〇◎ “私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇
= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =
☠ 青春を深海に掛けて=高井研= ☠
ᴂ 第一話 実録! 有人潜水艇による深海熱水調査の真実 ᴂ
◇◆ その一 2009年10月27日 AM6:30 インド洋上 =3/3= ◆◇
潜航研究者以外の他の研究者は、しんかい6500に取り付けられた様々な研究装置や機器の最終確認、例えばこの潜航の場合は、熱水採水器2種(ポンプやバルブの動作確認)や生物採取用吸い込み装置(保冷剤をいれたり冷たい真水をいれたり)など、を行うためしんかい6500の周りにたむろしている。
潜航が決定しないので、みんな落ち着かない様子で、「まだ潜航決定しないんですかね」「うーんどうなってんだろね」などと話しながら、ヤキモキしている。
ヤキモキが続く中、9時頃、キャプテンと司令が船尾に現れた。船尾の状況を確認するためやってきたのだ。
「海が荒れるとなぜ潜航できないのか?」 理由はしんかい6500の着水・揚収作業にある。写真に示すように、しんかい6500は、「よこすか」船尾にある「A」の文字のような形をしているAフレームとクレーンとぶっとい綱で吊り上げられ、甲板から船尾の海へと運ばれる。そのまま、綱をたらしてゆくと、しんかい6500は「ポチャン」と海水に浸けられる。その後、ゴムボートに乗った2人のダイバーが、しんかい6500の近くの海に飛び込んで、泳いでしんかい6500の背中に乗っかる。海が荒れているとこれ、危険なんです。
さらに、ぶっとい綱をしんかい6500から切り離す作業を行うのだが、海が荒れていると、重量何トンもあろうぶっとい綱が、ユーラユーラしてものすごく危ない。「よこすか」の甲板から見ているボクらでも「怖っ」って思うぐらいなので、作業しているダイバーはもっと怖いに違いない。作業が終わったあとは、もう一度海に飛び込んで「よこすか」としんかい6500をつないでいた最後の引き綱のフックを外して、ゴムボートに戻る。これが、しんかい6500が潜航するために「生身の人間」が世話を焼かないといけない部分なのだ。
潜航を終えたしんかい6500を引き上げるときは逆の作業を行わないといけない。むしろ揚収の方が、やや危険度は高い。スイマーの作業に加えて、しんかい6500を海中からクレーンに引き上げるとき、船が揺れているとしんかい6500が、まるで風に舞う木の葉のように、舞々するのだ。ホントに「よこすか」の甲板から見ているボクらが、「あれやばいよ」と思わず「中の人」の身を案じるぐらいしんかい6500は左右に強烈に振り子運動する。
こういう作業に危険性があるため、海況が良くないと「潜航中止」となる。実際のしんかい6500の潜航自体は、どんなに海が荒れようが、いったん潜ってしまえばそこは静かな深海なので、全く危険性はない。しんかい6500の誇る「無事故無違反」というのは、実はこの着水・揚収作業の成否に大きく依存してきたのだ。
=補講・資料=
高井研・深海で生命の起源を探る(3/9)
──生命が存在する条件とは何なのでしょう?
生命誕生に必要なのは、まずエネルギーです。次に必要なのは体を作る材料で、例えば人の体を構成する主要元素は、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リンです。我々はモノを吐き出しながら、再生しながら生きていますので、エネルギーだけでなく材料も取り込まないといけません。食べ物にはその両方が含まれているわけですね。つまり、生命にとって必要なのは、生きるための最低限のエネルギーと、体を構成する元素が絶えず供給されていることです。逆に言うと、それが可能な環境であれば、生命が存在できるということを意味します。ただ、その環境を一瞬だけ、惑星の1ヵ所にだけしか持っていないとしたら、生命は永く、大量に存在することはできません。時間的、空間的な要素も必要で、地球がすごいのは、46億年もの間、全球的にその環境が保たれているところです。だからこそ非常に多くの生命が生きているのです。
──生命の存在にはいろいろな条件が重なっているんですね。水がある所には生命がいる可能性が高い、というイメージがありますが。
水の存在は生命存在の有力な条件ではあるけれど、水があることと生命がいることは全然イコールではありません。今NASAの火星探査機「キュリオシティ」が火星で有機物を探していますが、有機物イコール生命でもありません。先程お話した、エネルギーと元素供給がないと生命は存在し得ないのです。また天体望遠鏡で、植物があるかのような緑色の惑星、あるいは水に加えて酸素のある惑星を探そうとする研究がありますけど、生命が存在できる惑星のなかでもそういう特徴を持った惑星はすごく稀だと思います。
つまりこれは、多くの生命存在の可能性を見逃しているとも言えます。もちろん、宝くじを買って当たるのを期待するような一発でゴールを決める方法は成功すればすごい事です。でもそれ以上に、生命が存在しているというのはどういうことかをしっかり様々な観点から理解した上で、徐々に生命存在惑星候補を追い詰めてゆくような地球外生命探査をやることが、宇宙生命探査を科学として広げてゆくには良い方法だと思っています。
──JAXAの研究者と一緒に土星の衛星エンケラドゥス探査計画を進めているそうですね。
まだアイデアレベルですが、小惑星探査機「はやぶさ」のサンプル回収を担当した矢野創さんたちと一緒に、エンケラドゥスへ探査機を飛ばして地球外生命探査を行うという計画を進めています。エンケラドゥスは土星の衛星で、NASAの探査機「カッシーニ」によって、その表面から海水が噴き出しているのが確認されています。その海水のサンプルを地球に持ち帰ることができれば、その海の組成が、生命が存在する条件をクリアしているかどうか調べることができます。計画通りに進めば、30年後にはエンケラドゥスの海水の研究を始められます。その時、僕はもう70歳ですから、実際に研究する人は、今はまだ生まれてもいないかもしれません。自分たちが積み上げてきたものが、そのように次の世代の人たちに引き継がれていく。それがサイエンスの素晴らしいところですよね。
──地球外生命が見つかったら、何かが変わると思いますか?
多くの人の生活には何の影響もないでしょう(笑)。ただ、はっきりと言えるのは、生物学が初めて真の学問になるということです。
・・・・つづく・・・
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