行人類は絶滅し、私たちの共通祖先はみなアフリカで生まれていたことがわかったのです。それがおよそ10万〜20万年前のできごと。あるグループがアフリカを旅立ち、世界中に拡散していったのが、たった6万〜7万年前とされています。
「アフリカを最初に出た人びとは160人ぐらいと見積もられているんですよ。最大でも550人と考えられている。私たちアフリカ以外に住む人びとはみな、この何百人から生まれ、派生していった子孫なわけです。一方は欧州へ向かいヨーロッパ人となり、一方はオーストラリアへ向かってアボリジニとなった。夢みたいな話に思われるかもしれませんが、実際そうだったのですよ」
明日に続く・・・・・
弥生人のDNAで迫る日本人成立の謎(前半) ◆・・https://youtu.be/lxtA9CLWZw8・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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