〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第6話 JAMSTECの拳―天帝編― ᴂ
◇◆ 世界一深く潜れる有人潜水艇は必要か? =1/4= ◆◇
中国の有人潜水艇「蛟龍号」が水深7000メートルへの潜航を成し遂げ、“世界一深くまで調査できる潜水艇”の座を明け渡したJAMSTEC「しんかい6500」。じゃあ、次は「しんかい11000」を建造して世界一を取り返すのか? これまで30回以上「しんかい」に搭乗、調査してきた高井研さんは考えました。
じゃあワタクシ達JAMSTECは、再び世界一を取り返しに行くのか? ということです。
ワタクシは、有人潜水艇というのは、海洋科学調査における日本刀の太刀(たち)のようなものではないかと思うのです。
太刀は戦国時代までは武士の主流の武器でしたが、やがて戦の在り方が変化し、江戸時代にはその実用性が低下していました。それでも太刀は、武士の精神・武器の象徴として重宝されました。また、太刀を造る技術は他のすべての刀を造る技術の中の最高峰で、かつその基盤で在り続けたのではないでしょうか。
つまり、世界一深く潜れる有人潜水艇を持つということは、世界一の切れ味を誇る業物を持つことに例えられるのではないかと。その所有者には実用性だけでなく、最高を所有するという精神的な利益も与えられるでしょう。さらに最高の技術が磨かれ、伝承され、その営みは一つの文化を創り上げる可能性もあります。
それゆえに所有者が望むならば(国民やその代表である為政者が、コストをかけることを厭わないならば)、ワタクシは世界一深く潜れる性能を追求するべきだと、いやむしろ、「もっと熱くなれよ! 熱い血燃やしてけよ! 一番になるっていったよな? 世界一なるっつったよな! ぬるま湯なんかつかってんじゃねぇよ!」と100%修造化することを誓います。
ただ、もう一つ考え方があります。
世界一深く潜れることは、世界一の性能・機能であることと同義ではないということです。うん、違う。切れ味が太刀の武器としての性能の一つにすぎないように、深く潜れることは科学調査のための有人潜水艇の性能の一つにすぎないのです。
太刀が変貌する戦の中でその実用性を低下させたように、限られた時間と金銭的・人的資源のなかで多面的な調査を必要とする今の先端深海科学研究において、制約の多い有人潜水艇の実用性が相対的に低下していることは間違いありません。
ワタクシは、そのように大きく変容する科学調査の中で、有人潜水艇の持つ利点を有効に生かして成果に結び付ける新しい性能や機能を持つ有人潜水艇を造ることこそが、本当の意味での世界一を目指すことではないかとも思うのです。
= 人が支える海洋研究 「しんかい6500」潜航同行記 4/4 =
この日、よこすかの風呂で大西さんと一緒になった際、しんかい6500のトイレ事情を聞いてみた。研究者は紙おむつをすることが多いが、パイロットはほとんど着用しないそうだ。大西さんは潜航当日の水分摂取を控えるが、前日に飲酒しても平気だという。
耐圧殻内には携帯トイレもあり、研究者はそれを利用することもある。田代さんによると、尿意を催しつつもためらう研究者に「一緒にどうですか」と差し向けることもコパイロットの役割なのだという。
パイロットは酸素濃度と二酸化炭素濃度も自分で調節しなければならない。大西さんは「大きな発見があると研究者の息が荒くなって、酸素が一気に薄くなることもあります」と教えてくれた。
私も実際に耐圧殻内に入らせてもらった。上部のハッチからはしごで下り、敷いてあるマットに男3人でべたっと座ると、かなり狭くて密着した状態になる。頭上には多くの機器があり、背筋を伸ばして座ることもままならない。
しんかい6500を操縦するコントローラーはゲーム機のそれのようだった。マニピュレーターを動かすコントローラーは操作が難しそうに見えたが、案内してくれたパイロットの鈴木啓吾さん(40)によると、自分の腕の動きと同じようにマニピュレーターが動くので、使いやすいらしい。
「人の目に勝るカメラはない」
これまでしんかい6500は日本近海だけでなく、インド洋や大西洋でも調査を繰り返してきた。日本海溝では東日本大震災でできた亀裂、ブラジル沖では海に沈んだ大陸の痕跡を発見するなど、地震防災、海洋資源、深海生物の研究で重要な役割を果たしている。今回の潜航は実に1524回目だった。
しかし、最近は潜航回数が減っている。10年ほど前までは年間60回以上のこともあったが、近年は30回程度。無人潜水機・探査機の台頭に加え、研究費の減少が要因だとの指摘もある。
田代さんは「これまで私たちは基礎研究で多くの発見をしてきた。その重要性を多くの人に知ってほしい」と訴える。大西さんも「今は無人探査機もあるが、人の目に勝るカメラはない。たくさんの研究者に搭乗してもらいたい」と言う。
ちなみにしんかいで最多の潜航回数は、前身のしんかい2000も含めた桜井さんの431回。田代さんは318回で、82回の大西さんは「このペースだと追いつけないですね」と苦笑いした。
帰港に向けてかじが北に取られる直前、よこすかを操船していた1等航海士の三森靖彦さん(43)が「見なくていいんですか」と声をかけてくれた。デッキに出ると、輝く夕日を頭に乗せた青ケ島のシルエットが太平洋に浮かんでいた。
今回の航海を取材して、多くの人がしんかい6500の潜航に携わっていると知った。司厨部員による温かい食事に感謝し、船と深く付き合う甲板部員や機関部員の姿勢に敬意を抱いた。クレーンの運転士やつり上げ索を着脱するスイマーらがいなければ、しんかい6500は着水もできない。最先端の研究現場のあらゆるところに、人の手が介在していた。
近年、商船などでは日本人の乗組員が減り、船乗りの技術継承が危ぶまれていると聞く。今後の「海洋立国」を支えるのはテクノロジーだけでなく、人間そのものでもある。そう実感した3日間だった。
・・・・・・・・つづく・・・・・・・
動画 : 有人潜水調査船_しんかいの系譜
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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