≡ 世界の人口は2050年までに90億人に達し、十分な食料を確保できるのか ≡
= 「米と魚の国」と呼ばれる自然に恵まれたバングラデシュ =
- モンスーンと大河川の氾濫が食料の供給に大きな役割を果す -
人々の食生活は「米と魚を食べるベンガル人」と言われている
【この企画はWebナショジオ_「世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅」】
(文=中川明紀・ライター、編集者 イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 「東十条」は南アジアの交差点 =2/3= ◆◇
さて、店に入ってきた男性が私に向かっていった。バングラデシュ人のカウサル・イマムさんで、この店のオーナーだという。そうか、インドのビリヤニか……って、えっ! バングラデシュじゃないの!? 「ビリヤニは国ごと、地域ごとに違うんですよ」とカウサルさん。それ、早くいってよ……。
諸説あるが、ビリヤニはムガル帝国時代に発展した料理だといわれている。ムガル帝国とは16世紀初めにアフガニスタンから侵攻したイスラム教徒が北インドに建国した国家。全盛期にはインドのほぼ全域を支配したが、やがて欧州の侵攻などを受けて19世紀に滅亡した。さらに第二次世界大戦後、パキスタンがイスラム国家としてインドから分離・独立。バングラデシュはそのパキスタンから1971年に独立した国家である。
つまり、いわゆる“カレー”に代表される南アジアの料理はよく似ていて、その中でビリヤニはイスラム系の料理とされる。「だから、ビリヤニの肉は羊や鶏肉のほかヒンドゥー教徒が食さない牛肉も使いますが、イスラム教で禁じられている豚肉は用いません」とカウサルさん。そのほか、一般的には香りに特徴があるバスマティライスを使うという。
ハイデラーバードのビリヤニはインド全域で食べられている最もポピュラーなビリヤニで、香辛料に漬け込んだ肉と軽くゆでた米を重ねて炊くそう。一方、バングラデシュも重ねるのは同じだが(何層になる場合もある)、米を油で軽く炒めてから香辛料で煮込んだ肉と炊き込むらしい。私にはあまり違いがわからないけれど、バングラデシュのビリヤニはもっと色が白っぽいそうだ。
「同じハラール料理だから、ハイデラーバードのビリヤニもうちに来るバングラデシュ人は好んで食べていますよ」とカウサルさん。バングラデシュのビリヤニはメニューにないのかと問うと、毎週金曜日につくっているという。「イスラム教徒は金曜の正午にお祈りします。お祈りが終わるとみんな店に来るんです。だいたい20人くらいかな」
店の近くにモスクもあるそうだ。バングラデシュでは金曜にビリヤニを食べると決まっているのだろうか。そう聞くと、カウサルさんは首を横に振る。「普段の日も食べますよ。でも、南アジアのイスラム教徒にとって結婚式など特別な日には欠かせない料理なんです」
この日は金曜でなかったため、バングラデシュのビリヤニの代わりにもう一品いただくことにした。カウサルさんにソウルフードを尋ねると、バングラデシュ人シェフと会話を交わしてから答えてくれた。
「いろいろあるけれど、シンガラはスナックとして人気です。ジャガイモや豆、肉などを小麦粉でつくった皮で包んで揚げたものです」
さっそくオーダーする。出てきたのは小学生のこぶし大くらいの揚げもの。生地は厚めだがサクサクで中にカレー味のジャガイモやグリンピース、コーンなどが入っている。ホクホクのジャガイモは甘みがあってまろやかだが、辛さもしっかりしていて、添えられていたケチャップが実に合う。
「町のいたるところで売られていて、小腹が空くと買って食べたりします。日本のたこ焼きに近い感覚ですね」とカウサルさん。シンガラはジャガイモたっぷりで腹持ちもよさそうだ。あれ、でもこれ、インドでポピュラーなスナックのサモサに似てるな。
「シンガラとサモサは同じですよ。インドでいうサモサをシンガラというんです。違いをあげるとしたら……伝統的なシンガラには生地にニゲラという黒い粒のスパイスが練り込まれていることかな」
おっとまたしてもインドと同じ。ちなみに、パキスタンもサモサというらしい。なぜ、バングラデシュではサモサといわないのだろうか。そう問うと、カウサルさんは「バングラデシュでサモサというと違う料理なんですよ」という。
次回に続く
◇ ボイシャキメラ バングラディッシュ正月祭り ◇
・・・https://youtu.be/2ow66g56c6s?list=PLF1nkmZych94JPXIUD291KXJKLD03gMif・・・
//////参考資料///////
■□参考資料: バングラデシュ料理(2/3) □■
バングラデシュ料理の食材
他のインド亜大陸の国の料理と比べて、バングラデシュ料理には野菜や魚が多用される。ニワトリ、ヤギなどの肉、魚、エビ、卵がメインディッシュの材料となり、メインディッシュの後にはダールという豆のスープが出される。ダール、トマトスープなどのスープ類はスープとして飲まず、米の上にかけて食べられる。カレーなどの汁物は「トルカリ」と呼ばれるが、トルカリは副菜そのものを指す言葉として使われることもある。インド料理と同じくカレーが料理の中心となっており、バングラデシュのカレーは水分が多いために手で料理を混ぜ合わせる手食の習慣によく馴染んでいる。
バングラデシュ料理に使われる香辛料はニンニク、ショウガ、タマネギ、トウガラシ、ウコン、コリアンダー、クミンシードが基本となっており、バングラデシュ料理はインド料理に比べて素朴な味付けがされていると言われている。肉料理にはシナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグなどの香辛料を調合した「ゴロム・モシュラ」が使われ、「パンチ・フォロン(「5つの調整剤」の意)」と呼ばれるカロジラ、クミン、マスタード、フェヌグリーク、フェンネルは料理の味を調えるときに粒のまま使われる。
バングラデシュでは魚介類をマスタードオイルで揚げた熱い料理が好まれている。バングラデシュ人は動物性たんぱく質の約60%を魚類から摂取し、そのほとんどが淡水魚で占められている。ニシン科のイリッシュは海から汽水の王様、コイ科のルイとカトラは淡水魚の王様として親しまれている。これらの魚は雨季に入って川の水量が増した頃に産卵・受精し、受精した卵は川水とともにバングラデシュ各地に分散する。雨季が終わる10月頃から漁が始まり、コイ科やナマズ科の小魚、キノボリウオ(コイマーチ)、ライギョ、タウナギ、タイワンドジョウが獲れる。イリッシュはカレーの材料にされるほか、唐揚げにも調理される。
来客に供する料理やレストランのメニューは肉・魚が中心であることからバングラデシュの料理は野菜が少ないと思われることが多いが、日常の食事には野菜も多く使われ、ご飯が乗っている皿の上には野菜料理が乗せられる。細かく切った野菜をタマネギ、ニンニク、クミンシードなどの香辛料と一緒に炒めて野菜が柔らかくなるまで蒸し上げるバジ、加熱したイモ、ナス、ウリを潰してマスタードオイル、香辛料、塩で和えたボッタなどの野菜料理が食べられている。
ピアジェはムシュルダルと呼ばれる豆をマスタードオイルで揚げた料理で、日本のかき揚げに似ている。とろみのある豆のスープであるダールの豆は場面によって使い分けられ、日常の食事には赤いムシュルダル、特別な場の食事には黄色いムッグダルが使われる。
・・・・・明日・次節に続く
◆ カレーですよ。 船堀 バングラガーデン ◆
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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