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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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未知なる深海へ 高井 研 =079=

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〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

☠  青春を深海に掛けて=高井研=  ☠

ᴂ 第5話  地球微生物学よこんにちは ᴂ

◇◆  海底下生命、そらウチでもやらなあかんやろ! =2/3=  ◆◇

人生初の有無を言わせないギョーム命令に反射的な反発を感じながらも、一方では「ほほう、オヤジにもようやくこのテンサイのスゴさが理解できたようだな。やはりこのテンサイがJAMSTECの新しい研究プロジェクトに必要だと」とスラムダンクの桜木花道のようなセリフをひとりごちてもいたんだ。 さらに、キラーンとナイスアイデアも浮かんだ。

「深海熱水というのは、海底下数kmから上昇してくる熱い水の流れだ。温泉もそうだ。ということは深海熱水や温泉は地殻へ開かれた窓なんだという理屈をこねて、地殻内微生物の研究をやるフリをすればいいんじゃないか。うむ、そういう屁理屈をつけて上をごまかせば、深海熱水の研究をやりたいほうだい。しかも無条件でJAMSTECからの接待就職付き。これぞ一石二鳥、漁夫の利。やはり天才?」

ホントーはもう少し深い青春の葛藤があったはずだと思うのだけれど、よく思い出せない。とりあえずそういうブラックな思いに身を任せる事で折り合いをつけたように思う。そして、カール・シュテッターの研究室に武者修行に行くかわりに、アメリカの北西部ワシントン州に再び舞い戻る事になったのだ。

しかし今度はボクの大好きだったワシントン大学やシアトルではなく、リッチランドという内陸砂漠のど真ん中にある田舎町のパシフィックノースウエスト国立研究所というあまりパッとしない研究機関だった。

このパシフィックノースウエスト国立研究所は、アメリカエネルギー省管轄の研究所で「世界で初めて原子爆弾を作った場所」として知られている。原子力関係の国家的機密研究やら放射性廃棄物の地下貯留やら、とにかく何となく後ろめたいことを研究しているようで、実際、研究所はできるだけ人間社会との接触を避けるように、果てしなく荒涼としたコロンビア川洪水玄武岩帯の砂漠のど真ん中にあった。

放射性廃棄物の地下貯留なぞを扱っている行き掛かり上、万一に備えて地下水の化学やら微生物の動態の研究を1990年代から進めており、深部地下微生物の研究では先端を走っていたのだ。

1995年、パシフィックノースウエスト国立研究所のトッド・スティーブンスとジム・マッキンリーは、次のような論文を発表した。コロンビア川洪水玄武岩地下水において、玄武岩と地下水のなんて事の無い化学反応で大量の水素が発生し、その水素によって太陽光と完全に独立した「地球を食べる」地殻内独立栄養微生物生態系(スライム)が支えられているという「スライム仮説」だ。そして、「このスライムこそ地球最古の生態系や地球外生命生態系に最も類似したシステムなのだ」と主張した。

そんな主張を、「最古の生態系は深海熱水で生まれたのだ」と信じてやまないボクが見過ごせるはずはあろうか。いやない(反語)。

アメリカ最先端とやらの実力を見せてもらおうか。さらに、その最古の生態系とやらの実力を拝ましてもらおうか。そしてその先端性をちゃっかりスパイさせて頂こうか。

それが、ボクがパシフィックノースウエスト国立研究所に行った理由だった。 そして1999年の春、ボクと妻は、西部劇映画でよく見るような、砂漠の風で道をコロコロ転がるトゲトゲ草が本当にコロコロしている町、「殺伐」としているのに「豊穣」と名付けられた皮肉ばっちりの町、リッチランドにやってきた。

=  「海は生命の母」、生命の謎を解く鍵とは何か 1/2  =

生命を生み出すシンプルなルール 

──  「深海の微生物を調べることで、生命の起源に迫る」という研究を続けられていますが、具体的にどのような研究なのでしょうか。

高井研: 地球上ではあらゆるところに生物がはびこっているわけですが、生物が全くいない場所もあります。生物が生きている場所とそうでない場所の境目、それがすなわち生命圏の限界です。そこを調べれば、「生命って何?」という難問に対する一つの答えが出るはず──。そう考えて研究を続けています。その境界付近に位置している生命圏、それが地球最深部の深海ということです。

──  それで「しんかい6500」などの潜水調査船で世界中の深海を調査しているわけですね。その境界領域には、生命が誕生した頃の太古の地球の環境が残っているのでしょうか。

高井研: 地球に海ができたのはざっと44億年前ですが、その頃の環境がそのまま残っているわけではありません。しかし、海底から熱水が沸くという現象自体は、恐らく44億年間ずっと続いてきたと考えられます。その熱水噴出孔環境で生命は誕生した。そう私たちは考えています。

──  なぜ、熱水と生命の誕生が関係するのですか。

高井研: 石と水と熱。この3つの要素によって生命は生まれると考えられるからです。岩石から出てくる成分と水の成分と熱の作用が合わさることによって、有機物が生物となり、さらにそこにもたらされるエネルギーによって、生物の活動の持続性が成立するわけです。その3つがそろっているのが、深海の熱水噴出孔環境ということです。

もっともこの考え方は、物理学的、化学的には納得のいくものではあっても、生物学の側からは物言いがついていました。生命がそんな単純なルールで生まれるはずはない、生命のメカニズムはもっとはるかに複雑なはずだ、というわけです。ならば実際に世界中の深海を回って「こういう岩石がある場所に熱水があると、こういう成分が増える。するとこういう生物群が誕生する」ということを実証しようとしたのが私たちの研究です。

──  実証には成功したのですか。

高井研: 成功しました。複雑だと思われていた生物の成り立ちを決めるルールが、実は非常にシンプルな物理化学法則に従っているということが分かりました。頭で考えた証明ではなくて、数々の現場を回って、サンプルを徹底的に調査して明らかになった事実ですから、実証結果には自信を持っています。

ただし、実証できたのはあくまで大枠のルールです。生命を生み出す最も重要な法則が「石+水+熱」ではあっても、それ以外に生命の在り方を決定する様々な変数があります。その変数を明らかにし、それぞれの変数のプライオリティを明らかにしないと、生命の誕生を説明したことにはなりません。そこにまさに今、取り組んでいるところです。

──  なぜ、熱水と生命の誕生が関係するのですか。

高井研: 石と水と熱。この3つの要素によって生命は生まれると考えられるからです。岩石から出てくる成分と水の成分と熱の作用が合わさることによって、有機物が生物となり、さらにそこにもたらされるエネルギーによって、生物の活動の持続性が成立するわけです。その3つがそろっているのが、深海の熱水噴出孔環境ということです。

もっともこの考え方は、物理学的、化学的には納得のいくものではあっても、生物学の側からは物言いがついていました。・・・・・・・・・・

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : 巨大地震発生メカニズムを調査!  

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