〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ ᴂ
◇◆ ボク好みのナイスガイを探して =2/3= ◆◇
「初期地球の環境と生命の国際シンポジウム」に講演者として参加できることになった。日本の初期地球環境研究のレベルがすごく高いことだった。中でも、ボクが「!!」と思ったのが、当時東京工業大学のポスドクをしていた上野雄一郎さんの発表だった。
それは、「35億年前の深海熱水の海底下にメタン菌と硫酸還元菌の活動が存在していた事を35億年前に封印された太古の熱水のかけら(流体包有物や硫化鉄鉱物)からの微小試料同位体比分析によって証明」という研究だった。ボクらの求人条件にぴったりの内容じゃないか。
しかも上野雄一郎はクールでかっこ良かった。ボク好みだった。もちろん「お肌ピチピチの朝まで生テレビ」世代だった。
「この男! すぐ使える!」
本物の深海熱水を見せてやる
ボクは多少ナマイキ盛りの上野雄一郎さんを捕まえてこう言ったんだ。
「上野さん。35億年前の深海熱水ガーとか吹聴しているみたいだな。それに最近、初期地球環境研究の若手のポープとかチヤホヤされているみたいだけど、オメエ、一度でも実際の深海熱水見た事あんのか? あ? 見た事もないのに、深海熱水ガーとか言ってんの? それでも地質学者か! オレがオメエに本物の深海熱水を見せてやる。ついてこい!」
上野雄一郎は見た目に反して押しに弱いタイプだった。「えー。どおしよっかなー」とか言ってるうちに勝手にボクらのお友達1号にされてしまっていた。
そしてボクの講演の番がやってきた。もう完全に上から目線状態だったので、かなりエラソーな態度で発表したかもしれない。ただし、聴衆が興味を持って聞いているかどうかは、演台からはよくわかるものなのだ。十分手応えはあった。
講演が終わるやいなや、一人の男が「シュビッ」と手を挙げた。顎が発達した咬合力の強い肉食獣の雰囲気を漂わせた漢だった。
言わずと知れた地質学界の大御所、丸山茂徳、その人だった。
「君のねー、言ってる事は面白いんだけどねー、太古代初期のマントルの温度は高くて、地殻が今とは比べモンにならんくらい分厚かったわけ。そうするとねー、カンラン岩みたいな超マフィック岩は、ほとんどないと予想できるわけ。だから超マフィック岩の支える熱水ちゅうのを想定するのは難しいと思うわけ」
ボクは「予想以上の超大物が引っかかってくれたわー、もう!」と心の中でガッツポーズした。ここはクールに紳士的に行くぜー。
「おっしゃる通りだと思います。たしかにカンラン岩を想定するのは難しいとボクらも思っています。では、コマチアイトではどうですか?ボクなんかより丸山先生の方が遥かに詳しいと思いますけれど」
丸山さん「(・・・)、コマチアイトね・・・。たしかにコマチアイトならあり得るね」
時間の関係上、質疑応答はほぼこれだけだったけど、ボクは満足感でいっぱいだった。ボクらの研究の方向性は決して間違っていないと思った。むしろ、堂々と世界最先端だと自信を持ってもいいと確信することができたんだ。
ボクらはますます新しい研究にのめり込むようになった。
それから3ヶ月も経ったある日、スペインの国際学会に参加していたボクに一通のEメールが届いた。丸山茂徳さんからだった。
「この前はとても面白い話をありがとう。アレを聞いてから、君たちにボクの地質学者としてのエッセンスを叩き込まないといけないと思うようになりました。今度JAMSTECに行きます。そしてボクのすべてを君達に注入します」
というメールだった。
= しんかい6500パイロットチーム <ベテランが語るパイロットの醍醐味>5/6 =
オレはあんなにへたくそじゃないからな
小倉さんは、しんかい6500の外、家族での会話が仕事の話に及ぶときにも、喜びを感じる。
「『日本沈没』という映画があるでしょう」
2006年公開。原作・小松左京。JAMSTECが撮影に協力していて、しんかい6500をモデルにした、わだつみ6500という潜水艇が登場する。
「見ていると、子どもは『怖いね』と言うんですが、『操縦、あんなにへたくそじゃないからな』と」
いいぞ、司令。素敵です。
しんかい6500は、誕生から24年目を迎えた。
そろそろ、次の有人潜水艇を、とは考えませんか。そのときには、どこを改良したいとか。
「まず、窓ですね。今、3つ窓があって、それぞれ、研究者と、パイロットとコパイロットが使うんですが、視界が違うんです。これがしんかい6500の一番の欠点です。この点は、しんかい2000の方が優れていましたね」
なるほど。定員に関しては、いかがですか。
たとえば、パイロットはひとりにして、研究者をふたりにするとか。
「それは、実はルール上は今もできるようになっているんです。ただ、しんかい6500を操縦しながらマニピュレータを操作するのは難しいです。音声認識などの技術が使えるようになれば、ひとりでもできると思いますが。ただ、偵察潜航なのか、何かを捕ってくるというミッションのある潜航なのかでも、変わってくるでしょう。使いわけるんでしょうね」
使いわけというと、しんかい6500のような有人潜水艇と、無人探査機の使いわけは、いかがですか。
すでにJAMSTECには、うらしま、ハイパードルフィンといった無人探査機がありますが。
「無人探査機を主にやっている人も、しんかい6500に乗ると『実際はこうだったんだ』と言いますよ。直接見えるし、傾斜の具合は体で感じるし、臨場感が違うんです。なぜ有人が必要なのかと言われれば、これです。人間が感じるところが違うんです」
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 :熱水海底下生命圏を調査!(後編)
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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