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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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断頭台の露と消えた王妃 =12=

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その最期の言葉は、死刑執行人・サンソン医師の足を踏んでしまった際に

○◎ “ごめんなさいね、わざとではありませんのよ。 でも靴が汚れなくてよかった”  ◎○

◇◆ フランス革命の勃発・・・・・ ◆◇

 ルイ15世の時代には、気候もよく、農作物が豊富に獲れて、人々は豊かな生活を送っていた。 しかし、ルイ16世の時代になると、天候は悪く、農作物も不作で、唯一豊作だったブドウのお陰でワインの価格は値崩れを起こし、人々の暮らしはとても苦しいものになっていました。 欧州全体が不安定な時代に入っていた。 にも関わらず、自由奔放に贅沢三昧のマリー・アントワネット。 ただでさえ反発されていたのに、首飾り事件が起き、ロアン枢機卿への処分のあり方に、ルイ16世までもが民衆はもとより、貴族からも支持を失ってしまった。 フランス王政が揺らぎ始め、終わりの足音が迫る。

 1789年7月14日、フランスでは王政に対する民衆の不満が爆発し、フランス革命が勃発した。 革命の直接的な原因は財政破綻。 この破綻を民衆は、『赤字夫人』である、マリー・アントワネットの浪費であると信じて疑わない。 実際は赤字額に比べると、アントワネットが使った金額は、当然 国が引っくり返るほどのものではないのだが、民衆は王妃のせいで国が傾いたと信じていた。 それほど王妃マリー・アントワネットの評判は悪くなっていた。 1789年5月。 聖職者、貴族、平民の三身分の代表者からなる三部会議が174年ぶりにルイ16世によって国民の、財政改革の協力を求めるために開催されました。 フランス革命の導火線になるということも知らずに。 第三身分の議員達は、自分達が国民の代表と主張し、王政ではなく『国民議会』を宣言した。 第二身分の貴族らがそれに賛同し、ルイ16世は聖職者と貴族に、やむなく第三身分に合流するように命じた。

 国は王家の私的財産という感覚で育ってきたマリー・アントワネットにしてみれば、政治に国民が口出しし、王家の行動に制限をつけるなどもってのほかだと考えていた。 王妃は2人の王弟と巻き返しにかかり、ルイ16世にヴェルサイユとパリ近辺に軍隊を集結させ、改革に理解を示していた財務総監ネッケルを罷免した。

 ネッケルが罷免になり、マリー・アントワネットは改革派の勢いがなくなったと考えたが、国民の受け取り方は違っていた。 ネッケルは国民に人気があり、その罷免に続いて、国王の軍隊がパリを制圧することを恐れていた。 ネッケルの罷免に怒りをあらわにしたパリの人々は反乱を起こした。 1789年7月14日、フランスでは王政に対する民衆の不満が爆発し、フランス革命が勃発したのである。 反乱軍は周囲を包囲されても、決して落ちることはないと言われていたバスティーユ要塞を襲撃した。 

 その夜、ルイ16世はいつものように狩猟から帰ると、十時に寝てしまった。 パリから顔色を変えて注進に及んだリアンクール公が、国王をたたき起して、ルイ16世は『暴動か?』と側近に尋ねると、『いいえ閣下。革命でございます。』と答えたと言われている。 バスティーユ牢獄の司令官、要塞の警備兵、パリ市長が襲われて命を落としており、民衆の怒りはどんどん激しさを増していく。 ルイ16世は親しい貴族たちをフランスから脱出させ、王室に忠誠心を示すフランドル連隊を呼び寄せる。 これが更なる民衆からの反感を買うことになった。

 革命運動の中心地、パレ・ロワイヤルの庭園で、ヴェルサイユ宮殿に押しかけようという女性たちの声が高まっていた。 ついに10月4日、パンを求めて民衆がヴェルサイユ宮殿目指して行進を始めた。 翌日、プチ・トリアノンを散策していたマリー・アントワネットの元に、パリから民衆が武器を持ってこちらに向っていることを知らされ、彼女は慌てて宮殿に戻る。 これを最期に、マリー・アントワネットが憩いの場所にしていたプチ・トリアノンに戻ることはなかった。

 政治的にごく視野の狭い彼女は、明日のパンに困っている人間が存在するということさえ、ついぞ念頭に登らせたことはなかった。 ”パンがなければ、ケーキを頂けばいいじゃない”と考える王妃・『赤字夫人』は、そもそも世界の悲惨を知らないでいたればこそ、あのように繊細優美なロココの小宇宙に君臨することもできたのである。 今やこの小宇宙もシャボン玉のように砕け、嵐が目前に迫っている。 運命の無慈悲な意志は、歴史上最も波瀾に富んだ事件の渦中に、戸惑っている彼女を突き落とす。

 

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森のなかえ

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