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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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現代の探検家《小林快次》 =02=

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○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○ 

○ 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 ○

◇◆ 第一回 恐竜化石は”歩いて探す” =1/2= ◇◆

恐竜化石は「歩いて探す」

 恐竜化石の発掘調査に参加するモンゴル人は、ニックネームをつけるのが好きだ。 私もこれまで「ザラ」「ファルコンズ・アイ」「ウォークマン」の3つのニックネームをもらっている。

 「ザラ」はモンゴル語で、ハリネズミのこと。どうも、私が頭を洗った後、髪の毛が逆立った様が、ハリネズミに似ているらしい。 自分ではわからないが、顔もそっち系なのだろうか・・・。

 「ファルコンズ・アイ(ハヤブサの目)」は、私がよく化石を見つけることからつけられたニックネームだ。ただ、時によって、「イーグルズ・アイ(鷲の目)」や「ホークス・アイ(鷹の目)」と呼び名が変わったりするので、どの猛禽類かはあまり重要ではないようだ。

 自分で言うのも変だが、確かによく見つける方だと思う。 その理由の1つに、身長の低さがあると私は考えている。国際調査になると欧米の研究者が参加するが、みんな背が高い。化石を発見するにはもちろん経験が必要だが、背の低い方が地面に目が近く、より多く化石を発見できる。

 もう1つ私が心がけているのは、「人と同じところを探さない、同じ場所を通らない」ということだ。砂漠や山の中を探すとき、人はどうしても楽な道を求め、同じようなところを歩く。 そんなところには、宝(新しい化石)は落ちていない。 人の歩いた形跡のないところ、つまり、歩きづらいところを敢えて歩き、化石を探す。

 キャンプから化石を探しに歩いていき、1日過ごした後、元来た道をたどって帰る人が多い。 確かに楽だが、せっかくのチャンスを無駄にすることになる。 どんなに疲れていても、敢えて違う道を歩くように心がけ、常に化石を探す。

 最後の「ウォークマン」は、ポータブルオーディオプレーヤーのことではない。 私がよく歩くことから「歩く人」という意味でつけられた。 どれだけの面積をカバーできたかで発見する化石の数が決まると思っているので、とにかく歩いて、広い表面積に目を通す。

 新しい化石産地に行ったときには、「必ずここに恐竜化石はある」と考える。そして「とにかく人が歩かないところを歩き、なるべく広い面積をカバーする。そうすれば見つかるのは当たり前」と信念を持つ。


 しばらく探して化石が見つからないと、たいていの人はあきらめモードに入ってしまう。しかし私は違う。 むしろワクワクしてくる。そもそもそこに「恐竜化石がある」ことを前提にしているので、見つからなければ見つからないほど、まだ目を通していない残された土地に恐竜化石の埋もれている確率が、相対的に上がることになる。 次の1歩で見つかるかもしれないと、ワクワクするのだ。

「全身骨格」を探して

 モンゴル南部に広がるゴビ砂漠。 そこに、ヘルミンツァフという恐竜化石の産地がある。 2008年9月、ある日の朝9時、私はそこに立っていた。

 「ここで降ろして。キャンプから22キロ離れているから、ここから歩いて帰るよ」

 キャンプから歩いて化石を探すと遠くのエリアが探せないと考えた私は、早朝に車でできるだけ遠くに連れて行ってもらい、そこから歩いてキャンプに帰ることに決めた。 正直、ちょっと遠いかなと思ったが、1日あれば帰れる距離だと思った。

 調査を始めて1週間が経っていた。キャンプ地の周りはある程度目を通していたし、調査を共にしている他の研究者と鉢合わせが多く、新しいものが見つかるような気がしなかった。 その証拠に、この1週間、みんなが見つけるのは、元々つながっているはずの骨格から遊離してバラバラになった、歯や骨の化石ばかりだった。

 全身骨格なんて出る気配すらなく、みんな落胆していた。 これは、もっと違う場所を、違う目線で探さなければと、ひそかに考えた。

 私はこの時、なぜ見つかるのは遊離した歯や骨だけなのかと、自分に問い続けていた。 一緒に参加している研究者の動きを思い返してみると、みんなは歩きやすい平坦な砂岩の上をひたすら探していた。 

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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