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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =119=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ ᴂ

◇◆ プレカンブリアンエコシステムラボ、誕生 =2/3= ◆◇

御用聞き組織のままでいいのか!

「JAMSTECの歴史上、最下層の研究者からボトムアップで創成された研究プロジェクトが、公認の研究組織になった例は皆無です。これはJAMSTECの暗黒の歴史です。世界に名だたる研究所が、単なる役所の御用聞き組織のままでいいのでしょうか。本来研究組織とは、その道の先導者たる研究者の自然発生的な発想や情熱に基づいた集合・共同・協調行動の中から生まれ出ずるべきモノでしょう。我々のウルトラエッチキューブリンケージ研究はまさしくそういう研究グループです。成果も順調にでています。これをハイ終了とか言ったらJAMSTEC末代までの恥になりますよ!」

末廣さんはいつもアポなしに突然理事室にフラリとやってきて言いたい事を言って「今日はこれぐらいにしといたるわ!」と吉本新喜劇の池乃めだか風に去って行くボクのことをずいぶん鬱陶しく思っていただろう。でもいつも「わかった。わかった。ナントカしてやるから」とテキトーな相槌を打っておきながら実際何回もナントカしてくれたんだ。

再び研究の半年間の延長を認めてくれた挙げ句に、さらに2007年6月には「JAMSTECバーチャルラボシステム」なる新規プロジェクト募集を準備してくれた。つまり、いろいろ役所との兼ね合いもあって、公には新しい研究組織を作るわけにはいかないが、バーチャルな研究組織なら内部で対応できるので、「自信があるならそれに応募してみろや、オラ」ということだったのだ。

そして「JAMSTECバーチャルラボシステム」提案のため、ウルトラエッチキューブリンケージ研究グループのメンバーが再びいつもの場所に集結し、作戦会議を開くことになった。今度はJAMSTECの別のグループで太古代環境の研究を行っていた山口耕生君(現在東邦大学理学部准教授)が加わった。

アストロバイオロジーを目指しましょう

山口耕生君は、アメリカで博士号を取得し、NASA Astrobiology Instituteという全米の大学や研究機関をバーチャルなネットワークで結びながら宇宙生物学という海のものとも山のものともつかない研究分野を推進する研究所にも所属しながら研究を行ってきた強者だった。

開口一番山口耕生君は、「このJAMSTECバーチャルラボシステムではウルトラエッチキューブリンケージ分野横断研究をさらに推し進めたアストロバイオロジーを目指しましょう」と切り出した。

アストロバイオロジー!! 確かにボクもアストロバイオロジーには興味があった。思い出せば、1994年に最初にワシントン大学海洋学部のジョン・バロスの研究室に留学したとき、実験室の扉にCosmomicrobiology Labというプレートが貼付けてあって、若かりしボクは「カッケー!なんてカッケー、ウホ!」と興奮したものだった。

そして思わず居眠りしたくなるようなうららかな昼下がりなどに、眠気覚ましのつもりかどうかわからないけれど、よくジョンが実験室にやってきて、「今はアストロバイオロジーって言うようになっているが、アメリカでは徐々にポピュラーになってきている研究分野なんだ。オレたちがやっている深海熱水の微生物の研究も立派なアストロバイオロジーの領域なんだよ」などと話してくれたっけ。

そんなこともあったので、山口耕生君が「要チェックや! やっぱりアストロバイオロジーなんや」と言い出したとき、ボクは心が「ドクン」と大きく波打った。

= エンケラドゥスvsエウロパvsケレス(2/7) =

・・・・・ 宇宙に生命を探せ‼ ・・・・・

「生命とは何か」について2000字で科学的に述べよ。(100点/100点)

だったらどうします?

「生命とは何か」を客観的に捉えようとすると、「ヒト」とか「アナタ」の場合と同じように、やはり「生命」についての「出自」と「他者との比較」が必要だと思いませんか?「生命」についての「出自」と「他者との比較」、つまり「生命の起源と進化」と「我々がまだ知らない別の生命との比較」と言うことになります。

 ところがここで「ぐぬぅ!」「ふぐぅ!」となってしまうんですね。残念ながら我々は、今我々が知っている生命のただ一つの例でしかなく、しかもその唯一の実体です。たった一つの自己の存在を通じて、本当に客観的に自己を捉える事はできるのだろうか、いやできない(反語)、と思えます。それに「生命の起源と進化」についても、同じようにたった一回(地球の生物の進化)の例しか知らない、いや実はそれすらも本当に知り得ていない、のです。

 つまり「生命とは何か」に対して科学的な答えを出そうと真面目に考えれば考えるほど、我々地球生命とは別の生命を知りたい、いや知らねばならぬと思わずにはいられません。

「生命とは何かに対して科学的な答えを出すためにも、我々地球生命とは異なる生命を知りたい、いや知らねばならぬ」。それが「アストロバイオロジー(宇宙生物学)と呼ばれる学問領域が誕生した理由であり、その学問領域の目指す目標の一つである、くわっ!」とワタクシは力説しておるわけです。

 では、我々地球生命とは異なる生命を探すにはどこに行ってどう探せばいいのでしょうか? それは技術的に本当に可能なのでしょうか? そもそも本当に我々以外の生命が地球以外の宇宙に存在するのでしょうか?

海ある、ゆえに生命あり

 アストロバイオロジーに関わる世界中の科学者や技術者達は、そのような一体どこから手を付ければいいのか分からないような深遠なる問いに対して、そして途方もない時間と知恵と労力とお金が必要となるような困難な課題に対して、怯むどころかむしろワクワク武者震いをするような感覚で挑んでいます。

 とはいえ、みんな結構好き勝手にワーワーキャーキャーやっているのが真実で、逆にそんな状況であるが故に、溢れんばかりのエネルギーや熱気、関心を結束できずに、結構ムダに垂れ流しにしているとも言えますが。

 ええいグダグダ言ってもラチが明かないので、この際、私見をビシィッと言っちゃいましょう。

 宇宙に生命が存在するための第一条件は「海が存在することである」と。そして宇宙に生命を探すための第一条件は「海が存在する天体を探すことである」と。

 勿論「海が存在すること」は「水(H2O)が存在すること」ではありません。

「海が存在すること」とは、「多様な元素が溶け込んだ大量の液体の水、つまり大量の海水、が存在すること」であり、それは、平均-270℃と考えられる総じて極低温の空間である宇宙において、「氷」と「氷から大量の液体の水を作り出すことができる熱源」と「多様な元素の源である大量の岩石」がかなり長い時間をかけて反応し(熱水活動ということ)、それが今も維持されていることを意味します。      ……続く

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 :生命の起源

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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